第12話 (吉川 恵)

「いい加減抵抗を諦めたらどうだ?」

と言ったのは大気の双剣の具現武装使いである。

「正直この手は使いたく無いんだけど、使うしかないかなー?」

と吉川 恵が言葉を返す。

「強がりだな。

攻撃魔法を使う余裕がないお前に手があるとは思えん。」

「言ったね?

この奥の手は秘密だから使わせたら秘密を守るために基本殺すことにしてるんだけど。いいの?」

「そんな脅しは通用せんぞ。」

「ふーん…

じゃあ、使うね。」

と言うと、吉川 恵は防御魔法とは違う魔法を選んだ。

『パリィーン!』

「なっ!?」

双剣が砕けて消えた。

「具現武装…だと!?」

「無効化の盾、便利だね♪」

「…データには小鳥遊 光が使うとあったが、まさか…模倣したのか!?」

「正解~!

じゃあ、ここからが本番ね!」

吉川 恵はそう言うと、盾の具現武装を残したまま、新たな魔法を発生させた。

「ぐっ、重力だと!?

具現武装には魔法力をほとんど必要としない魔補助系の魔法以外使えなくなるはずだろ!?」

「普通はそうだろうけど、これ模倣でしかないからね~♪」

吉川 恵は盾をヒラヒラしつつ重力の檻の中を歩いて相手の側まで寄る。

「この盾、実はギミックがあるみたいなんだよね♪」

吉川 恵は無邪気な顔で言う。

盾を両手で構え魔法力を込めると盾からトゲが複数出てくる。

「ま、まて、まさか…」

「バイバイ♪」

その盾を無慈悲に叩き付けた。

体術を鍛えてるわけではないのでそれ自体にはそこまで威力はない。が、盾ごと重力の追い討ちをかける。

「がああああああああああああ。」

そのまま、トゲが深く突き刺さり息絶える。

それを確認した吉川 恵は魔法を解除し、盾と重力は消えたのだった。

「あ、隕石。」

吉川 恵は何事もなかったかのごとき声で発した。

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