第26話 永遠の観照者

君たちは、シンプルに絶対死ぬってことを


知識や観念なしに向き合ったことがあるだろうか?


私はある。欝で欝でしょうがなくなった。


でも、ある日、自我を手放して全てを見たとき、


強烈な射精の何倍ものオーガズムがあった。


私は絶望とともに、また限りない慈愛がハートから湧き出てきたことがある。


無であること、その精髄は限りない慈悲、慈悲の大海。


君たちは、まだ死と向き合えないと思う。


そしたら耐えられないから。


主体的意識を客体のみが占め、思考が止んでいるとき、


安らぎと悲哀の終焉と、主客身分の軽快なる法悦の天国がある。


てらわれていないハートは無垢であり、


果てしなく広がる精神の大空には


あらゆる教義や思想はちっぽけで妨げであった。


セメントの上に押してつぶれたみかん。


子供たちに、腕を捥がれたバッタ。


腕も足もない箱のような賢者メルクリウス。


情欲と愛欲の悲哀であるヴィーナス。


大体、私は立派な社会人の方々のおかげで、社会的不適応者でいられる。


ありがとう、社会人たちよ。

 

帰還せよ。帰るとこなんてどこにもない。


全てが我が家。


お帰りなさい。


くつろいでいいんだよ。


万有が銀の音色で、祝福の音楽を流す。


私が微笑んだら、花も微笑んでくれた。


愛ってそういうこと。






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