筋肉の狂宴とホラの終焉

★帝歴2501年10月14日昼 ホラ城 騎士ライナー



 ガキンッ!


 騎士ライナーの必殺の一撃が、ヤーコプ神父の差し出した両腕で弾かれる。

 その音はまるで鋼を叩いた音だ。


「なにっ!」


 騎士ライナーが異常事態に気づき、斜めに下がりながら間合いを取り直そうとした時、顔の直ぐ横に強烈な風圧を感じていた。


 ブンッ!


 ヤーコプ神父が踏み込んで放った、左ストレートの突きの風圧であった。


 騎士ライナーは、焦った。

 なんと言う風圧、真っ直ぐに下がっていたら頭に多大なダメージを受けていた、危ない所だった。


 ライナーは体制を立て直しつつ、剣を降りヤーコプ神父との間合いを取り直す。

 一度離れた間合いでヤーコプ神父の両腕を見ると、その拳には鈍い光を放つ金属製のナックルダスターがはめ込まれていた。

 騎士ライナーは、目の前の恐るべき手練れの体術とそのナックルダスターから、己の記憶の中にあった名前を導き出す。


「貴様、極みの真実修道会かっ?」


 ヤーコプ神父が嬉しそうに口角を上げる。


「ほう、ライナー殿、その呼び名を知って居りましたか、懐かしい名だ。現在の表の通り名はマジスタベイローマ修道会だがな」


「……ククククッ、そうか、ヤーコプ貴様、極みの真実修道会だったか」


 騎士ライナーは、胸の奥から湧き出す戦慄と喜悦に顔が歪む。

 騎士ライナーが、かつて所属したセイントマッスル騎士団は、極みの真実修道会からの道場破り襲撃を受けて壊滅させられた因縁の相手。


 その当時ライナーは、セイントマッスル騎士団で騎士見習いとして幼年教育を受けていて、先輩騎士たちが、お供数人を連れたモンク武闘僧侶の老人を前に、為す術なく倒されていく姿を間近で見た経験がある。



 セイントマッスル騎士団……正式名は『聖なる肉体とプラーナ魔力の麗しき戦友団』であり、セイントマッスル騎士団は通り名である。

 セイントマッスル騎士団は、プラーナ防御壁とプラーナ魔力による筋肉強化を至上とし、ダルマ経験値を上げ、肉体の限界まで鍛えあげることで、騎士としての最高のパフォーマンスを出す。

 こうして作り上げた肉体を武器に、セト教の教義を守る騎士修道会であり、教皇庁の鋼鉄筋肉の鎧と呼ばれていた。


 その当時の教皇庁は、長く続いたガレリオンセト教国とセト教皇国の二つに別れた派閥争いも終わり、安定へと向かおうとしていた時期。

 極みの真実修道会は、元勇者が指導した恐るべき実力を持ちながらも教皇庁と袂を分かったため、教皇庁から恐れられて異端派認定を宣告される。

 これを受けてセイントマッスル騎士団が、山奥にある極みの真実修道会へと討伐を行っていたのだが、全く刃が立たず、直接の攻撃を諦めた。

 代わりに近くの村や出入りをしていた商人等を襲い、兵糧から攻めようとしていた。

 これに怒った極みの真実修道会の指導者、勇者バイタツ老師が、お供を数人だけを連れてセイントマッスル騎士団の本拠地に道場破りに来たのだ。



★帝歴2477年 セイントマッスル騎士団居城 見習い騎士ライナー7歳


 騎士ライナーは、その時の事を今でも夢に見る。


 その日、朝から厳しい訓練に汗を流してたライナー少年は、騎士団居城の広場にある訓練場に、まるでそこに居るのが当たり前のように入ってきた老人の姿を見た。


 10mを超す巨人?


