第2話 第一次ヒカリエ抗争-2
※この話は完全にフィクションです。
「り……凛音……?」
「えっと……」
「平次だよ、神谷平次!」
「うそ!えーーー!」
凛音の顔がパッと晴れる。緊張の糸が緩まったようで、涙が眼にせり上がってきていた。
「うそじゃない。凛音はLINEで働いていたのか。まさかこんな時に会うとはな」
「平次は……なんで……」
「僕はゲリラだ。ここのエンジニアを奪いにきた。君たちには悪いけど、これは必要な戦いなんだ」
凛音の優しくなった顔は、急に哀しいような憐れむような表情に変わった。
僕はまさかと思い慌てて今回の対象者リストをスマートフォンで開いた。そこには凛音の名は無く、胸を撫で下ろした。
「誰も、始めないものだと思ってた……」
「凛音、今日に始まったことじゃない。表に出たのが今日この瞬間で、本当はもっと前から始まっていたんだ」
「わたし、わかんないよ……。全然わかんない……。昨日だってうちで勉強会をして、みんな仲良く、ピザを食べたり平和に過ごしていたのに」
その時、
『ドオオオオオオオオオオン!!!!!』
爆発音が轟いた。
「なんだ!? どうした!?」
すぐさま通信が入る。
「神谷!聞こえるか!撤収だ!」
太田の声だ。
「えっ……?」
「聞こえなかったのか!すぐにここを出るぞ!合流ポイントは地下のヒカリエ1.5改札、その奥のポイントチャーリーだ!」
「りょ、了解!」
凛音の方に目をやると、屈んで震えていた。僕が見つけた時と同じだ。
「凛音、君は逃げてくれ。今回のターゲットではない、安心して」
「平次……行くの……?大丈夫……?」
「わからないけど、なんとかしてみせる」
僕は来たルートとは反対の方向、一番ガラスの薄い会議室に向かった。銃でガラスを割り、降下用ロープを設置。すぐさまオフィス階最下層のバルコニー部分へ降りた。ここに仕込んであったもう一つの降下用ロープを使って今度は地上まで一気に降りる。途中何度も訓練のことを思い出し、ブツブツと当時のメンターのレクチャーを反復していた。地上に着いたらすぐに地下のヒカリエ1.5改札へ向かう。
作戦は一体どうなってしまったのだろう。あの爆発音は。他の仲間は無事に逃げ切れたのか。凛音の無事は。様々なことが頭を巡ったが、息を切らし地下道を駆けるしかなかった。
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