第5章 教団本部 ―Sion Side―
Episode17「マザーブラッド」
『お前は俺に負けた、ってことでソフィアは頂いていくぜ』
ゼファーのその言葉が忘れられない。
レヒトとゼファーの死闘はこの世界が何なのか分からなくなる、世界の理を超越した戦いだった。エリスの力は常軌を逸している、だけど突然現れたあのレヒトという男も理解の範疇を超えていた。
何故命懸けの戦いであるにも関わらず二人が楽しそうに笑っていたのか僕には全く解せない。終盤になるにつれて二人はまるで悪魔に憑依されているようにさえ見えた。
ただレヒトという男には最後まで翼が現れなかった。彼は終始魔法のような力を使わず、肉弾戦であの悪魔のようなゼファーと互角に渡り合ったのだ。彼が人間でないことは確かだがその正体は想像がつかない。
しかしそんな死闘も意外な幕引きを迎えた。セインガルドの王室騎士団の登場によってゼファーとレヒトは戦闘を中断し投降したのだ。あっけない幕切れに不穏なものを感じているとレヒトは素直に捕まり、どんな手段を使ったのかゼファーはその包囲から抜け出しエリスとソフィアを連れ去っていった。
僕は死にはしなかったものの、それはソフィアがいたからであって彼女がいなければ僕は間違いなく死んでいた。だからゼファーとの勝負に僕は負けた…ソフィアを奪われるのも仕方ない、全ては己の非力が招いた結果だろう。とは言え納得なんて出来るはずもない。
ソフィアが連れ去られた場所は容易に推測出来る。レヒトが現れる前、エリスとの会話…恐らくゼファーは王室からの命令で動いてはいるが、目的は教団にソフィアを引き渡すことだ。
ソフィアが最後の鍵になるかもしれない…その言葉の意味は分からないが、連れ去ったとすれば教団本部があるというB地区で間違いないだろう。
レヒトを見捨てて逃げ出したことに罪悪感は感じたけれど、ここで僕まで捕まる訳にはいかなかった。せめてソフィアと一緒にエリスも救い出す…それが彼への罪滅ぼしとなればいいのだが。
そんな僕は今まさに教団本部のあるB地区にいた。
王室騎士団が現れた後のゲートは開かれたまま無人だった。本来なら決して有り得ないことだが、事態が事態だったため騎士団といえど油断していたのかもしれない。
僕は気付かれないよう混乱に乗じてB地区へと潜り込んだ。そして現在は教団本部の所在を見つけるため街を散策している。流石に蛇の首がB地区にいる事はないだろうし、日中は教団のヴァンパイアは活動出来ないため危険はほとんどないとは思う。とは言えゼファーなどに存在を気取られる危険も考えて目立たないように行動しなければならない。
C地区より更に中央寄りという事で、B地区はC地区に比べて面積がかなり狭く、人口も少なめだ。A地区は原則的に王室関係者しか立ち入れない為、言わばB地区にいるのは王室を除く富裕層の人間のみ。人口密度が薄いためB地区内は見つかる危険は高いものの、散策はし易い場所と言えよう。
ただ教団本部とは外見からして分かるものなのだろうか。夜になればそこからヴァンパイアが出てくるだろうし臭いですぐに分かると思うが、それは相手からも僕の存在を見つけ出せることになる。つまり勝負は日が沈むまでの間…。それは日中も活動出来る僕だからこそ出来る行動だ。
しかし一つだけ問題があった。仮に教団本部を見つけたところでどうすればソフィアを救い出せるのだろうか。間違いなく本部には大量の、先日戦闘した連中と同等かそれ以上のヴァンパイアがいるだろう。それどころかゼファー達がいる可能性も高い。それら全てを排除し、
どうにかして潜り込みソフィアを連れて逃げ出したいところだが今の僕は孤立無縁、とてもじゃないが一人で何とかなるとは思えない。あのレヒトという男が一緒にいたら…そんな事も考えたが、素性も知れない危険な男に頼る訳にもいかない。
