超光速ハナクソ-06

 やってやる!

 顔を引き締め、はやる気持ちを押さえ、冷静に右腕を持ち上げて、真っ直ぐに伸ばした人差し指を鼻の穴に突っ込む。

 ぐりっ……ぐりっ……ぬるっ。


 おもいっきりほじくった指先には、馬野郎の包丁にもまけず劣らず血塗ちまみれのハナクソが付いていた。

 力いっぱいほじりすぎた。鼻血出た……。


 しかし今はそんなことを気にしていられない。


「きょっ!! きょえぇぇぁぁぁぁ!!!」


 また奇声を上げて包丁を俺に向けた馬野郎に向かって、俺は早撃ちをするガンマンのように腰を落としてハナクソを弾いた。


「加速加速加速加速加速加速加速加速加速加速加速加速加速加速加速加速加速加速加速かそくかそくかそくかそくかそかそかそかかかかかそく!!!!!!」


 言えるだけの……言えてない所もあったけど……それでも思いの丈を全て込めてハナクソを加速させる。


 たった3回の「加速」で音速を超えたハナクソだ。

 何十もの「加速」を受けたハナクソは、一般相対性理論の枠を超え、物理法則の限界をも捻じ曲げ、容易く……光速を超えた。


 光速を超えてもなお加速したハナクソはどうなるのか?

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