第8話 (劣勢)
奇襲で小日向 雛は昏倒させたとは言え高藤 恵美奈の具現武装から攻撃までの速度の早さは予想外だったようだ。
命中精度が高くないのが響いて返り討ちは失敗しているが。
高藤 恵美奈の具現武装はシンプルなリボルバー式銃ではあるのだが、弾が大気であるため見えないし何より撃った矢先に補充されるため魔法力が尽きるまで弾数が無制限である。
また、効果が多種多様で風の刃の殺傷力系から、弾が当たると周囲の酸素を奪うといった大気操作まで大気属性の効果ならなんでもござれの状態である。
補填した弾ごとに指定した効果が発動してるのである。
高藤 恵美奈と相対している敵は風の音を消して素早く奇襲し暗殺術を使う事を得意とする。
しかし、魔法による攻撃方法が風の刃と気圧操作しかないので同じ大気である高藤 恵美奈に対する有効打がない。
格闘術のない高藤 恵美奈は肉体的な勝負になると詰みではあるのだが、空砲を使って自分の付近の気圧を操作できるため最小限の魔法力で対応して無音を封じ接近を許さない。
模擬戦やサバイバルゲームなどである程度積んでた実践経験が役に立っている。
ただし、大気の魔法は素早さから回避にも優れているため高藤 恵美奈の命中精度ではなかなか当たらず、そして喰らわずといった状態である。
しかし、有利に見える高藤 恵美奈の方が実はジリ貧である。
理由は潜在魔法力によるもの。
高藤 恵美奈が具現武装を選んだ理由は出力のわりに魔法のスタミナが無いためで無駄な浪費を抑えるのが目的であったからだ。
「救援が来ない。」と内心焦りつつも顔には出さない。
救援が来ない理由のひとつに高藤 恵美奈以外は軒並み相性の悪い相手をぶつけているからであるのだが、高藤 恵美奈はそのことは知らない。
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