結局気持ちだけ先行して今こうして教団本部を探しているけど、見つけた後の事は無策のままだった。それでも今出来ることは全てやっておきたい一心で注意深く街を散策する。
そうして歩いていると一件の民家の前で僕の足が止まった。窓がなく一切日差しの入らない造りで、豪邸やお洒落な民家の並ぶ中でここだけ異様に感じる。
近付くと仄かに香る同属の臭い。何処か中が覗ける場所はないかと家の周りを一周するが見事に壁だらけで中の様子はまったく伺えない。他には煙突があるぐらいだが、仮にここが教団の本部だったら侵入した瞬間に戦闘になる危険もある。時刻はまだ昼だが室内は恐らく暗闇に包まれている…ここで突撃するのは危険過ぎるだろう。そうこう考えていると家の中から誰かの声が聞こえてきた。
「…どちら様だい?」
男の声だ。驚いたが動揺を悟られる訳にもいかず至って平静を装う。しかし何と返せばいいのか分からずに逡巡し言葉に詰まってしまった。
「君は…日差しが平気なのか…?」
そんな虚を突かれた言葉に鼓動が跳ね上がる。
日差しが平気…この声の主はヴァンパイアのことを知っている。だとすれば本当にここが教団の本部なのか、そう思うと体が震えだした。
思わずその場から後ずさりしてしまう。
「ま、待ってくれ!」
しかし男の声は何処か切羽詰っているようだった。とてもこちらに対して敵意を持っている様子ではない。
「君はまさか…ソ、ソフィア様と一緒にいるのか…?」
間違いない、この男は教団関係者だ。加えて僕がソフィアと関わりがある事にも感付いている。
「た、頼む逃げないでくれ! 私に敵意はない…本当だ!」
危険と判断しその場から一気に離脱しようとするが、男の悲痛な叫びに足が止まった。
「あなたが…僕の敵じゃない証拠は…?」
「…私は
非常に判断し辛い内容だが、嘘を言っているようにも思えない。確かにここが本部とは思えないし、隠れて住んでいるように見えなくもない。そして
若干の不安はあるけど今のままじゃ事態は何も変わらないだろう。僕は思い切ってその男を信じることにした。
「…分かりました、確かに僕はソフィアと一緒に行動をしていた者です」
「やはりソフィア様と!? 今は一緒ではないのか!?」
「今は恐らく…教団に捕らえられています」
「何と…ついにソフィア様が…。分かった、立ち話もなんだし良かったら上がっていってくれないか。鍵は開けてある、分かっていると思うが…扉はすぐに閉めてくれ」
…今はもう彼を信じる以外に道はない。それにもし彼が協力者となってくれるなら何かしらの打開策も見つかるかもしれない。
意を決すると僕は扉を開き、言われた通りすぐに扉を閉める。そして目の前にあるカーテンを開くとテーブルの上には一本の蝋燭が灯っており、その横の椅子に黒いローブを纏った男性が腰掛けていた。
「はじめまして、私はクロフト。まずは私を信じてくれた事に感謝する」
「…僕はシオンです」
「シオン君か、早速だが先程の話を詳しく聞かせて欲しい。ソフィア様はいつ教団へ?」
まだ若干の疑惑はあるものの、僕は昨夜の話をかいつまんで伝える。
「成る程…王室と癒着があるのは分かっていたが…教団に現れるあの男…ゼファーが蛇の首の首領だったとは…」
クロフトは神妙な面持ちで何かを考えているようだった。
室内を見渡すがテーブルと暖炉、そしてベッドがあるぐらいで隠れているというのも頷けるほど質素な作りである。
「ありがとう、では今度はこちらが話をする番だな」
「…まずあなたは何者ですか?」
「私は
「元…?」
「
思えばソフィアからは教団に追い掛けられている話しか聞いていなかった為、そんな事になっているとは少し意外だ。しかし思い返してみれば教会での一件…確かに教団員にはソフィアへの敬意があった。
「教団の使命は世界で彷徨うソフィア様を保護する事。行く行くは我々を導いて頂く…はずだった」
