Episode16「死の宴」

「あぁ、クソ…何処にいるんだあのバカ」


 すっかり日が暮れてしまった。セリアと別れてから真面目に探してみたもののエリスは未だ見つかっていない。

 思えばエリスを探す一番のヒントは問題を起こすかどうかだ。あいつが問題を起こすと踏んだ上で簡単に見つけられると思っていたがどうにも中々、俺はあいつを侮っていたらしい。エリスが大人しく可憐な少女を演じていたら探し出すのは困難となる。

 大人しくしていれば普通に可愛い女の子なのに…などと思った瞬間、反吐が出そうになった。見た目だけで判断するのは危険だ、第一俺は断じてロリコンじゃない。

 いやしかし思えばあいつが出て行ったきっかけは明らかに俺のキス…のはず。つまり俺はロリとキスをしてしまった訳だ。当然ながら俺がしたくてした訳じゃないからノーカウントだと思いたい。

 だがエリスは初めてのキスとか言ってたし、考えてみればああいう頭の中がお花畑のガキってのはファーストキスに尋常ならざる思い入れがありそうだ。例えばファーストキスはロマンティックな雰囲気で王子様が優しく…なんて思っていそうで怖い。仮に俺が王子様だったとしてもまずロマンティックな雰囲気などクソ食らえだ。おまけに王子様の格好をした自分などとても想像出来ない。

 ただもし…本当にあいつがそんなものを夢見て生きるファンタジーな生き物だとしたら…。


「…おぇ」


 もしかして俺はとんでもないことをやらかしたのではないか?

 謝るつもりなんて更々ないが、今後の事を考えると恐ろしくなってきた。

 例えば責任取ってください、とか言い出したら…?

 キスだけで妊娠するとか思ってたらどうしようか。考えれば考える程あいつに会うのが恐ろしい。

 いやしかし…そもそもエリスは人外の生き物の可能性だってある訳で…本当にキスだけで妊娠したり…


「いやいや…いやいやいや…ハハ…そんな馬鹿な…」


 何て事だ、もし本当にそうだとしたら取り返しが付かない事になってしまう。世の中まだまだ分からない事だらけだ、その可能性も絶対に無いとは言い切れない。


「…さて、早いとこB地区に逃げるか」


 我ながら探したりやめたりと不安定な事この上ない。どうにもエリスの事となると俺はおかしくなるようだ。何故こんなにも苛立ちを覚えるのかまるで分からない。

 これ以上考えるのも面倒になり俺は審査が終わってるであろうゲートへ向かって歩き出そうとするが、その瞬間に激しい頭痛が襲ってくる。耳鳴りと共に眩暈がし、ついには立っていられなくなりその場で膝を突く。


(何だこれは…?)


 突然瘴気に当てられたかのように体が言う事を聞かない。それと同時に体の内で何かが暴れ回っているのが分かる。やがて視界は白く霞みだし、耳鳴りは徐々に雑音となる。


 意識が現実から引き離され、まるで別の世界へ飛ばされるような錯覚。

 頭痛が治まりゆっくり目を開くとそこは上も下もない、一面茜色の空の中に俺はいた。


「浮いてる…のか…?」


 何が起きたのか分からず困惑していると俺の後ろから物凄いスピードで何かが前方へ向かって飛び出していった。見ればそいつらの背中には翼が生えており、二対だったり六対だったりその形は様々だ。だが俺と同じぐらいの背丈の奴がいれば下手すればセインガルドの壁をゆうに越える規格外の大きさの奴もおり、その正体はまるで見当が付つかない。

 そしてエリスのように翼の生えた大小様々な何かは逆にこちらへ向かって突っ込んでくる、これまた同じく翼を生やした何かと交戦を始めた。しかしその戦いは俺から見ても異常としか言いようがないものだ。

 光の剣や槍を持った連中が光速とも言える速さで動き回り、互いに殺し合っている。それは俺ですら目で追うのがやっとな戦いだ。

 呆然としていると光の矢のようなものが俺のすぐ横を掠めた。明らかにこれは夢であるはずだが、妙に現実味がある。何より俺はこの異常な光景を目の当たりにしても何処か冷静だった。


 ――俺はこの光景を知っている。

 

