超光速ハナクソ-03

 加速した。

 俺はもしかしてサイコキネシスの能力に目覚めたのか?

 持病の厨二病の発作が起こり、消しゴムや靴下など、様々なものを加速させようとしたり宙に浮かせようとしたり1時間ほど格闘する。

 しかし、その能力は発現しなかった。


「なんだよチクショウ」


 鼻がむず痒くなり、無意識にまたほじってしまった俺は、苛立ちとともにハナクソをゴミ箱へ飛ばす。

 それは俺の想像した通り、まるで野球の変化球のように不自然な軌跡を描いてゴミ箱へと命中した。


「もしかして……」


 もう一度、今度は反対側の鼻をほじり、出てきたそれを飛ばす。


「加速! 加速! 加速!」


 ハナクソは、わずか3回ばかりの「加速」の声で容易く音速を超え、「パンッ!」と言う炸裂音とともにゴミ箱を木っ端微塵に打ち砕いた。

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