そこでクロフトは唇を噛み締めると怒りからか声が震え出す。
「にも関わらず教団がやっている事は何だ…保護という名分でありながら彼女を傷付け動けなくしても構わないと…!」
そう言うと拳を強く握りながら忌々しげに吐き出す。
「教団の教えは素晴らしい、だがその教団が教えに背くような活動をするとは一体どういう事か…あまつさえ神とするソフィア様に危害を加えるなど言語道断!」
話しながら熱くなっているのか机をドンと叩くと体を震わせながら尚も続けた。
「私と同じ考えを持つ者は他にもいたようで教団内部から反乱を企てる者が次々と現れた。そうした者達と連絡を取り合い、教団よりも早くソフィア様を保護し御守りする…それを目的に結成された反対勢力が血の盟友だ」
「じゃあクロフトさん、あなたはその…」
「そう、私も血の盟友の一人だ。私はかつて教団本部にいたという事でこうして同じB地区に隠れて教団を監視する任に就いている」
「そうでしたか…でもよく僕がソフィア側だと分かりましたね」
「臭いだよ、君からは血の臭いがするものの私達のような教団員とは違う…あの腐った臭いがしないんだ。しかし日中にも関わらず外を歩いていたという事は…君はソフィア様から直接力を…?」
その言葉に小さく頷くと、突然クロフトの態度が一変し突然僕の前に跪いた。
「あぁ! だとすれば貴方様もまた母ソフィアの息子であらせられる!」
「や、やめてください。僕はソフィアに命を救われた…だから今度は僕が彼女を命に代えても救い出さなきゃいけないんです」
慌ててクロフトの肩を掴み立ち上がらせる。確かにソフィアに直接吸血されたのは僕とゴードンしかいないんだから、ある意味彼らにとっては僕も教祖に近い存在なのかもしれないがそんな事は望んでいない。
「そうですか…いや、そうか…。とにかくソフィア様が捕らわれたのなら事態は一刻を争う」
僕の気持ちが分かってもらえたのかクロフトは椅子に座ると再び神妙な面持ちになる。
「ゴードンはソフィアを捕らえて何をしようとしてるんですか?」
「恐らくだが…教えと同じだとすれば父と母が一つとなる…つまりゴードンはソフィア様を喰らうつもりだろう」
「喰らう…?」
「そうだ。奴はソフィア様の血肉を糧に力を手に入れ、この世界の神に君臨するつもり…というのが我々の見解だ」
ゴードンは何処までソフィアの力について把握しているのか分からないが、今の話からすると恐らく月の秘密の魔力については理解している。彼女の力は天使から貰ったもの…それを奪えれば確かに神に近付けるのかもしれない。だがそんな事を見過ごせる訳がない。
今こうしている間にもソフィアが奴に喰われてしまうかもしれない、そう思うといてもたってもいられなかった。
「待つんだ!」
思わず部屋を飛び出そうとするが僕の腕はクロフトに強く掴まれていた。
「何か策があるのかい?」
「そ、それは…」
「…私達には策がある、まずはそれを聞いてくれないか?」
クロフトの真摯な眼差しに一度冷静になると椅子に腰を降ろした。
「捕まったのが昨夜だとしたら、恐らく儀式が決行されるのは早くて今夜…。場所は教団本部の最上階…月の間だろう」
元本部の者だけあって内部の構造には詳しいようだ。彼の協力があれば本当にソフィアを救い出せるかもしれない…僕は集中してクロフトの計画に耳を傾ける。
まず月の間とは外に晒されているため日中に利用することはないそうだが、その場所は高く聳え立つ教団本部の最上階に位置し、高さはセインガルドを囲う壁よりも高いと言われているらしい。故に月の間はその名の通り月に最も近く月光を集約するように作られている為、月の出ている夜はまさにヴァンパイアにとっての聖地となる。ただそんな壁よりも大きな建築物はあればすぐに見つかっていそうだが、話はそう簡単ではなかった。
