第5話 葉っぱリメンバー
GODフィッシュ達に別れを告げ歩きでしてから数時間………俺は生まれたままの姿でこの地下世界を歩いていた。
「腹が……減った……」
この世界に落ちてからどれくらいの時間が経ったのかわからない。
何回か意識がとんでるし、恐怖で必死に逃げ、痛みで朦朧としてたし……
ただ水だけは暫くは大丈夫だろう。
あれから結構歩いたし、多少結晶の数が減り、大きさも小さくなってきているが結晶の周りには水が湧いていた。
そして減ってきた結晶の変わりに違うものが生えていた。
「…でっけぇゼンマイだな」
横にクルクルっと内側に向かって巻いている山菜……大きさこそ比べ物にならないがゼンマイっぽい植物だった。
「地下菜……山菜ぽいから食べれるのか?これ…」
周りを警戒しながら近づき、太さが女性の手首位あるゼンマイを恐る恐る掴んでみる。
「食虫植物とかそんなんじゃないか……」
高さが自分の胸位あるゼンマイを掴み、引っ張り、力を入れて握ってみた。
「何気に硬いな……爪を立てれば多少くい込むけど……」
爪を立て、付けた傷口からゼンマイの汁が出てきた。
「お?甘い匂い………青臭く無いのは助かるな」
爪に付いた少量の汁の匂いを嗅ぎ、恐る恐る舌先で触れてみた。
「甘い……いや予想外過ぎる味だけれども…まぁ食べれる…」
そんな味に驚きながらも舐めた汁の影響を確かめる為に暫く待つ。
「……異常なし」
腹はすぐに喰わせろ!!胃をコイツで満たせ!!とグゥグゥなってるが念には念を入れてもう少量汁と身を抉り口に入れ、また待つ。
「異常……無し!!」
カブりついた。夢中で咀嚼し飲み込む。頬がリスのようになるが飲み込みながらもまた歯をたてる。
肉厚の茎から甘い汁が飛び散りる。表皮は多少硬いが中は弾力がありまさに肉の様だ。甘さの中にも確かに味がある!ピスタチオの味を濃くしたような味がした。
あぁ!うまい!胃が喜びの悲鳴を上げている!!
「生き返ったぁぁあ!!」
ブフッとゲップを出し地面に仰向けになりながら腹をさする。
このゼンマイを半分程食い散らかした頃、ようやく満腹になった。
「これで食料も暫く大丈夫か」
進む先を見つめ徐々に増えてきているゼンマイに頬が緩む。
衣食住のうち食は暫く大丈夫だろう。
そして衣……え?全裸ですよ?
だが!!
「コレは使えるんじゃないか!!」
ブチィッ!!とゼンマイの茎の根本から生えている葉っぱをむしり取る!縦長で俺の腕位の長さがある。横幅は太ももくらいで多少波打っているがこれが丁度いい!!
鼻歌混じりに葉っぱを装着する。前に付けてた葉っぱとは違うのだよ!ほんとギリギリ隠せてた位だったし。
「素晴らしいだろう……」
ホウッと頬を赤くしつぶやき装着具合を確かめる。
縦長の葉を股間から尻まで回し落ちない様ゼンマイのクルクル部分で腰に固定。まるで葉っぱのオムツを履いているようだ。そしてここからが俺のセンスが光る!
もう1枚葉っぱをちぎり半分に折ってから腰のゼンマイに挟む。
オムツから相撲のまわしみたいになった。
ウム
葉っぱ隊 階級は横綱
「コレは進化したろ。アダムから北京原人位の進化だよな!」
いい加減な事を言いながらやってやった感を醸し出す。
ボロボロになっていた靴替わりの葉を作り直し衣食を確保した俺は一息ついた後この世界に落ちてからのことを考えるため地面に胡座をかいた。
さて、今の俺の状況だ。
まず土建仕事を終わらし、お世話になってるバーに帰り、大華先輩達と話し、手伝い、汗を流す為に風呂に入って、上がろうとしたら湯船の底が抜けて気付いたらここにいた。
オケーオケー…マジ意味不だわ。
まぁその時は夢だと思ってたしスゲーな夢とか思いながらも歩いてただけだし。
んで大木見つけて感動して、リス見つけて貞操の危機に陥って……貞操は守られたが次は命の危機に陥ったよな……夢じゃないって理解したし……いやまぁあれだけの痛みで夢とかだったら俺眠ったまま死ねるんじゃね?
あぁ!クソ!あの虎!!次見つけたらぜってぇ倒す!性格悪過ぎだろ!ニャーニャー言うまでボコったるわ!いや…出来れば二度と会いたく無いけどさ……
まぁそんで逃げてる途中また落ちた。
落ちた高さはわからない。この地下世界見たあとだと有り得ない高さだと思う。何故だ?どんな奇跡でも死ぬだろ?これも謎過ぎるな。
夢……いやこれはいい
結晶の泉みたいなとこに出てGODフィッシュ先輩達に助けられ、今ゼンマイ食って何とか一息……これが俺のここまでか……
胡座をかき、顎を擦りながらウンウン唸っていると
テテーン♪
【新着メッセージが1件あります】
そんな音と声が頭の中から響いた……
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