第11話 (逆転の手)
「ヒャッハッハッハ、穴だらけになっちまえ~!」
天雷 由実は前後左右から金属の針を飛ばされているため避雷によって射撃を無効化されており、さらにレールガンを撃つには少し溜めが必要だが動作を見せれば手元を狙われて回避せざるをえないので打てない。
射出台は四方を囲むように出ていて金属の針が何度も射出される。
追えば退き、退けば追ってくる、という状況である。
全てを回避することができずジリ貧である。
…があることに気づく。
それは撃った後射出台が動くと射出台に針を回収できないはずだが、不自然に針が吸い込まれていることに。
(まさか、磁力!?)
観察してみると、射出には針同士が干渉を最小限になるようにするためか発射がある程度規則的であった。
カートリッジを替えてみる。そして発射。
予想は的中し、針が弾に吸いよせられる。
魔法弾に実体はないため磁力弾は攻撃としてはほとんど役に立たず普段はまず使わない。
「くそっ!」
また、資源には限りがあり、資源を指定した大地の魔法を使うと資源を使い回さないとどうしても枯渇するため成立しなくなる。
そしてそれを防がれたので手を変えるしかない。
金属を使う場合の最大の欠点は形状変化などの仕込みにある程度の時間が必要であり、慣れていても数秒はかかる。
そして、金属を介しない他の大地の魔法では天雷 由実を止めることはできない。
天雷 由実は数秒の隙を利用してレールガンを構えた。
「ヒッ!」
豪雷音と共に発射し、感電を以て天雷 由実は制圧を完了した。
小鳥遊 光は周囲を巻き込まないためにグラウンドに移動している。
熔岩の弾丸を防いでいるが攻撃手段がなく一方である。
窮した小鳥遊 光は最後の手段で盾を円盤投げの要領で飛ばす。
具現武装は手元から離れて消滅までの猶予が、すぐにではなくある程度の時間持続するため、短剣の具現武装化を選んだ人は大抵の場合飛び道具代わりとしてもよく使う。
ただし、それは使用する魔法力の量が少ないことゆえに再装備しやすいからであって普通の武装で投擲することはあまりない。
投擲した盾は頭にヒットし、無効化の効果によって洗脳状態が解除されたのか糸が切れたように倒れた。
「ふう、賭けだったが成功したか。」
一度具現武装を使っているため再度装備するには魔法力の回復インターバルが必要であり小鳥遊 光は具現武装に魔力の装甲を捨てる比率でつぎ込んでいるため再装備までの時間も他の人よりかかり、失敗すれば防御がままならない状況に陥るのである。
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