 耳を劈く破裂音。視界を覆い尽くす翼の生えた大量の天使達による殺し合い。無限に続いているかのような果てない世界にあって、何処までも続いているかのように広い戦場。

 何一つとして理解が及ばないにも関わらず、この異常な光景が何処か懐かしく思える自分がいた。

 しかし一人や二人の天使ならありがたみを感じても、ここまで大量に沸かれると鬱陶しい。まるで蟻の群れだ。

 そんな中で一際輝く翼を持った異質な存在が現れた。それは一目で他の天使とは違うと分かる。他の有象無象の連中が天使だとするならあれはきっと…女神だ。

 だが驚いた事に、突然現れた女神の姿には見覚えがあった。何の感情も持たずに無数の剣と光を従え、次々と敵を屠る横顔はあいつに酷似している。


「まさか…エリス…?」


 我が目を疑っていると突然光の矢が俺の体を貫いた。痛みはないものの、意識が急激にこの世界から引き離されていく。

 消え行く意識の中、俺は最後までエリスに似た女神から目を離せなかった。


 白いもやが晴れると、そこはさっきまでいた東C地区の路地だった。いつの間にか俺は仰向けに倒れていたらしく、頭上に広がる暗い天蓋を月が怪しく照らしている。

 その時、不意に俺の頬を舐める何かに気が付く。


「…何だ?」


 視線を横へ移すとそこには尻尾を全快で振り回しながら俺の頬を舐め回すヨハネがいた。


「…エリスの前にお前が見つかったな」


 そう言うと言葉が分かるのかヨハネは元気良く吼える。


「お前は何処に行ってたんだ、エリスは見つかったのか?」


 その問いにヨハネは弱々しく鳴く。見れば体は泥だらけで少し痩せたように見えた。まさかこいつは本当にエリスを探しに行ってたというのか?

 するとヨハネは俺の服の裾に噛み付くと思い切り引っ張り出した。


「おいコラ、千切れるだろうが」


 しかしヨハネは離す様子がない為、俺は仕方なく体を起こす。そして俺が起き上がるのを確認するとヨハネは突然走り出し、こちらへ向かって只ならぬ様子で吼える。


「…何だよ、付いて来いってのか?」


 満足そうに一回吼えるとヨハネは再び何処かへ向かって走り出す。

 犬だっていうのに何故かこいつは本気で人間とコミュニケーションが取れているように思える。馬鹿馬鹿しいと思いつつも、気になってしまった俺はヨハネの後を追い掛ける事にした。

 どうやらヨハネはゲートの方へ向かっているようだったが一体何があったというのか。走っている間も未だに微かな頭痛は続き、走れば走る程それは酷くなっていく。原因の分からない頭痛に段々と苛立ってくるが、次の瞬間頭痛など吹き飛ぶ程の強烈な光景が視界に飛び込んできた。

 それは先程夢の中で現れた光の矢。それが少し先の場所から暗い天蓋へ向けて放たれた。


「何だあれ…」


 見ればヨハネはその光の矢が放たれた方向へ向かって真っ直ぐ走り、こちらへ振り返ると早く付いて来いと言わんばかりに吼えている。


「来いってか…マジかよ」


 流石に先程のような大戦が繰り広げられていたら俺にどうこう出来る自信はない。頭痛に変わって今度は軽い眩暈を覚えるが、俺はヨハネの後を追い掛ける。

 それはゲートのすぐ近く、正確には駅の目の前にぽっかりと広がる広場で繰り広げられていた。

 よく分からない男が宙に向かって黒い槍を投げつけている。その槍だって言わば光のように実体を伴わないものであるのは一目瞭然だ。しかし最も不可解なのは上空で応戦し、光の槍を男目掛けて放っている存在だ。


「あれってエリス…だよな」


 翼を全快に広げて宙を自在に飛び回りながら、無機質な表情で光の槍やら球を放つそれは紛れも無くエリスだ。しかしそれが纏っている気配は俺の知っているエリスのものではない。

 この異常事態に兵士達が駆けつけるが一瞬で消し炭にされていた。


「…すげぇ威力だ」


 呆然と立ち尽くす俺のズボンを引っ張るヨハネ。どうやら行けってことらしい。


「…お前はここで待ってろ、いいな」


 気は進まないがまずはあのバカを止めなくてはならない。

 仕方なく前に進もうとした時、物陰に隠れている気配に気が付いた。

 もしかしたらこの状況について何か知っているのかもしれない。俺は先にそちらへ向けて歩き出す。

 物陰に隠れていた男女二人は目の前の戦いから目が離せないのか、こちらに気付く様子はない。釣られて俺もそちらに目をやるが、改めてイカれているという感想しか出なかった。

 あれは最早人間の戦いではない。神か悪魔か、何れにしてもこの世界の理に当てはまらない人外の化け物だ。だが一番の驚きはあのエリスが何の躊躇いもなく相手を攻撃し、街を破壊しているという点だった。見た目こそエリスそのものだが、中身はとてもじゃないが同一人物とは思えない。

