超光速ハナクソ-02
それに気付いたのは1時間前。
バイトも休みで大学へ行く気もなかった俺は、自室でネットを眺めながら鼻をほじっていた。
予想外にデカいモノが鼻から姿を表し、俺は途方に暮れる。
生憎とティッシュは先ほどリビドーを適切に処理する為に使用してしまった。
ゴミ箱は部屋の反対側、1.5m先のベッドの横にある。
手を伸ばしても届かない。
ティッシュもない。
あそこまで歩いて行く気もない。
俺はしっかりと狙いを定め、ハナクソを指で弾いた。
俺の体液に空気中のチリや何かが交じり合ってできたその個体は、美しい放物線を描いてゴミ箱の方へと飛ぶ。
しかし、俺は僅かに目測を誤った。
目的物に到着する前に、それは失速し床へと落ちて行く。
「あっ惜しい! もうちょっと加速!」
思わず声が出る。床に落ちたハナクソを拾ってゴミ箱に捨てるなどという悲しい行動をとりたくない俺の願いは切実だ。
その声に反応するようにハナクソは加速する。
――シュンッ!
空気を切り裂くような音を立てて加速したハナクソは、ゴミ箱の内側へと激突する。
百均で購入したプラ製のゴミ箱がぐわんぐわんと揺れ、最後にはその中身を床へとぶちまけた。
呆然とした俺は、とりあえずのろのろと立ち上がり、何も考えられないままゴミを拾って片付ける。
全てを綺麗に直した後、俺はベッドに腰を下ろした。
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