第二話・・・たぶん異世界から?

某人気ソーシャルゲームを一人、クラスででぽちぽちしているところ、チャットルームに一通のフレンド申請が来ていた。

  こういうのは何気なく嬉しいものである。

  ためらいなくフレンドの許可を下すと同時にあるメッセージが表示された。


  『フレンドの許可ありがとうございます。これからよろしくお願いします』;ティナ


  と、やけに丁寧な言葉で挨拶のメールをくれた。

  「ティナさんっていうのか~。こっちも返しとかなきゃ」


  『こちらこそフレンド申請どうもありがと!これからよろしくね!!!』:アルト 「送信っと」


  まあ、だいたいというか、ほぼほぼゲームの中でのフレンドさんと言ったらここまでの会話で途切れて終わるのがセオリーである。

  しかし、

  『アルトさんは異世界って本当にあると信じますか?』


  思わぬ返信が返ってきたのだった。

  まず質問の趣旨が明らかにおかしい。が、俺はときめいていた。

  本当はここで「あるに決まってんじゃん!!!」とか返してみたい。だけど、もしかしたらこれはクラスの誰かの仮のアカウントで俺の変な返信が返ってくるのを遊びにしてる

 だけなのかもしれない。そんなことは多分ないと思うが、どうしても臆病になってしまう自分がいる。


  「でも。」


  自分の好きなものに嘘はつきたくなかった。

  それは二次元という大きなくくりの全てを裏切ってしまうような気がしたから・・・。

  大げさだと思われるかもしれない。傍から見ると気持ち悪いかもしれない。でも、好きだから。


  ――――――――――――――。


  『信じるに決まってんじゃん!なんか、変なこと聞かれてるなってびっくりしたけどね笑』:アルト


  なんか面白みのない返信だなと自分で感想を述べ、スマホを制服のぽっけにしまおうとしたその時。


  『私、実は異世界の女神様なんですよ』:ティナ


『え、ほ、ほんとですか・・・」:アルト

  『ええ。ほんとうよ』:ティナ


  嘘かもしれない、遊んでいるだけかもしれない。

  だがよくよく考えてみればこんなことして誰得なのだろう。いいや、誰も得なんかしない。

  だったら全力で信じてみてもありかなと自分に言った。


  「よし」


  握っていたケータイをまじまじと見つめ、文字を人差し指で丁寧に打つ。

  ――――――――オフ会をしたいと。

  こんな事めったにないしもしこれが本当だったら・・・・・・・とにかくすごい。


  それを察していたかのようにティナさんのほうから文字を入力している間に返信が返ってきた。

  それはまさかだった。


  『実際に会って確かめてみる?私が本当に女神だってことを』:ティナ



  これは本当にきちゃったかもしれない!

  俺はその返信を間髪入れずに素早くこなした。


  『いつにします?!自分、いつでも予定開けときますよ!!!』:アルト

  『今から』:ティナ

  『え、い、今からですか?』:アルト

  『うん。今から会いたい』:ティナ

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