 とりあえず俺は目の前で呆然としている二人に声を掛けてみる。


「何だこりゃ、すげーことになってるな」


 突然の来訪に驚いたのか男のガキが咄嗟に臨戦態勢を取る。しかしこちらに戦意がないと悟ったのかすぐに構えを解いた。


「ここは危ない…すぐに隠れるんだ」


「そうか、なぁここで何があったのか教えてくれないか」


「…よくは分からないけどゼファー…蛇の首の首領からあの子は僕達を守ろうとしてくれた…と思う」


「ふーん、とてもじゃないけどアレがお前達を守ってくれる天使様には到底見えないな」


「最初はそうだと思ってたけど…今はお互いを殺すことが目的に思える」


「殺す、ねぇ…」


 殺すという言葉がこれほど似つかわしくない奴も珍しい。ただあいつは悪魔には容赦がない。

 どう考えてもあの男…ゼファーとかいう奴は人間じゃないし、天使か悪魔かで言えば完全に悪魔サイドだろう。となればエリスが全力で殺しにいってるのもまぁ頷ける。

 しかし…それでもあいつに争いは似合わない。


「お、おい…駄目だ戻るんだ!」


「まったく、騒ぎは起こすなって言ったのにあのバカは…」


 気が付けば俺の足は勝手に前へ出ていた。後ろで喚いてるガキを無視してどんどんと前に出る。

 この時、俺は何故か苛立っていた。あれだけ殺すのは駄目ですぅとか喚いておいて相手が悪魔となるとぶっ殺せなんて言う奴だ、自分の手でぶっ殺してもおかしくはないかもしれない。

 だがそんなエリスは何だか嫌だ。理由は分からないが、あいつにそんな真似はして欲しくないし何より似合わない。血を浴びるのは俺だけで十分だ。あいつはもっと楽しい世界を見て、ただバカみたいに笑ってバタバタしていれば良い。こんな汚い世界は見なくて良いんだ。


「はっ…何だそりゃ」


 これじゃまるで俺があいつの騎士ナイトみたいじゃないか。

 そう思うと笑えてきたが、まぁこれも本心だ。とにかくこんなエリスを俺は見たくないし、何より認めない。


「だから…終わらせてやるよ」


 俺に気付いたのか交戦中だった二人が同時にこちらへ向けて攻撃してくる。

 その攻撃は光速ではあったがその速さは先程夢の中で体験済みだ。一度体験していればこの程度の攻撃を避けるのは容易い。

 その場で背を後ろへ逸らせて難無く攻撃を避ける。しかし男はともかくとしてエリスまでも迷いなく俺を殺すつもりで攻撃してきた事に驚かされた。


「おい、いい加減にしろよエリス」


 エリスは俺が分かっていないのだろうか?

 まさか俺にまで攻撃をしてくるとは…ちょっと腹が立ってくる。避けられたから良かったものの、直撃していたら致命傷は免れなかった。


「…なんだぁテメェは、今良いところなんだよ」


「知るか、こっちは良い迷惑だ」


 ゼファーとか言う男が何か言っているがこっちはそれどころじゃない。怒りと同時に、先程感じた自分の内にある正体不明の何かが再び暴れ出し気分が高揚する。


「おいこらエリス、いつまで道草食ってんだお前は」


 昂ぶる感情を抑えながらも話が通じるか分からないエリスに話し掛ける。しかし案の定エリスには何の反応も無い。


「何だその腑抜けた面は…。なぁあんた、こいつ一体どうしちまったんだ?」


「さぁ、いきなりプッツンしちまったから俺にも何が何だかなぁ。ただ俺は今サイコーに楽しいんだよ、邪魔するんじゃねぇ」


「お楽しみ中で悪いがこいつは連れていく。色々と聞かなきゃいけないことがあるんでな」


「連れて行くだぁ…? く、くふ…ふはははっ! 面白いな、あんたも面白いぜ。今日は最高の夜だ」


「そりゃどうも。おいこら、お前はいつまで空から俺を見下してんだ、むかつくからさっさと降りてこい」


 ふよふよと浮かんでいる姿は何処か可愛げがあるように見えない事もない。しかし無機質な顔が高圧的に見え、見下されているようでかなりイラつく。


「テストだ、避けてみな」


 すると突然ゼファーはナイフをこちら目掛けて放ってきた。それは宙から突然現れたように感じられたが俺は寸前のところでナイフを指で挟み止める。


「わーお…本当に今夜は何が起こるか分からんな…」


「いきなり人に投げナイフとは育ちが悪いな、危ないだろ」


 宙からナイフが現れたのは気のせいかと一瞬思ったが相手は恐らく悪魔だ。魔法が使えるんだから何もない空間から突然ナイフが飛んできても驚く程ではない。


「よく分からんけどこいつがプッツンした原因はお前みたいだな」


「あぁ、多分間違ってねぇぜ」


「つまりこの頭のネジが飛んで人の話をシカト決め込んでるバカを叩き起こすにはまずお前を消さないといけないってことか」


「あぁ? んー…まぁ間違ってねぇのかな?」


 成る程、そうと分かれば後は簡単な事だ。まずはこいつを殺す、話はそれからだ。


「おいエリス、絶対に手を出すなよ」


 通じてるかどうかは分からないが再び悪魔と戦えるのだ、邪魔などされたくない。…決して交戦中にエリスの攻撃が飛んでくるのが怖いとかそういう理由ではない、本当だ。

 何より先程から胸の中で燻っている感情に抑えが効かなくなりつつあった。間違いなくこの男は強い、そう思うと俺の中にある何かは戦いを望んでいるかのように一層激しく暴れ出す。

