第10話 初めての栽培
「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
3度目のフリーフォール
流石に3度目ともなれば落ちるのも慣れてきた……
「慣れるかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
気の迷いだった。
そして
ズドッッッッッン…………!!!!
全身に走る衝撃……
「ウブッ!!!」
肺の中の空気が全て押し出された。
「〜~~ッ!!!」
大の字で地面に叩き付けられ悶絶する。
「ブハッ!……いてぇ……ハ…ハハハ」
ムクリと起き上がり生命力を確認。
生命力 : 9690/1160
「称号効果……改めてすげぇな……」
落ちた先が土だったのとほぼ全裸で落ちたので衝撃の殆どが緩和されていた。
全身を確認するが尻と肩に青アザが出来てたくらいだった。
「さて……どうしよう」
落ちてきた穴を見上げる。
どの位の深さまで落ちて来たか分からない……
とりあえずは人形から逃げきれたので良しとするか。
「ん?」
見上げたまま目を凝らす。
青い光が見えた。
「ハハハ……嘘だろ……」
汗がブワッと出る。
青い光がだんだんとその光量を増し近づいてくる。
「チッ!オケーオケー今度こそバラバラにしてやんよマネキン野郎!!」
再度構える。人形が落ちて来るのを待つ。呼吸を整え、無駄な力を抜き、いつでも回避出来るよう片足の向きを横に向けた。
だんだんと大きなってきた青光と微かに見える人形のシルエット…
ヒュウッという音と共に人形が穴から飛び出し、そして
ガッシャァァァァアアアン!!!
地面に叩き付けられ砕け散った。
「…………………………………………………は?」
砕け散った人形の破片がカツンカツンと音を立て周りに落ちる。
「……」
胴体から吹っ飛んだ頭へと緊張しながら近づく
青い石は光を消し、恐る恐るつま先で突っつくとコロンと取れて転がった。
「…ええー………」
まさかの自爆で終わった人形に掛ける言葉が出ない。
とりあえず青い石を広い他の砕け散った部分を確認しに行く。
腕に絡んだ葉っぱのまわしは腕と共にボロボロで再利用は出来なかったが世界樹の葉袋を回収出来たのはよかった。
両足も砕け、動き出す様子は無かった。
そして全体にヒビ割れた胴体も動き出さないのを確認するためつま先で突っつくと粉々に砕けた。
「お?なんか出てきた?」
砕け散った胴体からコロンと茶色の卵みたいのが出てきた。
拳2つ分はありそうな卵?を手に取りまわしながら見る。
「何かの種か?」
なんかアーモンドっぽいな……この種からなる実ってどんだけ大きいんだろう
ガリッ!
カジるが硬すぎた……歯が痛い
「あ、そういや俺のスキルで成長促進ていうのがあったよな…コレ植えればすぐ実がなるんかな?」
落ちてきた穴から水が滴っている場所の土を掘り種を入れる。
ボロボロのまわしだった葉っぱを少量細かく砕き、適当に土と混ぜ込んだものを肥料代わりとして穴を埋めた。
そして待つ……ひたすら待つ……
水を入れた葉袋(幸子)を取り出し水を飲み、種の植えた場所にチョロッとかける。
まだ出ない……グウ………腹が減った。
ボロボロのまわしの残り食べてまた待つ……
……………ビクン!
「…ハッ!!ヤベ、寝落ちてた……」
ジュルっと垂れたヨダレを拭い種の埋めた場所に目を向ける。
「おお!!」
親指位の芽が出てた!
「すげぇ!成長促進すげぇ!」
いきなり木が生えて実がなるなんて事は無かったがそれでも早く成長してると思う。
大体半日位か?寝てた時間が分からないが1日は経っていない筈…
「よしよしこの調子で育ってくれよ?」
ピョコンと出た芽をそっと撫でてから立ち上がる。
「実がなるまで何日掛かるかわからないんだ。先に周りを探索してせめて食料は探さないと…」
落ちた場所はそこまで広くない、壁から反対の壁迄30m位かな?上から見たら多分丸い形の部屋だと思う。
そして壁に扉が12時と6時の方向に1つずつある。
ちょっと悩んで12時の方の扉を開ける。
「ぐぐぐ……重い……!!」
ギ…ギ…ギと鈍い音を立てながら力を込めて扉を開いた。
空いた先には12畳位の部屋そして奥に階段があった。
部屋の中心に祭壇みたいのがあるだけで他には何も無い。祭壇の上にも何も無かったのでそのまま階段を上がる…………
特に何もなく上のホールに戻ってきた。いや階段の量は凄かったけど……
周囲を警戒しながら外へと出た。
「人形はあの1体しかいなかったのか?」
しかしこの世界に来てから出会ったのが角リス、虎、GODフィッシュ、人形しかいない……そろそろ人恋しくなってきたな…いや亜人とか魔人とかはヤバイんだっけ?喧嘩売られたり命を取られるのは勘弁して欲しい。
いやだけど人種を助ける為にはやっぱり戦うんだろうなぁ。命のやり取りとか気が滅入るわー。
そんな事を考えながらゼンマイと葉っぱを多めに回収して種を植えた場所に戻る。
「ハァハァ…階段疲れるわ……何百段あるんだよ……」
震える膝に鞭を打ち扉を潜る。
「お!!」
芽が育っていた。
「………おぉ……」
大きい紫色の葉っぱが2枚、そしてその下に白いヒゲの様な細い蔦?が地上に打ち上げられた海藻みたいに広がっており。その上にちょこんと咲いているひとつの小さくて赤い綺麗な花。
「なんか食虫植物みたいな色合いだな……」
恐る恐る近づきゼンマイで触れる。白い蔦でモシャァッと捕獲される心配はないようだ。
「いきなり成長し過ぎだろ…ここ出てまだ半日位だぞ?」
何か成長を加速させるものでもあったのか?
ゼンマイで安全を確認したので手で触る。
「この白いの蔦なのか?…絹みたいにサラサラだ…ん……なかなか強度あるな」
白い蔦をみょんみょん伸ばしてみるが千切れない。
紫の葉っぱはなかなか立派だった。
よし!これで新しいまわしを作るぞ!
葉っぱはさっき取ってきたがまだまわしを作っていないので全裸だ。あ、手袋はつけてます。
「この花綺麗だよな…」
何故か白い蔦の上に1つだけ咲いている小さくて赤い花。
後で何かに加工しよう。
あちこちぺたぺた触り葉っぱの下を確認すると地面から実っぽいのが少し出ていた。
「やった!実だ!大根とかカブみたいなタイプだったんだな!」
木から実がなるやつじゃないのは残念だがここで暮らす理由にもいかないのでこれで良かったと思い直す。
「よっしゃ!収穫するぞー!」
大きな葉っぱと蔦をまとめて持つ。
「フン!!………くぅ!…これは!……なかなか……!!」
無茶苦茶重い。どれだけ根を這ったのだろう。
「ググッ!オオオオ!!」
ズズ……
少しずつ地面が盛り上がる。
その感触を励みにラストスパートをかける。
「ぬぅぉ!!うおぉぉらぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
ズッボッ!!
「ッシャァ!!
大地との綱引きに勝ち思わず叫ぶ。
そして引きずり出されたであろう目の前を舞うのは
スウウゥゥゥゥゥウ………
息を大きく吸い込み
「キィャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアァァァァァァァァァア!!!!!!!!!!!!」
超爆音で叫ぶ女の子だった。
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