第20話 神の名は
ピッ…
REC
「はい。僕が死んだあと目覚めたとき白い家の庭にいました。とても心地がいい場所だった。僕は白い家に歩いて行った。美味しそうなお菓子を焼いている匂いがしたんです」
<続けて>
「はい。家に入ると暖炉が焚いてありました。そして木のテーブルに向かい合うようにした二つの椅子。僕は導かれるかのように椅子に座りました。すると、奥のキッチンから
焼きたてのクッキーが運ばれてきました」
<誰が?>
「はい。それが神です。神はこんな僕にミルクティーを淹れてくれました。そして焼き立てのクッキーを食べてくださいと言いました。クッキーを食べると自然と涙が溢れました」
<続けて>
「はい。神は言いました。あなたは5番目の来客だと。僕は聞きました、ここは天国なのかと。神は首を横に振り、ここは時のハザマだと言いました。選ばれた来客しか訪れることが出来ない特別な場所だと」
<それで?>
「はい。神は僕に力を与えると言いました。全知全能の力を。すべてを変えてしまうことができる力を」
<続けて>
「はい。神は、その力で世界を好きに造り変えていいと言ったのです。そして僕はあの世界に産み落とされました。僕はまず目の前にあった機械を浮かせられる力を確認しました。しかしそれを気味悪がったサイボーグたちは私に暴力を加えようとしたんです。だから止めてくれと頭の中で願いました。するとサイボーグはあげていた腕を振りおろし、まるで電源が切れたかのように動かなくなりました」
<続けてどうぞ>
「はい。しばらく経って僕はこの世界にあるすべての機械を動かせることを知りました。これこそが神の言っていた全知全能の力だったのです。それから数か月後、僕は力を使い軍を操り機皇帝をしてあの世界に君臨しました。そのあとは………ああ…ああぁ…だめだ。頭が……ぐるぐるしています。…ああ、助けて…たす…けて」
<5分のブレイク(休憩)を>
<神はどうして力を授けた?>
「わ…からない。でも神は泣いていました。ミルクティーはすっかり冷めてしまい、部屋がすごく寒くなったような気がしました。神は僕の手を握ってこう言いました。私の悲願のために戦ってくれと」
<…その人物の容姿は?>
「容姿…?何故だろう、思い出せない。白く霞んでいるんです。あの時は確かに見えていたはずなのに」
<髭は生えていたか?>
「…ああ、そうです。白い髭を蓄えていた」
<眼鏡はかけていたか?>
「かけていました。ふちのない眼鏡を…」
<……手の甲にやけどの跡はあったか>
「…思い出した……。大きなやけどの跡があの方にはありました…。そう、神の名は…」
<もういい>
「え……?」
<永久機関に連絡をいれておけ。あとの処分は任せる。機関に送る録画映像は適当に編集しろ。奴らにこの情報を渡すな>
ピッ……
REC終了
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