 今までにない感覚に戸惑いはあるものの、それよりも俺が一体何なのか、探していた答えのヒントがこの男から得られるような気がして歯止めが効かなくなってくる。


「セインガルドってのは面白い所だな、俺の探してる答えが全てここにあるみたいだ」


「ははーん…さてはあんたもアレだな…」


 どうやらゼファーも俺と似たような感情を持っているのか、悪魔の笑みをこちらに向けてきた。


「悪魔だか何だか知らないが本気で楽しめそうだ」


「悪魔を知ってるって事は…まさかお前がゴモラでうちのをやってくれた犯人か」


 そういえば物陰に隠れていたガキがこいつは蛇の首の首領だとか言っていたか。


「あぁ、多分そうなんじゃないか」


「く…ははは…! マリエルよぉ、俺の予感が的中したぜぇ…こっち側の化け物がいたとはな。しかもまだ東C地区にいてくれたとはありがてぇ」


「何言ってんのか分からんが人のことをいきなり化け物呼ばわりとは失礼な野郎だ」


「あぁ、自己紹介が遅れたな。俺は蛇の首の首領ゼファーだ。見ての通り…まぁあんたと同じ化け物さ」


「そうか、一緒にするな。俺はレヒト、一応仕事でセインガルドに来てるんだが見ての通り、思うようにいかなくて参ってるんだ」


「そんじゃ自己紹介も終わったとこで…」


「あぁ、来いよ蛇の頭」


 ゼファーの気配が一変すると俺も剣を抜き構えを取る。こいつは今までの雑魚とは違う。恐らく一瞬でも気を抜けば殺されるのはこちらだ。

 だがこんな状況にも関わらず俺の胸は躍っていた。先程までの興奮は落ち着き、頭がすっきりと冴え渡っている。頬を撫でる風の動きすら見えるほどに感覚が研ぎ澄まされていた。

 ゼファーから動く気配はない。ならば…まずは小手調べといこう。

 思い切り踏み込み飛び出そうとした瞬間、ゼファーもまた同じくこちらへ向かって踏み込んできた。何をしてくるか分からないがとにかく一撃叩き込んでみてから考えるとする。

 下から袈裟に剣を振り上げるとゼファーの手には突然黒い剣が現れ、俺の攻撃は奴の足元で受け止められた。


「便利な魔法だな」


 吐き捨てると同時に一歩距離を置き間髪入れずに突きを放つ。


「羨ましいだろ」


 ゼファーは笑いながら体を翻し簡単にそれを避けるが、俺は突きが伸びきる直前に剣の軌道を変え横薙ぎを放つ。ゼファーはそれを胸の前に剣を突き立てるようにして受け止めるが、不安定な態勢で受けたせいかそのまま後方へ吹き飛んだ。受け身も取れずに民家に叩き付けられると瓦礫が崩れ落ちる。


「今一瞬笑顔が消えたろ?」


 とは言えこの程度じゃ奴には傷一つ付いていないだろう。その証拠に立ち込める粉塵の先から感じる邪悪な気配は先程より濃くなっている。警戒していると粉塵の中から低く昏い、不気味な笑い声が聞こえてきた。


「間違いない…間違いなく本物だ…エリス以外にもまだいたとは…ク…ハハ…!」


 煙の中から紅い眼が一瞬光ったと思った瞬間、黒い槍が数本こちらへ向かって飛んできた。それぞれタイミングが微妙にずれていたが数本を剣で弾きながら他はその場で回避する。だが攻撃が止む前にゼファーは粉塵から飛び出し黒い剣で斬り掛かって来た。

 最後の槍を避け終えると今度はこちらが不安定な態勢で頭上からの攻撃を受け止める。そしてその場で踏み止まるが俺の足が地面にめり込んだ。


「さぁもっとだ…もっと楽しませてくれよレヒトさんよぉ!」


 瞬時に剣を滑らせゼファーの攻撃をいなすとカウンターで顔面にジャブをお見舞いしてやる。そしてゼファーが怯んだその瞬間にノーモーションで斬撃を放つがそれはあっさりと避けられた。

 お返しと言わんばかりにゼファーは目にも止まらぬ斬撃を放ってくる。奴の得物は小さい分、俺よりも手数が多い。全てを弾くのは不可能なため最小の動きで回避しつつ連撃を的確に受け止め続ける。


