王都アルストルーク編【ジャンヌ全面全面戦争】
アルストルーク編#1・・・シイナ
時間がたつのは意外と早いものだった。
緊張していると時間がたつのが遅く感じるとかよく言われることだが、そんなこともないなと感じた。
いや、俺の場合は愛しのミーちゃんがいてくれたからかな。なんて気持ち悪いったらありゃしないことをフィギュアを眺めながら思う。
俺は自分のファッションセンスに身をゆだね、普段あまり着ないようなちょっとおしゃれな服なんか着てみたりする。
「ちょっと派手かな・・・。」
は?どこぞの幼馴染が初めて一緒に出掛ける前夜の服選びだ。誰が幼馴染ルートのヒロインだって?ギャルゲなめんな。
「よし。こんな感じでいっかな」
部屋においてある全身鏡で確認しておおむね服選びは終わった。と思ったら、自宅のベルが鳴り響いた。
の瞬間、いきなり緊張してきた。
母親は夕飯の買い物に出て行って今は俺一人だ。
俺はインターホンへ向かい口を開いた。
「はい・・・。」
コミュ障全開だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
「先ほどお返事をいただいたティナです。アルトさんのご自宅で間違いありませんか」
「はい。」
思考停止しかけている。ここまでに女子に対する免疫が落ちていたとは・・・。
とにかく、最低限の持ち物。スマホ、財布、が入れてあるリュックサックを持ち、二階にある自室のドアを開けて玄関へ走った。
靴にしっかり履き替え、自宅の鍵を持ち、一つ大きな深呼吸をして玄関のドアに手をかざし、
開けた。
そこに広がっていたのは見たことのない街並み。人並み。そして味わったことのないこの空気感・・・。
そして俺の目の前に立っていたのは同じくらいの年であろう美少女。
気絶しかけていた俺の手を取り、優しく語りかけてくれた。
「水。か・け・ま・す・ね。少し冷たいですよ~」
バシャッ!っという効果音が響くと当時に体全身が水でぬらされた。
そのおかげで何とか俺も正気を戻した・・・が、やり方があんまりだ。
「こんなことでビックリしないでよ。私も焦ったじゃない」
少しばかり落ち着いたかわいげのある声。その声の方向へ顔を傾けると少しばかり茶色がかった質感のよさそうな髪を一つ結びに高くして(いわゆるポニーテールだ)
透き通るように透明でぱっちりとした綺麗な瞳をこちらに向けて、うれしそうな雰囲気で
「初めまして。ティナこと『シイナ』です!これからよろしくね、アルトさん」
そのあっさりとした自己紹介でようやく気づいた。ここ、三次元じゃねーぞ。
彼女は不思議そうに俺を見つめたまま、まるで逃がさないぞと言わんばかりに握っていた手の力を一層強くしたのだった。
「えっと・・・。そんなに強く手を握られたら痛いんですけど」
「だって。逃げないか心配なんですもん」
「え?逃げる。何から??」
彼女・・・いや、シイナは不敵な笑みを浮かばせ、高らかと俺に言った。
「アルトさん。いえ、アルト!あなたはこのわたしを真の女神へと導いてくれるお方・・・よね?」
「ん?」
「え?」
「だって、アルトは異世界たるこの世界においての女神を見に来るためにわざわざこの世界へ来たんでしょ」
「ちょっ、ちょっと待ってください!話が全く理解できません・・。確かにそうですけど。だって、女神って――――――――――――――まさかね」
「なによっ!そのバカにするような目で私を見て」
「いえ!決してそんなわけでは。ただこれから女神さまに会えるとなると少し興奮してしまって、憧れだったもので。で、女神さまというのは」
チャットでは私が女神的なこと言ってたけど、この子は多分、女神さまのお付きの人かなんかでこれから俺を美しい女神さまの元へ連れて行ってくれるんだ。
そう、きっとそうだ。うん。絶対そうだ。ああ。そうだとも。・・・・・・そうだよね??????
「如何にも!!!私はアルストルーク時期第四王女。『シイナス・ティナホープ』よ。女神候補にして王都アルストルークの時期王女よ。ビックリした?」
「ほへーーーーーーーー」
正直、この子が何言ってるか分かんないし。てかまずここどこだし・・・なんでこんなとこに来たんだっけ。
「だーかーらー。何よさっきから、そのとぼけたような顔して!ふざけんのもいい加減にしなさいよね!!!私が女神って言ってんの!」
そして顔を赤らんで恥ずかしそうにこう付け足す。
「ま、まだ。候補ってだけだけど・・・ね」
うそ。うそ。うそだああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
こ、こんなに我が強い女神ってあるか?!てか、なんだよ候補って、なに?女神もどきってこと?!そうだよね????
「え。候補ってどういうことなんですか」
「そ、そのままよ!女神になる可能性があるってこと」
いや、まあ、そうだろう。候補ってことなんだから。
「だから、あなたを選んだのよ。アルト。貴公は私を女神に導いてくれる可能性を秘めた・・・いわば私の騎士だ。」
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