第4話 最大の感謝を貴方に

「ん……んん……?」


背中がムズムズする…いやなんか背中以外も痒みみたいなムズムズが手足からもする……


うひゃ!背中!なに?!くすぐったい!ムズムズが!ムズムズがぁぁぁ!!


「うしゃっひゃっは!!?」


奇妙な叫び声を上げ飛び起きた。

そして固まった。



最近固まることが多すぎるな……だって理解できない時って固まるでしょ?俺だけじゃないよね?





そして現実逃避なんかしてる場合じゃないと悟り、現状を再確認する。




「…かな……さか……な……に……」




「魚に食われてんですけど俺ぇぇぇぇぇぇええええ!!!??」


うつ伏せで気を失ってたので体の前は付いていなかったが背面、手足、顔の額や片頬などにビッシリと小魚が食いついていた。


バッとその場で横回転ジャンプ!そのまま回りながら着水してバシャバシャと全身を叩き魚を剥がす。


「いやぁぁぁぁあ!!待って!お願い!食べないで!!魚食べたいって言ったけども!!謝るから!!俺、魚様の家畜でいいから!!食べないでえぇぇぇぇえ!!!!」



水中で暴れ、水面から出て暴れ、結晶の上でウインドミルをキメて、やっと体から魚を剥がし終えた。


「駄目だ……絶対生き抜くって誓ったのに……こんなんじゃすぐ死んじゃうよ俺……」



さめざめと泣きながら食われてた場所を掻く。



「あれ?」


体に違和感がある。

痛くない。あれだけ走って逃げて、落ちて全身大小の傷が無数にあったのに……何より背中の痛みが一切無いのだ。


流石に背中の確認は出来ないので大きめの傷があった左ふくらはぎを確認する。




「……塞がってる…」


地下に落ちた時、岩で抉ってしまったのかそれなりに大きい傷があったはず……


まぁ背中の次に大きいのがこの傷だけで全身には細かい切り傷や青あざがあっただけなのだが……よくこれだけで済んだものだ。


だがそのかさぶたすらない。

ちょっとした張りはあるがこれならすぐに治るだろう。

他にも魚に食われてた傷が全て消え、青あざすら無いのだ。

もしかしてと思い両足を水に入れしばらく待ってみる。


すると徐々に魚が集まって来て傷がある部分だけに食いつき始めた。


「これ…この魚ってまさか向こうの世界でいうドクターフィッシュ的なやつなのか?」


結晶に手を付いてその様子を観察する。

するとその手にいつの間にか登ってきたドクターフィッシュ(仮)が食いついていた。


「まさか水陸両方で生きられるのか…?」


魚なのに……凄すぎる。

いや俺はコイツら以下の家畜とさっき言ったが事実コイツらのほうが上位なのだろう……あ、目から何かが出てきた……


グレートドクターフィッシュ!

長いのでGDフィッシュ、いやもうGODフィッシュと呼ぶ事にした。


ここまで感謝した生き物は余りいない。

泣いたもん。魚に感謝して泣いたよマジで。


今返せるものが何も無い為、いつか絶対またここに来て何か備えようと心に刻んだ。


俺の最大の感謝を貴方達に………


「ありがとぅござっっした!!!!」






俺は進む為にまた歩きだす。

全ての誓いを守るため。

そしてこの幻想的な景色を見た事で少しこの世界を冒険してみたいという思いを宿して………












そして少年が去った結晶の上に小さな祠のような建造物と………











折りたたまれた葉っぱが1枚………

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