「オラオラオラ! いつまで守ってんだぁ! 攻めなきゃ勝てないぜぇ!」


「言われなくても…殺してやるよ」


 僅かに見えた攻撃と攻撃の間の隙を突いて剣の柄を鳩尾に叩き込む。思い切り入った攻撃によりゼファーの身体が宙に浮くとその瞬間を見逃さずに追撃を叩き込む。

 思い切り肩に剣が食い込みそのまま身体を真っ二つにしようとするが、剣先はゼファーの肩に食い込んだまま動きが止まってしまう。どうやら瞬時に筋肉を硬化させ受け止めたようだ。


「気持ち悪い事してんじゃねぇよ」


 しかし俺は驚く事なくその場で軽く飛び上がると、剣を握ったまま思い切り蹴りをお見舞いしてやる。その衝撃で剣が抜け、吹き飛ぶゼファーを追い掛けようとすると突然上空から無数の黒い槍が現れる。そしてそれが雨のように降り注ぎ俺の行く手を阻むと、その間にゼファーは身体を反転させ綺麗に着地した。


「おいおい、そんな魔法は反則だぞ」


「いやなに、あんたなら逆に出し惜しみは失礼かと思ってね」


「よく言うぜ、まだ本気じゃないんだろ?」


 先程からこちらの攻撃ばかり当たっているが、奴ならもっと上手く回避出来るはずだ。それはまるでわざと攻撃を受ける事で俺の力量を測っているように見える。


「…凄いね、あんた凄いぜ。ただなぁ…まだ俺は本気を出す訳にはいかないだよ」


 そう言ってゼファーは一瞬で距離を詰め正面から斬り掛かってくるが、俺はそれを正面から受け止める。


「まだって…どういう事だよ」


「こっちにも色々と事情があるんでね、それに今のあんたとじゃ釣り合わない」


「あ…?」


 俺が…こいつに釣り合ってないだと…?


「おい、それは俺じゃ役不足だって言いたいのか」


「そうだよ、本気を出すにしちゃ今のあんたじゃ足りない。ただ言っておくが、今の俺だとこれが全力だぜ?」


 随分と舐められたものだ。

 生憎と魔法なんて使えないが、全力じゃないのはこちらも一緒だ。本音を言えば全力、自分の底というものがそもそも分かっていない。それ程の相手と戦った経験が今までにないからだ。

 だが…この男が相手なら自分の底を知る事が出来る気がする。


「後悔するなよ蛇頭が」


 何も考えるな、思うままに暴れろ。

 常に頭の何処かに掛けていたリミッターを徐々に壊していく。


「お…おぉ?」


(まだだ…まだまだ…こんなものじゃないだろ…!)


 足を一歩踏み出し、剣を交えたままゼファーを押し返す。


「ぐ…う…おぉぉぉ…!」


「おいおい…何が起きてやがる…」


 畏れるな、其れは畏れるものではない。

 深くへ堕ちていけ、其れは待っている。

 深淵の果てへ堕ちろ、堕ちろ、堕ちろ。


「もっとだ…もっと…!」


 底無しのように力がどんどんと溢れてくる。だがまだ足りない。もっとだ、もっと引き出せ。


「マジかよ…エリスといいどうなってんだ…お前は一体…」


「ぐぅぅぅ…! があぁっ!」


 一瞬力が抜けたと思った瞬間、今まで感じた事のない破壊衝動が弾けたように沸き上がり、衝動を剣と一緒に押し込み叩き付ける。すると俺の破壊衝動が物理化したかのようにゼファーの黒い剣が砕かれた。そしてそのまま繰り出される斬撃をゼファーは辛うじて避けるが見れば片腕が切り落とされていた。