 いや違う、170cmにも満たない身長だ、だが肉体の発する圧が10mを超す巨人に錯覚させる。

 見た目は確かに老人だ、禿げ上がった頭に深いシワ、皮膚に浮かんだ老人斑

 確かにそこにいたのは、老人なのだが、その肉体が発する物が異常だった。


 まず首が太い。

 丸くパンパンに張った頬は、老人にしては血色が良く、丸い顔に蕩けるような笑顔を浮かべた好々爺の顔だ。だがその顔以上に太い首が下に付いている。


 次に首から下の筋肉も異常だった。

 ゆったりしているはずのモンク武闘僧侶の服がいまにも張り裂けんばかりの肉体。それは服の上からも分かるほどの圧倒的な筋肉が存在していた。

 騎士見習いライナーが所属するセイントマッスル騎士団が、いかに筋肉を重要視しているのか、その騎士達の筋肉を見慣れた棋士見習いのライナー自身ですら分かるほどの異様な筋肉量。


 最も異常だったのは、服の袖から覗く拳。

 指の一本一本は、鍛冶屋がはく分厚いグローブよりも太く、指その物に筋肉が付いている。

 そしてその指の付け根にある拳の関節は、異様なほど盛り上がり、まるで金属のようにテカリを帯びて光っている。


 あまりの存在感に圧倒されて気付かなかったが、老人の後ろには弟子らしき男が3名いる。二人は30代だろうか? 老人のように素晴らしい筋肉の持ち主だ。もう一人は10代ぐらい、まだ細いが良い筋肉をしている、彼の片眉は剃られていて、顔に片方しか無い滑稽さが逆に異様な雰囲気を放っていた。



 たまたま一番近くにいた、棋士見習いのライナーが声をかける。


「あ……あの、お客様でしょうか」


 老人はニッコリとほほ笑みながら答える。


「うん、道場破りに来たんだ。坊主、偉い人を呼んでもらえるかな」


 ザワッ!


 周囲の空気が変わる。その場に居た全員が凍りついた。


 まだ幼かったライナー騎士見習いの耳に入ってきた、道場破りの単語があまりに自然で、ごく当たり前の挨拶をしているかのように聞こえる。


「坊主、聞こえたかい」


「ッイ」


 あまりに自然な話し方に口を開けていただけのライナーは、ハッと我に返ると、言葉の意味を理解し、猛獣に睨まれた子鹿のように、ガタガタと震えながら騎士団のエルダー団長を呼びに行った。



 エルダー団長は、齢50だが、その剣の腕前は神域に達し、剣聖とまで呼ばれる世界でも指折りの達人だ。

 団長ならこのバケモノを倒せるはず、息を切らせて団長を呼んでくると、老人の姿を一目見たエルダー団長が尋ねる。


「どなたかな? かなり名のあるお方と見受けられるが」


「うん、今はバイタツと名乗っているけどね、昔はマースオーヤマと名乗っていたよ」


 と、事も無げに答えた。この時エルダー団長は、ライナー少年の全身の毛が逆立つ程の殺気を飛ばしていたにも関わらず、老人はそよ風が吹いているかのようにケロっとしている。


 老人が名乗った時、周りに城中の騎士が集まってきていたのだが、全員から『どっ』と、感嘆の声が漏れる。

 当たり前だ、幼年兵のライナーでも聞いた名前だ、筋肉を至上とするセイントマッスル騎士団の団員にとっても伝説の名前。マースオーヤマの名前は、物語の中で神格化されたビッグネームだった。


 剣聖エルダー団長は、額から泡粒のような汗を出しながらも、目の前の老人から発せられる圧力に抗して問いかける。


「これは、これは、かの伝説の勇者様の名前ではございませんか、不死身と言われた魔王ミノタウルス相手に寸鉄も帯びず素手で立ち向かい、ミノタウルスの角をへし折って倒した勇者様で間違いございませんかな?」


