第13話 (特別ルールの始まり)

特別ルールの開始を告げるアラームと同時に即席ダンジョンには人がなだれ込む。

とはいえ、先に一矢報いて目立とうとする人がいる反面、ある程度突破されてから抜けようとしたり、疲労が蓄積したところで美味しいところを持っていこうという考えの人もいるわけで流れは一定ではない。

撃破しないと次の道が開かれないルールでありルーム一つ一つは結構な広さがあるためなだれ込んでくる人も多く防衛自体は容易ではない。

のだが、天雷 由美はプラズマの巻き込みで複数を一気に削り、木下 恵は手数で押さえ込み、林山 彰人は広範囲に錯覚を振り撒いて多数を機能停止にしていく。

が、経験の差や有効距離などもあり、有効範囲外から林山 彰人のライフが削られていき、一番に脱落した。

後天性ゆえに魔法力が高いわけではないので広範囲に撒いて無駄に有効距離を減らすより、一定ラインに力を集中して有効距離を伸ばすべきであった。


林山 彰人が崩れたところから第二層へと人がなだれ込んでくる。

「どこか崩れたか。」

と小鳥遊 光が声を漏らす。

ルームの広さは"二層>三層>一層"の順であるため、盾の小鳥遊 光が一番防衛が難しそうに見える。

しかし、囲まれないよう素早く移動しつつ、無効の盾でシールドバッシュを入れていく。

無効の中に検知に引っ掛かるように無属性の魔法力が混ぜてあるため次々とカウントを減らしていく。

近づかれないよう、攻撃を当てれるよう、連携や妨害など皆工夫をしてくる。

それでも小鳥遊 光は盾で防ぎ、足を使って避け、と被弾を避けていく。

1発貰ったがまだまだ行けそうである、とその時高梨 光一がルームに入ってくる。

敵の流れが落ち着いてたタイミングだったのもあり会話を交わす。ただし、戦闘は続けながら

「光一、こっちに来たか。」

「光(こう)のルームだったか。」

「一層はどのルームを通って来たんだ?」

「天雷 由美のルームだな。」

「光一が通った時は撃破済みだったか?」

「むしろ、ラストは俺が刺したかな。」

「ほんとか?」

飛び道具がないのを知ってかルームに入ってきても攻撃せずに会話を聞いてる人が結構増えていて後がめんどくさそうとか思いつつも話は続けている。

「本当だけど?

ただ、林山 彰人のルームは先に終わってたらしい。」

「なるほど。

で、どうやって倒したんだ?」

「それはだな…」

と言って高梨 光一が取り出したのは銀色の粉が入った円筒状の容器であった。

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