「つぅ…冗談…きっついぜ…」


「はぁ…はぁ…。どうした…まだ本気じゃないんだろ…?」


「はっ…ははは…悪いが本気は出せない…はずだったんだがなぁ…」


 するとゼファーの失われた腕に黒いもやが掛かり、腕が再生していく。


「気が変わった、ここで本気を出さなきゃ一生後悔しそうだ」


「はっ…折角の夜だ、とことん楽しもうぜ」


 まだだ、まだまだこんなものではない。

 今一瞬ではあるが自分が知っている限界を遥かに凌駕した。

 破壊衝動がそのまま力になる。その快感は未だかつて味わったことのない禁断の味。自分がこの快楽に飲み込まれていくのがよく分かる。

 だがこの衝動を止める必要などない。俺はただこの男を殺す、壊す。徹底的に何度でも、自分の欲求を満たす為に何度も何度も叩き潰しミンチにする。

 腕が完全に再生するとゼファーは今度は銃のようなものを両手に出現させた。


「怒られるよなぁ…でももう抑えらんねぇよ…」


 ゼファーのただでさえ紅かった眼が血走り、口元からは涎を垂らしている。どうやら相手も完全にスイッチが入ったようだ。


「ハハハ! 良いぜ…殺し合おう…!」


 どんどんと漲る力に俺も抑えが効かなくなり笑いが止まらなかった。

 最高だ、戦いの中にこそ俺の答えがある。もっとだ、もっと俺を本気にさせろ。

 先程と比べ物にならない程の速度で斬り掛かるとゼファーは後ろに飛び退き、そのまま信じられない速さで銃を連射してくる。

 黒い弾丸は線となって襲い掛かってくるが俺はそれを避けながらゼファーを追い掛け、攻撃範囲に捉えた瞬間今までで最も速い斬撃を放つ。

 空中で不安定な態勢のゼファーは咄嗟に宙に向かって発砲すると、まるで曲芸のように反動で体の向きを変えるが、避けきれずに足を斬られた。ゼファーはそんな事は気にも留めずすぐさま態勢を整えようとするが、俺は息つく暇さえ与えず連続で攻撃を繰り出した。

 銃弾と銃身で攻撃を受け止めるゼファーを見ていると俺の破壊衝動はどんどんと強く、大きくなっていく。

 留まる事を知らず加速していく破壊衝動、それに比例して増していく力。

 その時、突然背後から黒い弾丸が現れ俺の胸を貫いた。


「俺の弾は銃口から出るだけじゃないんだぜ」


 愉悦に浸った表情でゼファーはそう言い放つ。その直後に俺は背後から無数の銃弾が襲い掛かってくるのを察知し咄嗟に距離を取るが、避けたはずの銃弾は軌道を変えて尚もこちらに襲い掛かってきた。しかし俺は襲い来る銃弾を目にも留まらない速さで斬り落としつつ、じわじわとゼファーの元へ向かって前進していく。


「はっ、これじゃどっちが悪魔か分かったもんじゃねーな」


「さてね、俺も教えて欲しいもんだ」


 全ての銃弾を斬り落とした瞬間一気に飛び込み距離を詰めるが、ゼファーは黒い翼を広げるとそのまま上空へ飛び上がり、俺もまたそれを追い掛けるように上空へ飛び上がった。


「翼のないお前に空は似合わねぇよ、堕ちろ」


 すると暗い雲の隙間から黒い雨が降り注いできた。剣を盾にして構わず突進するが、黒い雨はまるで纏わり付くように打ち付け、ゼファーの元に手が届く直前で俺は地面へ引き戻されてしまう。

 墜落しながらも黒い雨は容赦なく打ち付け、その中から一本の巨大な黒い槍が現れたかと思うとそれは俺の体を貫き一瞬で地面へ叩き付けられた。俺は受身も取れず背中から落ちると大の字になって倒れる。


「おっと、流石にやりすぎたか」


「…そうでもないさ」


「マジかよ、てめ――」


 言い終わる前に仰向けのまま剣を思い切り上空へ投げ付けると、それは避ける間も無くゼファーの顔面に突き刺さり、血飛沫のようなものを噴き出しながらゼファーは力なく地面へと落ちた。


「翼があってもお前に空は似合わねぇよ」


 そう吐き捨てながら俺は落ちてきたゼファーに刺さったままの剣を引き抜く。するとゼファーの顔面から黒いもやが溢れ出し、俺の足元を包み込んだ。咄嗟に逃げようとするがどういう訳か足が言う事を聞かない。


「…ツツマレロ」


 空洞となったゼファーの顔面、喉の奥から掠れた不気味な声が耳に届く。

 足元に纏わり付くもやは徐々に俺の体全体へと伝い、まるで侵食されているかのように身体の自由が奪われていく。そして何の抵抗も出来ずにやがて俺は頭から爪先まで暗い闇の中に飲み込まれた。

 もやに完全に包み込まれるとそこはまるで異空間のように暗闇が支配する世界が広がっており、所々にヒビ割れのような細かい亀裂が目に入った。視線を下げると暗闇の中だと言うのに自分の姿をはっきりと視認出来るが、動かせるのは視線だけで相変わらず身動きは取れない。

 どうしたものかと考えていると暗闇が徐々に狭まってきた。直感的にこのままだと闇に圧し潰され消滅させられると分かる。だがこの程度の闇など今の俺にはただの鬱陶しい鳥篭のようなものだ。

 身体の自由は効かないが試しに四方八方へ破壊衝動をぶつけてみると細かい亀裂が一気に広がる。更に破壊衝動をぶつけ続けているとやがて視界は無数の亀裂に覆われ、とうとうガラスのように音を立てながら暗闇の世界は粉々に砕け散った。

