第4話 魔法に出会った日

どうも皆さん、エミルです。

俺が生まれて6ヵ月が経ちました。

元気一杯穏やかな日々を過ごしています。


今日は俺の悩みを聞いてください。

なんと俺自我があります。

…まぁこうして皆さんに報告してる時点で

言うまでもないですけどね。

この世界に生まれて6ヵ月。

色々と自分の中でも整理がついてきました。


まず、恐らくこの世界に生まれることになった原因であるあのサイト。

あのサイトにあった

『人生をやり直しませんか?』という質問、

あれは本物であったと考えています。

というか、そうでないと

この状況の説明がつかん。

質問に答えた結果、

俺は今こうして赤ん坊をしている。

考えても元の世界に戻れる気配が無いので

気にしないことにした。

俺の身体がどうなっているとか、

俺は死んだのかとか、

今こうやって赤ん坊として生きてるから、

まぁどうでもいいかなって思っている。

え?軽い?

いいじゃん別に。

君も男なら今の方がいいって感じると思うよ。

だって、ねぇ。

ほら、俺がそう思う原因が来たよ。


「エミル~。いい子に寝てましたか?」


この人は俺の母親だ。

名前はソフィア。

出産したとは思えない

ナイスバデーのお母さんだ。

金髪ブロンドのロングヘアーで、

今日も髪と胸を揺らしながら、

家事に勤しんでいる。

そしてなんと、人間ではない。エルフなのだ。

視界がはっきりする様になってから、

俺も驚いた。

母親がエルフだったから、

俺はこの世界が元の世界とは

別の世界だということを確信した。


「あぁああーー。」

「あら、エミル。どうしたの?

あぁ、お腹が空いたのね。

ちょっと待ってね~。」


至福の時間だ。

こんな美人のおっぱいに吸い付けるんだぞ。

合法で。合法でだ。

こんな幸せがあっていいのだろうか。

誰かに分けてあげたくなる。

……絶対に分けないけどな、このおっぱいは。


そんな感じで俺は

この異世界生活を楽しむことにした。

断じておっぱいに釣られた訳じゃないぞ。

違うぞ。違うからな。


こほん。

話題を変えよう。

今、俺が悩んでいることは

突然この世界に生まれたことではなく、

なんと、この世界魔法があるのだ。

魔法。

そうファンタジーを語る多くの物語に登場する不思議な力のことだ。

この世界では当たり前のように

魔法が使われている。

街並みは中世ヨーロッパの様なのだが、

魔法があるおかけで

便利な生活を送っているみたいだ。

俺もソフィアが魔法で洗濯をしているのを

毎日眺めている。

そして本題だ。

俺の悩み。

それは俺も魔法を使いたいということ。

使えばいいじゃないかって?

できるなら悩んだりなんてしないさ。

今の俺は、

まだ生まれてから6ヵ月しか経っていない。

喋れないのだ。

魔法には詠唱を必要とするらしい。

喋れない俺には詠唱ができない。

つまり、魔法が使えない。


悔しい。使いたい。

どうしても魔法が使いたい。

だって憧れるじゃないか。魔法だぞ、魔法。

喋れる様になるまでなんて待てない。

諦められない俺は、

毎日ソフィアが魔法を使うのを眺めていた。

そして気づいたんだ。

ソフィアが魔法を使うとき、

身体からオーラの様な物が出ていることに。

しばらくは俺も錯覚だと思っていたが、

どうもこれは魔力と言うやつらしい。

更に気づいた、これ俺からめっちゃ出てる。

観察した結果、

魔力は詠唱に従って一定の動きをする。

喋れなくても、

この動きを真似する事ができたら、

魔法使えんじゃね?


それから毎日、

この溢れてる魔力を動かす練習をした。

それは大変な日々だった。

生後6ヵ月にして

魔法の修行に勤しんだ俺は、今日。

遂に魔法を使ってみようと思う。

魔力は、もう手足のように動かす事ができる。

修行の成果だ。

赤ん坊の仕事は、寝て吸って寝ることだ。

とにかく俺は暇だった。

いいだろ別に、暇なんだから。

生後6ヵ月だろうと暇なんだから。

魔法の修行ぐらい許される筈だ。

これは自我が生まれた時からある、

俺だからこそできることだ。

運が良かったのかもな。


ソフィアが洗濯の時に使う

『スプラッシュ』という水を出す魔法を

使ってみようと思う。

詠唱はできないので、

観察して覚えた魔力の流れを真似てみる。

イメージだ、想像しろ、

水が出てくる、水を出す、水、水、水。

魔力の流れを真似しながら、頭の中で叫ぶ。


『スプラッシュ‼‼』


激しい脱力感と共に

コップ一杯分の水が俺の手から吹き出した。

成功だ。俺は勝利の雄叫びをあげた。


「そんなに大声で泣いてどうしたの?

あら、この子お漏らししてるわ。ふふ。」


俺の初めての魔法は、

お漏らしと間違われる結果となった。

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ネットサーフィンから始まる異世界生活 @mineral

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