弾けろ我が息子
少女は、深く息を吸い込み言った。
「一緒に、母を、探してもらえないでしょうか」
「「「!?」」」
突然の依頼に、サカイ達は驚きの声をあげた。
そしてキョロキョロと互いに顔を合わせる。困惑からなのか、暫く無言で顔を合わせていた。
その沈黙を破るように口を開いたのは、アルトだった。
「では、依頼料の話を…」
「待て待て待て待て!お前は黙ってろ」
「サカイ、なんで!!」
「なんか話がややこしくなりそうだから。つーかお前、気付いてないと思うけど今、大分面倒臭いぞ。とりあえず町のギルドに連絡して外に転がってる奴らをなんとかしないと。以来の話をするのはその後でもいいだろう」
「『まずは目の前のことからコツコツと』ってことね」
「理解力がある人は助かります」
サカイは、フィアが普通のことを言っているのにも関わらず、アルトのせいで麻痺してしまい、多大なる尊敬の眼差しを向けた。
フィアは、妙にキラキラしたサカイの眼差しに困惑していた。
「えっ、なんかキモい」
「私のサカイくんに酷いこと言わないで!!」
「ややこしくなるから黙ってろよ!てかいつものお前の方が
そしてサカイは、この一連の流れを全て無かったことにするように真面目な顔を繕った。
「とにかくまずはギルドに連絡をする。この子の話は俺らんとこに連れて帰ってからにする」
そう言ってサカイは連絡用の石を取り出した。
「そういえば、これの名前って何て言うんですか?」
「ああ、カズヤくんには名前までは教えてなかったね。これは、コルトンって言うんだ」
「スターさんありがとうございます。なんか可愛い名前ですね」
「そうかなぁ…」
スターはカズヤの言った可愛いがイマイチ理解出来ていないようで、とぼけて首を前に突き出していた。
そんなことをやっているうちに、ギルドの係らしき屈強な男達がやってきた。
そんな屈強な男らに混じり一人、セミロングの茶髪を揺らす美女が居た。最大の特徴は、巨。何を隠そう“巨”なのである。乳が。
その乳に、カズヤ、サカイ、スター、アルト、マリト――――男性陣はもれなく釘付けになった。彼らはフィアの強烈な睨みに気付いていなかった。それはきっと幸せなことなのだろう。
そして男性陣の視線を集めたお姉さんは血を流し倒れている男達に近づくと、
「これは確かに手配中の盗賊達だわ。一掃してくれてありがとう」
「いえいえこちらこそ。
お姉さんから感謝の念を受け取ったマリトは、その人が気に入ったのか、一人、気を引こうとおだててみた。
お姉さんはマリトに向かって綺麗な笑顔を見せた。もちろん社交辞令なのだが、マリトは誰が見ても分かるくらい高揚していた。
そんな高揚滲み出るマリトの頭に不意に激痛が走った。
「痛っ!!」
「おい…、一人だけ抜け駆けしてんじゃねぇよ…」
その低く、恨みを孕んだ声の主は、スターだった。
スターは、抜け駆けして気を引こうとしているマリトを見て思わず拳を振り上げたのだ。結局、お姉さんはその後マリトに見向きもしないので、殴ったことがプラスだったのかは定かではないが。
勝手に争っている二人を見てお姉さんはドン引きしていた。美女がそんな顔していいのかと思ってしまう程の表情をしていた。
それを見ていたサカイは全然話が進まないことに苛立ち、
「お前ら、うるせええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
声を荒らげた。
「全ッ然話が進まねぇじゃねぇか!エルフの女の子も放ったらかしで、名前すら聞いてねぇんだぞ!俺はツッコミ要員か?そうなのか?ちがうだろ!もうややこしくなるから黙れ!喋るな!!はぁ…、はぁ…、はぁ…」
「「「おぉー」」」
言いたいことを全て吐き出し息切れしたサカイに、自然と賞賛の拍手が起こっていた。
スターとマリトはすっかり見た目が丸くなっていた。心なしか、ギルドのお姉さんに睨まれている気がした。
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「では、今回の報酬、21000ユンドです」
「ありがとうございます。うーん…」
「どうかされましたか?」
「あ、いえ、なんでも」
サカイは、みんなから今回の功労賞と言われたので、代表してギルドの受付嬢から報酬を受け取った。
意外と少ねぇなぁなんて雰囲気を醸し出していたら受付嬢から不思議がられた。
「さて、一旦戻ろう。依頼のこともあるしな」
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一行は、盗賊を倒した報酬を受け取り、アルト一団の拠点へと戻ってきた。
リビングに入ると、窓を全開にして入ってくる風を体全体に受けて立っている全裸のユーラが居た。
「きゃあああああああああああああ!!」
その姿を見たエルフの少女が、先程のおしとやかさを吹き飛ばすほどの絶叫をあげた。
あまりにも大きな声だったので、その場に居た全員が思わず耳を塞いだ。ユーラは声のした方が気になって振り向く。
「きゃあああああああああああああ!!ちn…」
ドタン!
エルフの少女は、ユーラの体のフロント部分をしっかりと目に焼き付け、そのまま顔を真っ赤にして倒れてしまった。
「あ…」
「大丈夫!?ねぇ、ねぇ!」
すぐさまフィアが倒れた少女に駆け寄る。ユーラはそれを見ながらただ呆然と立ち尽くしていた。あまり状況把握ができていない様子だった。
「急に客を連れてくるなよ…」
「いや、全裸でリビングをうろちょろするなよ…」
ユーラは状況把握を早々に諦め、ぶつぶつ文句を言っていた。それに対してアルトがまた文句を言う。二人は責任の押し付け合いをしていた。
フィアはそうこうしているうちに少女をソファに寝転がらせた。そして二人を睨む。
「うるさい!ちょっと、この子どうしてくれるのよ!」
「面目
「珍しい。ユーラが謝った!」
アルトはユーラの謝罪を珍しがって感心していた。
一方その頃、カズヤ、スター、マリトの三人は…、
「「「(ユーラさんのち○こ見ても女性陣動じねぇー!
ユーラの裸に全く動じないフィアとマイマイにただただ驚いていた。
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