 視界が元に戻ると目の前には顔面を修復したばかりのゼファーが信じられないといった表情でこちらを見ていた。


「嘘だろ…これも効かないのか」


「俺を閉じ込めておくならもっと上等な檻を用意するんだな」


 暗闇から脱出し自由を取り戻した俺は再び剣を肩に担ぐと、口元に流れていた血を拭いながらゼファーと対峙する。

 果たしてこの戦いはいつ終わるのか。そんな事が気になったがこんなに楽しい戦いならいつまでも味わっていたい。俺に必要なのは殺意と破壊衝動。それさえあれば他には何もいらない。


「くはは…最高だ…マジでもう止まれねぇぞ…」


「あぁ、楽しもうぜ」


「悪いなぁボス…もう計画とかどうでも良くなってきたぜ…」


 ゼファーも腹を決めたのか闇が更に色濃くなる。

 もっとだ、もっと深くまで堕ちていく。こいつなら俺を地獄の底まで連れて行ってくれる。

 そう思った瞬間だった。ゼファーではない何者かが放った銃弾が俺の頬を掠める。飛んできた方向を見やると大勢の兵士を従えた女がこちらに銃口を向けて立っていた。


「お前は確か…セリアか」


「今すぐ戦闘行為をやめなさい」


「今良いところなんだよ、邪魔をするな」


「言ったはずよ、ここで問題は起こさないでって」


「こいつは別件だ、ターゲットじゃない」


「それなら尚更、今すぐやめなさい」


 俺の殺意がセリアへ向かう。当然ゼファーも同じくセリアを…と思っていたが、ゼファーからは殺意が消えていた。何事かと思うがいつの間にかゼファーの背にあった黒い翼は消え、興が削がれたように疲れたような顔で両手を上げている。


「はいはーい、すいませんでしたー」


「…ふざけてんのかテメェ」


「悪いがこの国を敵に回す気はねーよ」


 とても嘘を言っている様子はなく、それを見て俺も毒気を抜かれてしまう。

 興奮冷めやらぬ状態だが、ここで戦闘を続ければ何か大事な物を失ってしまう気がした。落ち着けと自分に言い聞かせると一度大きく深呼吸をする。


「はぁ…分かった、降参だ」


 剣を仕舞うとゼファーと同じように両手を上げる。するとその瞬間、セリアの後ろで待機していた大量の兵士が飛び出し俺達を囲み拘束してくる。


「また会おうぜ、レヒト」


 兵士に阻まれその姿は見えなかったが、確かにゼファーのそんな言葉が耳に届いた。そして何故か同じ方向からヨハネの鳴き声が聞こえてきたが、その声はゼファーの気配と共にどんどんと遠ざかっていく。

 どういう事だ、まさかゼファーがヨハネを連れていった?

 あいつ悪魔のくせに犬が好きだったとかそういうのだろうか。

 兵士が邪魔で確認出来ずにいると拘束された俺の前にセリアが現れる。


「レヒト…だったかしら」


「あぁ、さっきぶりだな」


「悪いけど一緒に来てもらうわよ」


「…さっきのあの男は?」


「あなたとは別の場所に連行するわ」


「そうか、一つ頼みがある」


「なに?」


「そこに宙に浮いてる女のガキがいるだろ?」


「…は?」


「いやだから、空中で翼広げて浮いてるガキが」


「…何処にいるのよ」


 呆れたような表情でセリアはまるでキ○ガイでも見るかのような目を向けてくる。

 両脇を兵士に固められたままその場で立たされると俺はエリスがいた辺りに目をやる。しかしそこにはただ暗い空が広がっているだけだった。


「…あれ? なぁ、誰か女のガキを見なかったか?」


 周りの兵士に尋ねてみるが反応は一切ない。知っていても黙っていそうな雰囲気だが、どうにも本気で知らないように見える。


「まさか…」


 ゼファーが連れ去った…?

 だとするとヨハネはそのエリスを追っていって…?

 それなら辻褄が合う。ただ一つ解せないのはあの状態のエリスが黙ってゼファーに連れて行かれるだろうか?