どういう仕組みかは分からないがカモフラージュの魔法でも掛かっているかのように教団本部の外見は実際の姿とは異なるらしい。そんな便利な魔法なんてものが存在するのかと懐疑的になるが、思えば実際にゼファーは魔法のようなものを使っていた。そのゼファーが教団に味方しているなら確かにそんな魔法があってもおかしくはないのかもしれない。
そして儀式は間違いなく月の間で行われるだろうとの事だが問題は侵入経路だ。月の間に続く扉はゴードンの執務室にあるらしいが、その扉を潜れる人物は限られている。それは教祖ゴードンとゼファー、そしてゼファーとよく行動を共にしている教団参謀のマリエルという女性の三人だそうだ。初めて聞く名前だが、ゼファーと同じくこのマリエルという女性も恐らく人間ではないだろう。ヴァンパイアか、ゼファーと同じく悪魔のような存在なのか定かではないが、何れにせよ力尽くでの奪還はますます困難に思える。
「さて、侵入方法だがここに閃光弾がある」
そう言ってクロフトはベッドの下から埃の被った木箱を取り出すと、中には導火線の伸びた丸い球が敷き詰められていた。
「君は光が平気なのだろう? 突入時に私と数名の団員でこの閃光弾を使用し進路を切り開く。その後はこの命に代えても君を執務室まで案内しよう」
「で、でもその扉は…」
「扉を開けるゴードンはソフィア様に吸血された存在だ。つまり君も扉を開ける可能性がある」
ソフィアは月の間にいる…だとすればその扉を僕が開けないことにはどうやっても手出しは出来ない。どうなるかは分からないが執務室に行く以外に選択肢はなさそうだ。
「仮に僕が月の間に辿り着けてもそこには…」
「間違いなくゴードンがいるだろう。しかし君は何とかしてソフィア様を連れ、月の間から教団の入り口目掛けて飛び降りて欲しい」
「月の間から…飛び降りる…!?」
話によれば月の間は壁よりも高い場所に存在している…流石の僕でもそんな所から飛び降りて助かるとは到底思えない。
「教団本部の入り口は我々が必ず制圧し、可能な限りの緩衝材を用意する。それなら月が出ている間であれば即死する事はないだろう」
「それって…少しでも着地地点を誤れば…」
「ソフィア様諸共即死だ。だから失敗は許されない。しかし君はソフィア様を必ず救い出す…そうだろう?」
その迫力に押され何も言えなくなる。
どうやらクロフト達、血の盟友は僕と同じぐらいにソフィアを想い、彼女を守る為なら命を賭す覚悟がある。そう思うと同志が出来たようで心強い。
「…分かりました、その後はどうすれば?」
「その場に逃げる為の馬車を用意しておく。君達はそれに乗ってセインガルドから逃げ出すのだ」
「ゲートはどうするんですか?」
「悪いとは思うが…この国の兵士には犠牲になってもらうしかあるまい」
血の盟友の団員がゲートにいる兵士を排除し、道を切り開くということらしい。確かに月が出ている間ならいくら人間の兵士が束になろうとヴァンパイアに勝つことは不可能に近い。
「時代の変革はまさに今夜決する。我々血の盟友は総力を上げてソフィア様を奪還せねばならない。その為の血の盟友である」
「…分かりました、その計画でいきましょう」
「…最終的に君一人に押し付けることになってすまない。だがソフィア様が教団の手に落ちた以上、我々に残された未来は君に託すしかないのだ…」
「いいんですよ、僕一人では何も出来なかった…だからありがとうございます」
「礼は終わってからだ、必ずソフィア様を救い出そうじゃないか」
クロフトはふっと笑みを浮かべると手を差し出し、僕もまたその手を強く握り締めた。
「では早速近くにいる連絡員にこの事を知らせてこよう」
「外に出ても大丈夫なんですか?」
「なに、少しの間ならローブを羽織っていれば何とか…」
そう言ってクロフトがフードを被り外に出ようとした瞬間、室内に身の毛がよだつような、おぞましい邪悪な気配が溢れ出す。