「うん、そうだよ、昔話だね」


「その勇者様がどう言ったご用件でここに」


「ああ、そうだったね、うちのね極みの真実修道会に、君たちが討伐に来ていただろう? あれね、弟子たちの修行に丁度いいと思ってほっといていたんだ……だがね」


 老人の瞳が黄金色に変わる。

 と、目の前の老人の肉体から、強烈な魔力闘気が吹き上がって周りの空気が目に見えるほど歪む。近くで立っていた騎士達の内、まだ若い者が卒倒してバタバタと倒れていく。


「だが、関係ない者を巻き込んじゃいけない……お前たちは、少しやり過ぎたようだ、騎士団の団旗看板をいただくよ」


 老人の肉体からから魔力闘気が吹き上がる。

 剣聖エルダー団長は、魔力闘気に抗うのは諦め、流水の如く流れにその身を委ねる。剣聖の本能に従いエルダー団長の肉体は、掴みどころのない陽炎のゆらめきのように動いた。


「ジャッ!」


 短い発気と共に抜刀術が閃く。

 エルダー団長のミスリル製の愛剣に、巨大な魔力が乗って鞘走り、凄まじい光りのほとばしりが、前にいた老人の首へ伸びる。


 ガキンッ!


 誰もが老人の首が飛んだと思った。

 ところが、剣聖エルダー団長の目には、自分の愛剣の軌道上に、老人の右腕が上がり剣を弾き飛ばしすのが映っていた。

 剣聖エルダーの目をして正確な動きが見えなかったが、老人の右腕は、上段外受けの型でミスリル製の剣を事も無げに拳で受け止め、その衝撃で剣をへし折っていた。


 次の瞬間、老人はまるで瞬間移動でもしたかのように、エルダー団長の前に立っていた。と、同時に、老人の左拳は左脇の下に畳まれ、発射の準備を済ませている。

 誰も老人の動きに反応できない中、その左拳がゆっくりとスローモーションで見るかのような速度で動く。

 ゆっくりと虫が止まるような速度で伸びた老人の左拳は、身動き一つできないエルダー団長の胸元……両大胸筋の間の胸骨へと叩きこまれた。


 ボモッ!


 鈍い音が響いたかと思うと、エルダー団長の身体は、風に吹き飛ばされるボロ布のように舞い、全身の穴という穴から血を吹き出してオブジェのように城壁に張り付き、絶命した。



 その後は一方的だった、完全武装をした騎士達が老人に襲いかかるが、老人は、騎士の金属鎧相手に薄い氷を割るかのように拳を入れていくと、騎士達が木の葉のように吹き飛び、破壊された姿で倒されていく。


 殆どの騎士を倒すだけ倒し……残り数人。失禁をして立っている騎士が残っているだけ。


「……ふう、満腹だ。後は君たちの修行に使いなさい」


 老人は、残りの騎士が戦意を失っているのを見て飽きたのか、一緒に連れて来ていた高弟達に後始末を任せて、満腹をして満ち足りた赤ん坊のようなあどけない顔をして見学をしていた。


 高弟達も達人の域に達していたが、老人とは違って、その拳にはミスリル製のナックルダスターをはめて戦い、残った数人の騎士達を倒していく。

 いくら一線級の騎士達が戦場へと出張っていたとは言え、城にいた200名を超える騎士の殆どが、1人の老人の手で、事も無げに倒されてしまった。後に残ったのは、ライナー達騎士見習いの幼年兵達だけだった。