 何が何だか分からないが、とりあえずここはセリアの言う通りにするしかない。突破することも可能だがそんな気はすっかり失せて今はただ休みたい。

 戦っている最中は疲れなど一切感じなかったが、こうして我に返るとダメージが蓄積されていたのか今までに感じた事のない程の疲労感がどっと襲い掛かってきた。

 俺は馬車の荷車に押し込まれると数人の兵士とセリアに囲まれ、行き先は聞かされないまま馬車が動き出す。

 色々とセリアに聞きたい事はあったが、強烈な睡魔に襲われ俺はいつの間にか深い眠りに落ちてしまう。

 そして目が覚めると俺は牢屋の中にいた。




 レヒトが捕まってから数時間後、ゼファーは母なる血マザーブラッドの本部にいた。

 ゼファーはいつものようにノックをする事もなく部屋の扉を開くと、座っていたマリエルが厳しい表情で非難する。


「…いきなり何か用?」


 だがゼファーは返事をすることもなく扉をすぐさま閉めるとそのままベッドに深く腰掛けた。その様子を見てマリエルはゼファーの異変に気が付く。


「…どうしたの、その顔の傷は」


「やられたよ…まったく…とんでもない奴だ…」


 そう言って微かに笑っているゼファーの顔の中心には縦に伸びる大きな傷跡が残されている。レヒトに喰らった最後の攻撃の傷は未だに癒えきっていなかった。


「無様な姿ね」


「まったく、良い男が台無しだ」


「でも良い土産話があるんじゃなくて?」


「あぁ…俺の予感は的中していたよ」


 その言葉にマリエルは膝に置いていた本を畳むと足を組み替えゼファーに対峙する。


「まさか本当に神の眷属が干渉を?」


「干渉…かどうかは分からないがね。とりあえずエリスを発見した」


 その言葉にマリエルは耳を疑った。


「エリスって…まさかあの女神エリス?」


「そうだ、不和と争いの女神様だ」


「何故彼女がこの世界に…」


「さぁね、それを聞きたくてとりあえず連れてきた」


「連れてきたって…あなたまさか」


「あぁ、今はここの地下牢でぐっすりお休み中さ」


「よく連れて来れたわね…その傷もエリスにつけられたんじゃ?」


「なんか知らんが子犬を見た途端にただのガキになっちまってな、便利だから犬ごと一緒に連れ去ってきたって訳だ。で、この傷は別の奴にやられた」


「別って…女神エリスの他にも神の眷属がいるというの?」


 ゼファーにこれ程の怪我を負わせられる存在は限られている。エリス以外にそんなモノの存在がいるとしたら非常に厄介な話だ。


「さぁてね、アレが何なのかは俺にも分からんが…まぁ神の眷属以外有り得ないだろうよ。あの男は化け物だ、間違いなく俺達とは階級が違う」


「私達以上となるとそれはつまり…エリスと同格の…」


「そういう事だ、多分な」


 マリエルの知る限り、この世界にいる神の眷属は自分達だけのはずだ。人間でありながら神の力の一端を知る例外は月の魔力を持つソフィア。そして味方でもある王室騎士団のセリアだけのはずだった。

 マリエルは苦虫を噛み潰したように顔を歪める。


「…その男の名前は?」


「何だったかな…確かレヒト、とか言ってたぜ」


「…聞いた事のない名前ね」


「俺もだ。んで、一番の土産話はここからなんだが…」


「…何かしら?」


「ソフィアを連れてきた」


 それを聞いた途端、これまで淡々としていたマリエルが分かり易い程に動揺した。そして部屋を飛び出そうとする気配を察知したゼファーはマリエルが動き出す前に釘を刺す。


「おっと、面会はベルゼクト達に報告してからだ」


「…分かっているわ」


 思わず椅子から立ち上がったマリエルだが、落ち着きを取り戻したのか再び椅子に腰掛ける。


「…ついに発見したのね」


 何処か表情に影を落とすマリエルとは対照的に、顔の傷を撫でながら恍惚とした表情のゼファー。レヒトとの戦闘を思い出すだけで身体がゾクゾクと震え上がり、この上ない刺激と恐怖に近い感情が倒錯的な快楽を生み出していた。その感覚は麻薬にも近い無上の喜び。戦闘中は常に射精をしているかのような絶頂感に包まれていた。


「…早速ベルゼクト達に知らせましょう」


 落ち着きを取り戻し普段と同じ淡々としたマリエルの声にトリップしかけていたゼファーは我に返る。


「教祖様は後でいいのかい?」


「当たり前でしょう、ゴードンに教えたら何をするか分かったものじゃないわ」


「数百年越しの夢が叶った心境を是非聞きたいね」


「そんなものはどうでもいいわ、話は終わり。報告に行くわよ」


「おいおい、こっちは疲れてるんだ、もうちょっと休ませてくれたって…」


 だがそんなゼファーの言葉は聞こえていないのかマリエルはそのまま部屋を後にした。


「はぁ…ソフィアの事になるとあんた目の色変わるよな」


 渋々立ち上がりマリエルの後を追うゼファーだがその表情は何処か楽しげだ。動き出した計画、ゴードンの数百年など比較にならないほどの長年の夢、それが間も無く成就する…そう思うと表情が緩むのも仕方なかった。

 変革の時は近い。そしてその時は必ずあの男が再び目の前に立ち塞がる、そんな確信があった。


「いつの時代も革命ってのはワクワクするもんだな」


 疲れを感じるもののゼファーの足取りは軽く、二人はA地区にある王室へと向かった。

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