第3話 (若月 夏)

若月 夏は退屈そうに校内を歩いている。

というのも、吉川 恵に本来の仕事を取られているからである。

女性生徒にちやほやされても退屈なのに変わりはない。

そもそも同性にも異性にもあまり興味は湧かない。


交戦好きな性格があり、それにより元は魔法警備隊へと進路を進めた。

しかし、半殺しは常で始末書を書くことも多かったが、戦力としては申し分なかったため、また内部で不正があった際も正す程度には秩序を守る仕事をやっていたためクビになることはなかった。

ある時、凶悪魔法犯罪者がいて魔法の特性が特殊だったのもあって捕まえてもすぐに逃げられるということがあり、更に逃亡中にも関わらず再三の犯罪を犯そうとしたのを確認し、相性が悪かったのもあって止めるために重力差で裂いて殺す事にした。

さすがに謹慎処分を喰らったがその噂は有名になり、笑顔の悪魔という異名をも拝し、とうとう凶悪犯罪者ですらビビって抵抗しなくなってしまい、やりがいを感じることもなくなって退屈に感じるようになってしまった。

ちなみに、機嫌が悪くなる程笑顔になるというのは警備隊の間では早くから知られていた。


学生時代からの彼女がいて、その彼女にはもっと安全な仕事をやって欲しいとずっと心配されていた。

色々な事情が重なり、結婚を機に魔法警備隊をやめて、ツテの先にちょうど特別魔法教員枠を求めてたこともあり特別魔法教員になった。

退屈ではあったが彼女のためを思えば苦にはならなかった。

ちなみに、赴任当時は山田 哲郎が実技をやっていたが、新卒として吉川 恵が赴任してくると教員免許を持っていた山田 哲郎は本来の専門教科である、現代社会・歴史を担当した。

ちなみに吉川 恵の本来の専門教科は数学なのだが彼女の強さは有名であったため、多分ずっと実技担当だろうと思った。

吉川 恵の模倣は有名過ぎた。

特別ルールですら勝てそうな形式が見つからないという有様で吉川 恵の同意をもって特別ルールからも除外されてしまった程に。

また、力を誇示するのは趣味ではないので、実力で劣ると分かっても特になんとも感じなかった。

吉川 恵も力を誇示する趣味はないので気は会うのかなと感じた。


この前、生徒同士から発展した騒動の際、生徒を殺してしまうかもしれないと考えてどうするか考えてるうちに騒動が終わってしまい、良かったと思う半面自分がやりたかったという思いもあった。

ところがその後、吉川 恵と自分が所属しているにもかかわらず不審者が現れたことに期待と興味を持った。不審者はほとんど吉川 恵が制圧してやることがなかったが。

そして、魔法大会中の不審者で待望の戦闘に遭遇した。

不審者は実は5人いて自分が小日向 雛を見てるのに気づいて戦力を割いてしまったため、小日向 雛の攻略に時間もかかり小鳥遊 光の救援で事足りた。

その事はことが終わった後、事後報告をしたところで知った。

もちろん向かって来た2人は逃がしてなどやらなかった。

時間稼ぎのための捨て駒とはいえ、戦闘が回ってきたのは楽しく、その主要因である小日向 雛には内心感謝している。

そもそも、小日向 雛がこちらに編入されることになった理由のひとつに吉川 恵と若月 夏という強すぎる2名が揃ってるからという話は聞いた。

不謹慎だが、今はまた何かが起こるのを少し期待して待っている。

まあ、起こらないならそれはそれで別にいいが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る