第8話 新しい力
コト…
どんぶりの上に箸を置く、どんぶりの中は米粒1つ残っておらず洗った様に綺麗だ
「ご馳走様でした」
手を合わせ天に向かい頭を下げた。
「……フゥ」
1つ息を吐き、食べ終わったカツ丼の味を思い出す。
カツを噛んだ時のサクッという歯ごたえ…
衣を突き破った瞬間に溢れる肉汁……
肉汁と一緒に口の中に流れ込むトロトロの卵と出汁……
二度ほど噛み締めた後にピンと立っている純白の宝石のような米と出汁が染み込み茶色く透き通った玉ねぎをまとめて頬張る!そして全ての食材が合わさり爆発し、素材がハーモニーを奏でる!!
どんぶりから後光が溢れてた。
美味かった…美味しかった…美味しゅうございました。
「あぁ、生きててよかった……」
暫くカツ丼の余韻に浸る。
あ、このどんぶりどうしよう……
返し方が分からずどんぶりの前で考え込む
とりあえず袋にしまおうとどんぶり片手に袋を掴む。
そしてどんぶりの入っていた袋にまだ何か入っていた。
「これは……手袋…?あ、指が出せるタイプだ」
それと手紙が1通……
【これから大変な道を歩まれるでしょう。せめて手荒れを防げればと思い編ませていただきました。良かったら使って下さい。大地母神より PS.食べ終わったどんぶりは袋に入れて下さい。】
ぉ、お母様ぁ!!!
夜なべをして手袋編む大地母神が頭に浮かび、目をギュッと瞑って耐える。
手袋を掲げ、良しと気合いを入れて装着する。
おお!ぴったりフィットする!しかも軽くて手の動きを阻害せず、かなり丈夫そうだ!!
おおお!と感動して手袋をマジマジとみる。
そしてあることに気付いた。
「葉っぱで…編まれてる……」
母娘揃っての葉っぱ責めだった。
いや、愛情が込められてるんだ!そんなの気にしないし文句なんか出よう筈もない!!
「きっと上質な葉っぱなんだ!俺の為にこんな葉っぱを使ってくれてありがとうございます!」
やる気が溢れる。そして上機嫌のまま次の確認作業へと移った。
「次は……あぁコレか」
幸子の袋があった。
足でどかした時倒れたのか横になっている。
指で摘み結び目を解き中を確認。
丸い板が入っていた。銀色と銅色の五百円玉位のが30枚程入っていた。
「よし次」
袋を放り投げ次の確認。
えっと…なんだっけ?幸子の加護(笑)を貰った時なんかあったな。
「ぶれーん…でばいす?」
ブレインデバイス…思い出したこれだ。
なんかヘルプも追加されたとか出たな。
……ブレインデバイス
「うおわっ!!」
目の前にいきなり何かが表示された。
地球名 【原弓 初】※この名前は使えません
ゼプニス名 【ウイ】 ※この名前は変更不可です
年齢 【16】
種族 【人種】
称号 【生まれたままの転落者】
【変態葉っぱ】
【葉っぱ横綱】
【大地母神に祈られし者】
ステータス
生命力 : 9999/1160 (1040)
魔素保有量: 2080/600 (600)
火: 80 (55) 木: 290 (260)
水: 65 (55) 魔: 75 (55)
風: 75 (55) 光: 55 (55)
土: 250 (230) 闇: 55 (55)
スキル
体術
魔素適合
言語適合
成長促進
菜植賢美
土魔法
木魔法
植物魔法
装備
世界樹の手袋 ゼンマイ葉のまわし
世界樹の葉袋 葉袋
■■■の■
EX
【幸子の加護】
【偉大なる母の加護】
……
…………
……………………おおおぉ
名前……ウイは嫌なんだけどな……
まぁこれが今の俺か……っても基準が分からねぇしな……人種っていうと只の人類だよな?
おい称号!!色々突っ込むところが多いぞ!!
なんだよ生まれたままの転落者って!!全裸で落ちてきたからか!?仕方ねぇだろ!!風呂入ってたんだから!!
画面に向かって手の甲で突っ込む。
【生まれたままの転落者】
落下中の衝撃特大軽減 ※斬撃、刺突系は対象外
生まれたままの姿に近づく程更に衝撃を緩和する
はっ!?え?なんだこれ?この称号の効果か?
ちょ……ふざけた名前の癖に効果凄すぎない?
……あ!!これのおかげか!!この地下に落ちても生きてたのは……ん?あー岩とかの鋭い出っ張りは斬撃とか刺突扱いだから全身細かい切り傷とかだったのか……
ふざけた名前だけどこれのおかげで助けられたな……ふざけた名前だけど!
