第9話


 星の髪飾り



 ねえしおりちゃん

 これをどうしろっていうんだ

 もっと写真とかお守りとかさ

 男が持っていたって

 怪しまれるだけなんだけど

 壊れやすいし、綺麗だし


 ねえしおりちゃん

 僕は一目惚れをしたあの時を

 一生忘れないよ

 だけど本当に

 あの姿はしおりちゃんの一瞬で

 君のことを一生知っていくのに

 その一部なんだって

 これを見ていると改めて思うよ


 ねえしおりちゃん

 いろんなしおりちゃんを見せてよ





 嘘つきなわたし



 だいじょうぶと嘘をついて

 わたしはいつまでこうしてればいい?


 だいじょうぶと何度でも

 君といつまでも一緒にいればいい

 ほら僕も嘘つきだからさ

 だから少しずつでいい

 素直になれたら

 なれなくてもいい

 君が君なら

 それでいい

 それがいい





 幸せの終わり



 ねえ?幸せっていつまで続くかな?


 そんなこというと終わっちゃうよ


 そういうもん?


 そんなことないけど、言葉にしないで


 言葉にしなきゃ伝わらないでしょ


 しおりちゃんなら分かるじゃないか


 今はもう、分かんないって言ってるじゃん


 ごめんごめん





 怖い



 ふつう?あたりまえ?

 そんなの誰が決めたんだろう

 僕はわかりたくない

 分からないんだ

 できることならば

 君と出会う前の僕に戻りたい

 1人が怖くなかった自分に

 君の気持ちに怯えなくていい日々に

 君はきっと

 そんな僕が





 幸せの向こう側



 好きなものに囲まれる

 幸せだと思う

 好きな人といっしょにいる

 今は遠く離れているけど

 幸せだと思う

 でも、そのあとは?

 しあわせーと思ったそのあとは?

 その一瞬が過ぎたあとは

 その気持ちはなんていうの?

 幸せの向こう側を

 見つけるために

 今はあなたと幸せになる





 そばにいる



 そばにいることが

 近くにいることとは限らない

 そばにいることが

 うれしいことは限らない

 そばにいる

 あなたが

 わたしの心のそばにいる

 たしかにいる

 いなくなったりしない

 実際にはそばにいないんだけど

 そばにいる

 少しもどかしくて

 とても悲しくて

 ちょっと楽しくて

 ものすごく会いたい

 そばにいない

 そばに来て

 わたしは待ってるから





 他人



 他の人

 つまりは僕とは違う、他の人

 家族は僕に関係があるから

 名前が付いている

 職場の人も僕に関係があるから

 名前が付いている

 街ゆく人たちは僕に関係がないから

 名前が付いていない

 滅多に見かけない僕の知り合いが

 偶然そこにいなければ

 関係のない他人の1人が

 近づいて踏み込んでくる

 それらは

 ともだちになり

 しんゆうになり

 こいびとになり

 時には他人に戻り

 時には家族になり

 名前が付いていく

 他人とは

 僕の他の人だ

 どんな名前が付くのか

 まだわからない人たちだ

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