スコアの世界

鳳山ヒイチ

悲しい僕の考察。


人間を数値化してランク分けするシステム、《スコア》が導入されたのは一年前からだ。

人々は国から配られた首輪型の機械を付けることを義務付けられ、それによって24時間の間、機械に監視される。


そしてこの機械がその人の行動やその結果を逐一記録して査定する。つまり機械が人に点数を付けるのだ。


こうして付けられた点数により割り当てられたランクはその人間の価値であり、社会的評価になる。



こうなる以前も『自分の価値がどのくらいか』、と誰もが一度は考えた事があるだろう。


僕たちは皆、社会に優劣をつけられて生きている。学歴しかり、運動神経しかり、性格しかり、容姿しかり……。


お前はFラン大学だからクズだ。お前は何やっても鈍臭いから使えない。あの人は性格がいいから好き。あの人はブサイクだから生理的にムリ。


誰もが一度は経験がある筈だ。もっと、切り込めば学校のテストの点数だってそうだろう。


そんな数字に何の意味があるの? 勉強ができるとかできないとかなんて関係ないじゃん。


ーー 勉強ができる人は少しだけ記憶力がいいだけじゃないか?


確かにそうだ。だが、社会は人を点数でしか見てくれない。どんなに素晴らしい特技があっても点数がつけられなければそれは0点なのだ。つまり、無意味。


「……あれ? これって、もしかして」


ここまで考えて僕は気がついてしまった。

僕たちは人間が数値化される以前から数字に支配されていたのだと。なんだ、首輪型の機械で何かが変わった分けじゃないんだ。

人は元から数字に支配されていたのだから。


「……ふふ、あははは」


何だか、急に笑えてきた。


「これじゃあまるで人間は数字に支配される事を望んでいるみたいじゃないか?」


その事が滑稽で、滑稽で、滑稽で仕方なかった。


「ふふふ……はぁ」


僕は一頻りに笑った後に大きく息を吐いた。こんなに笑ったのは一年ぶりかもしれない。まあ、これが最期になるのだろうけど。


最後に、この人間が数字に支配される世界で0点を付けられた人間がどうなるかしってる?


答えは……廃棄処分さ。


因みに僕の点数は0点。これから廃棄処分される予定だ。


「20423番、乗れ」


僕の番号が呼ばれる。僕はゴミ収集車に乗せられた。これから向かうのはきっと焼却炉だ。


ーー終わり。




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