【変態葉っぱ】
葉っぱが変態なのか変態×葉っぱなのか…
「消してけよっ!!どうでもいいわ!!ただの変態と葉っぱだろうが!!!しかも×付けるんじゃねぇ!!!絡まねぇよ!!そんなもん誰得だボケェ!!!」
自分で変態と認める様な発言をしてしまい凹む。
「……しかもこの称号効果何もねぇのかよ……只の悪口じゃん……」
テンションだだ下がりである。
そして残りの称号を確認しお母様へ一礼
「次はステータスか……これは……どう判断すればいいんだ?」
称号を確認したように目の前の表示に指を合わせる。
火……火、灰属性の適合値。この数値が高いほど力も強くなる。
水……水、液体属性の適合値。この数値が高いほど技術力も上がる。
風……風、気体属性の適合値。この数値が高いほど素早さが上がる。
土……土、金属性の適合値。この数値が高いほど防御力が上がる。
木……木、植物属性の適合値。この数値が高いほど生命力が上がる。
魔……この数値が高いほど魔素の吸収量、操作精度、保有量が上がる。
光……光属性の適合値。この数値が高いほど闇に対して強くなる。
闇……闇属性の適合値。この数値が高いほど光に対して強くなる。
※また適合値が高いほど各属性魔法の発動効果が高まる。
これは一部の属性を除いた各属性と身体能力が繋がっているのか…
大地母神の加護とか称号があるから土と木がやたらと高いな……
「これはバグかな……?」
生命力と魔素保有量が限界突破してるんだけど………
【生命力】
命の数値これがなくなると死亡する。食事や休息を取ると回復する。
無敵なんじゃね?死ぬ確率が減ったのはうれしいのでそのまま小躍りする。
魔素保有量はよく分からんな。
【魔素保有量】
魔法を使う際に消費される。これがゼロになると回復するまで一切使えず身体能力が大幅に下がる。また減少しても暫く経てば周囲の魔素を吸収して上限値まで回復し身体能力も戻る。
あーなるほどね…バカスカ気にしないで撃ってたら息切れみたくなるんだな。注意だなこれ。
「次はスキルっと」
体術……体の使い方がうまくなる。
魔素適合…魔属性を会得する
言語適合…喋る相手の言語に対応し会話ができる。文字にも対応。
成長促進…成長を促進させる。これは自分を含め、自分が育てている物にも効果を発揮する。
菜植賢美…自分が育てている植物が賢く、美しくなる。
土魔法…土魔法を扱うことが出来る。
現在の会得呪文 なし
木魔法…木魔法を扱うことが出来る。
現在の会得呪文 なし
植物魔法…植物魔法を扱うことが出来る。
現在の会得呪文 なし
この構成はなんか植えて育てて見ろってことか?
「あ、魔法はこれだけじゃ使えない…のか」
かなり残念だ……あれか車の資格をとっても車が無けりゃ乗れないのと似た感じか……
「装備……」
【世界樹の手袋★12】
情報強制閲覧(接触型)
自動修復
汚れ防止
美肌効果
手荒れ抑制
【世界樹の葉袋★12】
マジックバッグ(転移型)
自動修復
汚れ防止
軽量化
【葉袋★1】
袋(劣化)
【ゼンマイ葉のまわし★1】
非常食
「上質どころか貴重すぎる葉っぱだった!!!?」
バッ!と袋と手袋を交互に見る。え?世界樹ってあれだよな?なんかとにかく凄い木だよな?死者の復活とか不老不死とか伝説のなんたらとか……
手が震えてきた。
落ち着こう……
よし…次を見よう。
…………………
………お母様の袋と幸子の袋の差な…これ幸子が依頼主なんだぜ?信じられるか?
「お母様、マジ神です」
いやこれじゃ、そのままだな…
「お母様フォーエバーラブ……」
頬を染めて両腕を掲げた。
キャルルーン♪
【うふふ♪これどうぞ♪】
ティロリロッ♪
葉袋(世界樹)から音がなった。スマホの初期設定音みたいだな……
どんぶりがなくなりどら焼きが入ってた。
……ムグムグ……うましっ!
「残り………なんだけど……」
全身を確認するが何も無い。
「なんだこれ?」
【■■■の■★?】
■■■■■……………
……◆◆◆◆
●●●
説明文までバグっていた…………怖っ
最後はコレか
EX
【幸子の加護】(笑)
植物の神である幸子の加護。これを持つものは植物の成長、効果に大補正。ちなみに好物はカツである。
【偉大なる母の加護】
幸子の母である大地母神の加護。これを持つものは土壌の操作、地形の把握に大補正。ちなみに『未亡人』で好物は和菓子である。
これは幸子の加護から(笑)を外さないとダメそうな効果だよな……クッ、なんか悔しい。
お母様は相変わらず素晴らしい効果です。土壌の操作はまだ出来そうもないけど地形の把握はかなり助かる。今いる地下世界では特に。
だけど何故未亡人のところが強調されてるのだろう?
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