 恐ろしい老人が、震えを止めることのできないライナーの頭を優しく撫でながら、静かなな声で囁く。


「坊主、ここの城にいない大人たちが帰ってきたら伝えなさい。もう、うちには関わるな、次に来たら君たちの雇い主の所にも行くよ」



 この事件をきっかけに、セイントマッスル騎士団は壊滅して、流浪の騎士団となり、ライナーは、神聖ピタゴラ帝国に拾われることになる。



★帝歴2501年10月14日昼 ホラ城 ヤーコプ神父


 現在


 騎士ライナーは、かつての子供時代の恐怖を拭うかのように、声を振り絞ってヤーコプ神父に言う。


「あの時は世話になった……貴様の師匠がヤッてくれたセイントマッスル騎士団は、あの後教皇国の庇護から捨てられ、苦難の時期を経て帝国の庇護下に入ったよ」


「ほう、あの時貴殿もいたのか、実は私もバイタツ老師の内弟子としてあの場にいたのだよ。奇遇だな、俺たち極みの真実修道会も、バイタツ老師の死後、後継者争いで分裂して消え去ろうとした後、お前たちの代わりに教皇庁に拾われ、今ではマジスタ・ベイローマ修道会と名乗っているよ」


 ヤーコプ神父は、ニッコリと笑顔で返事をした。


 当時のヤーコプ神父は、バイタツ老師の最後の内弟子として身の回りの世話や、時折見せる老師の奥義を見て盗もうとしていた。

 そんな日々も老師の死後、高弟同士の後継者争いで分裂し、血で血を洗う抗争の末崩壊してしまった。

 生き残った少数の仲間と共に失意の日々を過ごしていたヤーコプ達は、教皇庁に拾われて、今では、教皇庁の影の仕事をしている。


 ヤーコプ神父が続けて答える。


「騎士ライナー殿、いい事を教えよう。我が老師様が常々言っていた奥義の技だ……魔拳力とはな、スピード×握力×魔力……によって生み出されるパワーなのだよっ!」


 ヤーコプ神父が、騎士ライナーの胸元へと滑りこむと左拳を左わき腹……つまり身体の重要器官の中で最も的の大きい肝臓へと、アッパー気味の右フックを叩き込む。

 騎士ライナーは、その動きに合わせて、剣の柄を左拳に撃ちこみ、ヤーコプ神父の左拳の力を逸らして、神父の右側に回り込もうとするが、ヤーコプ神父の動きも素早い。

 ヤーコプ神父の左拳に続いて左足が上がり、騎士ライナーの右太もも…大腿四頭筋、外側広筋を蹴りぬく。下段蹴りだ。


 ダスッ!

「グッヌオッ」


 騎士ライナーが吠える。


 ブンッ!

「アガッ」


 ライナーの持った剣がヤーコプ神父の右上腕部へと振りぬかれ、ヤーコプ神父が吠えた。


 強烈な下段蹴りを受けながらも左手に持った剣を振りぬいたライナーが、騎士としての意地を見せた。

 プラーナ防御壁はライナーの肉体を守ったが、右足大腿四頭筋、外側広筋には大きな傷みが残り、身体の動きを阻害する。この時、苦し紛れにライナーの振り払った剣がヤーコプ神父の右腕上腕二頭筋に当たり、一矢報いた形になる。


「ライナー殿、なかなかやりますな」


 ヤーコプ神父は、右上腕二頭筋に走る激痛に耐えながら、次の一撃を放つタイミングを図っていた。

 間合いは相変わらず短く、ヤーコプ神父の物だ。


「ぬかせ」


 まだ騎士ライナーの戦意は失われていない。だが、その右足へのダメージは、騎士としての動きを奪っていた。


 勝負は、一瞬だった。


 騎士ライナーが剣の柄でヤーコプ神父を押し飛ばすように突いて、剣の間合いを開けようとした。

 この時の隙を逃すヤーコプ神父ではない、逆に剣を握る腕を蹴り上げ、がら空きになった左大胸筋下部……心臓へと左正拳突きを叩き込むと、騎士ライナーの身体は、糸の切れた操り人形のように倒れ、勝負は決した。



 ヤーコプ神父が、倒れた騎士ライナーに止めを刺そうとした時、部屋のドアが開き、兵士が飛び込んでくる。

 飛び込んできた兵士は、部屋の中の惨状を見て凍りつくが、ヤーコプ神父は何事も無いかのように兵士に尋ねた。


「どうした? 」


「は、大変です、川の堤防が崩れ、大量の川の水がホラの街へと押し寄せてきています。まもなく城の中にも入ってくると思われますが、街にはまだ傭兵たちが大勢おり脱出もままなりません……が、こ、これは?」