「この私が覗き見とは些か不本意ですが…予想通りでしたね」
部屋に響き渡る透き通った声が聞こえるがそれはあまりにも邪悪な声。ゼファーのように聞いているだけで言いようのない恐怖と圧迫感が襲い掛かってくる。
そして部屋の隅から黒い霧が出てきたと思うと、その中から一人の男が現れた。
「こんにちは、お邪魔しますよ」
真っ黒い燕尾服にハットを被った端正な顔立ちで流れるような動作で頭を下げる男。一見すれば紳士的な態度に見えるが、隠す気がないのか禍々しい狂気を辺りに振りまいている。
「話は聞かせてもらいました。申し訳ないですがそのその計画を看過する訳にはいきません」
「な、何者だ貴様! まさか教団の…!」
「
「僕達の敵…だな」
「そうなりますかね、いやはや初対面なのにこうも敵意を剥き出しにされると些か傷付く」
僕とクロフトは咄嗟に構えを取るが、もしこいつがゼファーのような存在だったら万が一にも勝ち目はない。
「あぁ自己紹介が遅れました、私はバイエル…王室に仕えるしがない使用人ですよ」
そう言って柔らかい笑みを浮かべる男だがその笑顔の裏からは狂気しか感じられない。
どうする、どう考えてもこいつはゼファーと同等の力を持っている。ここで下手に動けば僕達は確実に殺されるだろう。だが寧ろ今もこうして殺されずに済んでるという事は、彼の目的は僕達の排除ではないのだろうか?
やろうと思えばいつでもやれるはずだ。そう考えるとまずはこのバイエルという男の目的を知るのが先決のように思える。
「…目的は何だ?」
「目的、ですか。私はただ計画の邪魔をしようとする者が変な行動をしたら止めるよう言われているだけですよ」
どうやら僕達の計画は筒抜けのようだ。だとすれば何故手を出して来ない?
生かされているのには何か理由があるに違いない。
「…じゃあ何もせずに帰ってくれるかな」
「んー、それも良いのですが…それだと君は止まらないでしょう?」
「…やっぱり計画は中止にするかもしれない」
「はははっ、面白い事を言う子ですね。そうしてもらえると助かるのですが…そうだ、折角だし教団本部へご案内しましょうか?」
そんな予想外の提案に当然ながら僕は警戒心を強めるが、どうにも冗談を言っているようには見えなかった。
「どういうつもりだ…?」
「引き裂かれた二人…すぐ側にいるのに手が届かない…嗚呼、人間のこういった儚い物語って素敵だと思いませんか」
「…悪趣味だ」
「ふふふ、気になるのですよ。人間とはどういうモノなのか…ね。私はあくまで君が変な行動を起こす前に止めるよう言われているだけ。止めた後はどうしようが勝手なのですよ」
「…生かそうが、殺そうが?」
「その通り。ですから教団本部の牢で良ければお連れしましょう。本音を言えば儀式とやらにも立ち会わせたいのですが、それは流石に主に怒られそうなので…。あぁ勿論そちらのお友達もご一緒して良いのですよ?」
そう言ってクロフトを見やる男だが、まるで蛇に睨まれた蛙のようにクロフトは体が動かないようだった。呼吸すら忘れたかのように苦しそうな息遣いが聞こえてくる。
「ご一緒しないなら危険そうですしここで消すしかないんですけどねぇ…」
「行こう…クロフトさん。ここで下手に動けば僕達は犬死にだ。それなら生きて…生きてチャンスを伺うんだ」
「はははっ、良いですね! それですよ私が見たいのは! 私はちゃんと警告し阻止をした…この後どうするかは君達のご自由に。では付いてきなさい」
バイエルはそう言うと軽い足取りで室内から出ていく。
ここで逆らえば僕達に命はない。それにわざわざ教団本部に案内してくれるというのだ、チャンスはまだあるはず。
クロフトと顔を見合わせ互いに頷くと僕達はバイエルの後を追いかけた。
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