第8話 課題の工作

「なぁ…ランプ作ろうぜ」

 ヒロが唐突に言ってきた。

「ランプ?ライトじゃなくて?」

「あぁランプ!電球でさ、ほら幽霊探しに持ってくんだよ」

「そうだね…ランプか…」

「アサの家には工具がいっぱいあるだろ、なっ!」

「うん、じいちゃんに聞いてみる」


 じいちゃんは快く引き受けてくれた。

 その夜、店で僕たちが工作できるようにスペースを作ってくれた。

 もちろん工具も揃えてくれた。


 翌日から4日間、ヒロは僕の家に入り浸っていた。

 昼食はもちろん、昨日は夕食まで食べていった。


 4日目の夕方、僕らのランプはできた。

 鉄くずをくっ付けた、少々不恰好なランプ。

 電球はオレンジの光を放った。

 僕らは暗い倉庫へ移動して、もう一度ランプを付ける。

 目の前を絶妙に明るく照らす…絶妙というのは、暗闇を残しつつ照らす雰囲気が最高にかっこいいのだ。


「これを持って、満月の夜」

「あぁ、龍神池に」

 僕らは互いのランプを軽くぶつけて約束した。

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