「お前が知らなくても良いことだ……」


 ……くそっ、モニエ渓谷の土砂ダム撤去は失敗をしたのか……

 だが今更こうなってはどうでもいい、ヤーコプ神父は少し考えて、もう一度兵士に向かって指示を出す。


「そうだ、あいつら……地下牢に閉じ込めていた冒険者達を全部解き放て、街で暴れている傭兵たちにぶつけよ」


 毒をもって毒を制すだ。

 ヤーコプ神父は、足元で倒れている騎士ライナーを見て、すでに瀕死の状態であると判断するとそのまま捨てて部屋を出て行く。



★ホラ城地下牢 ヤーコプ神父


「貴様らを助けに来た、急いで逃げるぞ、続けっ!」


 次々と地下牢の扉を開いていく。

 何が起きているのか全く理解できていない冒険者達を連れて、ホラの街中へと飛び出す。


「急げっ急げっ」


 一緒にいる兵士にも冒険者達にも考える暇を与えず、急がせ続けて街中を進む。

 すでに道には水が流れ込んでいて、残っていた傭兵たちが大騒ぎをしていたが、冒険者達とホラの街の兵士の人数を見て逃げ出し、衝突は起きなかった。



 ホラの街から無事脱出したヤーコプ神父は、着いてきていた兵士や冒険者達に向かって言い放つ。


「ホラの男爵様はもういない、お前たちも好きにしろ、俺も好きにする」


 と、言い放つと何処かへと去っていく。


 冒険者達も仲間達と顔を見合わせて頷き合うと、同じようにバラバラにホラから去っていくが、残された兵士達は呆然と街が水の中に沈んでいくのを眺めていた。



★帝歴2501年10月17日 ホラの街の郊外 街の住人……難民


 この日から三日後、郊外に親類もなく行く宛の無かったホラの街の住人たちは、かつての街が見える丘の上に呆然と幽鬼のように佇みながら、ただ飢えていた。


 何とかしなければ、と気持ちは焦るのだが、ショックのあまり身体が全く動かない。絶望が彼らを支配していた時、街道の方から大量の馬車と兵士達が迫ってきている。

 よく見るとヒューパの旗だ。


「もうお終いだ、ヒューパが攻めてきたぞ、俺たちへの復讐にきたんだ」「いや待て、ヒューパに降伏するんだ、ホラ男爵の一族はもう居ない、降伏するんだ」……


 色々な意見が飛び交い、一部は我先にと逃げ出してパニックになっていた中、ヒューパの軍勢の中から一騎が駈け出して、難民の群れへと向かってくる。

 馬を御しているのは浅黒い肌をしたダークエルフだ、その馬の前には黒髪の幼女が乗っており、何かを叫んでいる。


「ヒューパはあなた方を攻めない、逃げる者は追わない。我々に従う者には食料を与え庇護する。ヒューパに従え」


 食料をくれるだと?


 難民達の多くの気持ちが傾きかけた時、貧民街の顔役だったオオカミ族の獣人の男が立ち上がり、難民達へと叫ぶ。


「ホラ男爵の時代はもう終わった、俺たちはヒューパに従うぞ、ヒューパに助けてもらうんだ」


 難民たちは腹ペコの状態から気力を振り絞って、同意の返事をする。

 オオオオー。


 先ほどの顔役の男が、ヒューパからの使者の幼女の元へと行き、何かを話していた。


「上手くいきましたね、大変なのはこれからです、貴方の働きを期待していますよ(小声)」


「はい、お任せください」


 顔役の男が後ろを振り返り、難民たちに叫んだ。



「ヒューパの姫様が我々を助けてくださる、救世主さまだ、ヒューパの姫様こそが救世主さまだー」


 この日からホラの地は、ヒューパに占領された。


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