第13話 (笑顔の悪魔)
霧はまだ若月 夏のところまで届いてこそいないが時間の問題である。
「貴様の魔法は重力が効かない相手が苦手だからこそ私が選らばれたのだ。
窒息して死ね。」
と敵が発言したことに若月 夏は笑顔のままため息をつき
「なめられたものですね。」
と返した。
若月 夏は両手を上げ、
「本当は使用を禁止されてるのだけど、特別に見せてあげるよ。」
と、言った。
人々が逃げ、重力による干渉で付近に他の人がいないことを確認している若月 夏はそのまま手を振り降ろした。
「グラビティ・エンド・ホール!」
若月 夏の相手は『ゴオー』という騒音が聞こえてきたかと思うとどんどん音が大きくなっていることに気づいた。
「まさか…」
上を確認すると小さな隕石が勢いよく迫っていた。
「くそっ!」
と逃げようとしたところで気づいた。
小さなブラックホールの吸い込みによって拘束されていることに。
「さようなら。」
若月 夏は笑顔でそう言い残して去り始めた。
「くそがああああああああああ!!」
若月 夏と距離が離れた後隕石がブラックホールに吸い込まれる。
霧状態だった敵は隕石の余波の熱で消滅した。
仮に霧状態を解除してもブラックホールによって肉体を潰されるので詰んでいる。
隕石が吸い込まれた後に衝撃波が発生して周囲に突風を生み、ブラックホールは消滅した。
そこまでが一工程の無に還す魔法であった。
最初に使った時は学生時代の喧嘩だったか。
あまりにしつこくかつ暴力的で若月 夏にいちゃもんをずっとふっかけてた相手がいた。
相手も魔法を使う相手だったとはいえとうとうぶちキレた若月 夏がつい使ってしまった結果、偶然完成したのがそれであった。
過剰防衛であり、隕石、ブラックホールどちらも単体で危険極まりなくそれぞれが使用を禁止させられた魔法である。
情報規制によりその詳細を知るものは少ない。
巻き込まれた無関係な学生が一人いた。
その学生の女の子は両足が使いものにならなくなってしまい、若月 夏は贖罪としてその女の子の面倒を見るようになった。
その女の子とは紆余曲折あって若月 夏の妻となった。
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