第19話 筋書き

「英美、何処から出てきた!!監禁していたはずだろ!!扉はどうやって開けたっ!!?」


「ああ、あの指紋認証?単純な話しよ、最初基地で握手したときに手に貼ってたシールで拝借させてもらったわ」



「お前、最初に会ったときから疑ってたのかよ!」驚いたように俺は聞く。


「ええ。ある程度はね」


「舐めてくれるなぁ、英美。なんなんだよ、最初から疑ってただと?」


「舐めてるわよ。野間賢児、27歳、無職。死因は薬の大量服用による中毒死。所詮、地球では現実で生きることを放棄した負け犬よ」


「……苛々するな。顔は綺麗なくせに口は達者なんだね、英美。…ああ、そうしたらもう歯向かうことが出来ないように両手はもう切断してしまおう。いい武器があるんだ!!」


ドルンッ!!

ベイグマンのチェーンソーが物騒な音を立てる。



「…転生人はどいつも救えない馬鹿ばかりね。…いいわ、実験段階だけど…」



ピッ。

腕に付けた英美の時計から何かの動作音がした。


「いいか。英美、お前は僕の……よめ……め…ひ…ぴぎゃ……あ…ぎゃあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」


「今度は何だよ!」さきほどのベイグマンの時のように野間は首を掻きむしりながら、発狂し始めた。


「あら、研究してたよりもよく効くわね、あの薬」英美はまるで実験動物をみるような冷酷な目で野間の様子を見ていた。


「おい、野間に何が起こった?」


「うち(イッカン)で研究してた転生人用の自白剤よ。今のスイッチで投与した薬剤が全身に回ったはず。さっき捕まったときに打っといたの。…それよりもそこの軍人の掃除は任せたわよ、遠野くん。多分、一回暴走したら死ぬまで止まらないわ、それ」


目線を移すと、ベイグマンがニムを投げ飛ばし、チェーンソーを持ちながら俺のほうに突進してくる。


「おいぃぃぃ!!!」


俺は落ちたC・バレッドを拾い、銃口をベイグマンに向けた。

「攻撃対象、異世界ウルスマキナ。アンドリュー・ベイグマン、火力200!!行くぞ!!」


ズドンッ!!!



飛び出た光の弾丸をコンマ数センチでベイグマンは回避した。

ベイグマンのスピードは先ほどに比べると遥かに早くなっていた。


「はぁ!?」


「私が…ししし…支配…支配者になってやるぅぅぅ!!!!!!!!」

ベイグマンは目前まで迫りチェーンソーを振り上げた。


「やば……」


ズガガガガガガ!!!!!!!!!

「ぎがぁあああああああああああ!!!!!!!」

ベイグマンが一瞬膝をつく。背中からは煙が上がっている。


後方から援護したのは地面に這いつくばりながらベイグマンが落としたガトリングを撃つニムだった。


カチャ。

ゼロ距離でベイグマンの心臓部分にC・バレットを当てる。

「き……きき…きさ…まぁぁあああああああ!!!!」


「弾けとべ!!!!!!!!!!!!!!!」

ズドンッ!!!!!

「がぁああああああああああああああああああああ!!!!!!」

ベイグマンが炸裂した光の塊と共に吹き飛ぶ。


「はぁ…はぁ……」




「任務完了ね、お疲れ様、二人とも」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る