第1話 (大会の調整)
大会の前とあっては皆調整に余念がない。
長者刃物銃その他、純粋な炎、大気、大地、水―氷は水の派生扱い―、大会参加希望者それぞれがそれぞれの調整に余念がない。
具現化武装系統はマテリアルクリスタル―クリスタル自体はただの人工クリスタルでそれに数の多くないオールマイティ系、つまり、標準的な属性を一通り使える魔法師がクリスタルに魔法力を込めることで作れる結晶―と呼ばれる、魔法を使わないと壊せない特殊なクリスタルで作ったそれぞれの的をそれぞれの条件下の元破壊する形式。
純粋な魔法系統の場合は炎なら氷柱倒し、電雷なら電流を流して複数のスイッチを起動させる、大地ならその時に決められた形を岩で整形、水・氷は火の海の消化―本来油に水をかけると炎は燃え広がるのだがそこは魔法ゆえに霧状にして温度を下げたり水牢で空気の遮断をしたり下手すると油まで操作して水のコーティングで油を隔離したりと様々な消し方が散見される―、が主である。
主、なのはたまに競技ルールが変わることがある為であるが。
そしてそれぞれの競技はタイムトライアル形式であり対戦形式ではない―昔は対決形式が主であったために怪我人も少なくなかったこともある―ために、特別ルールが唯一の対戦形式となっていて大トリでもあるのだ。
しかし、特別ルールのメンバーは基本的に基礎練習以外のしようがないのだが。
初日は軽く打ち合わせをする。
「他校から2人遠征して来るまではそれぞれ自分の魔法を磨きましょう。」
と秋月 明日香が言い
「いやー、宮本 勤と一緒のチームとはなー。」
と村山 正樹が言う。
「宮本 勤と何かあったのか?」
と小鳥遊 光が聞くと
「いやいや、奴の魔法特性は光でな、わいの魔法特性とは対極にあたるんや。」
光魔法は光を使い目くらましや、光を使った索敵―全力を出せば地形を地図にみたいに照射もできる―など闇魔法が奇襲を得意とするなら光魔法は索敵等サポートを得意とするのである。
光魔法には闇魔法と違って光を収束して放つ光線という強力な攻撃方法もあるのだが。
ちなみに光を生成できる光魔法と闇を生成できる闇魔法が相対すると勝負が付かない、というのは有名な話である。
「まあその2人が同じチームだと楽よねー。」
と木下 恵が言う。
「いやいや、光の魔法特性と闇の魔法特性は性格が合わへんのが基本やで。」
「まあ、そうなるよね。」
と村山 正樹の発言に天雷 由実が答える。
「それで、残りの一人の魔法特性はわかるか?」
「んー、聞いたことがないなあ。」
小鳥遊 光の質問に天雷 由実が答える。
「わいが仕入れた話によると、どうも中等部の終わりらへんに魔法の発現が認められて高等部から入った生徒って話や。
どうやら精神系の魔法特性のようやで。」
「後天型で希少魔法自体めずらしいのに2人目!?」
村山 正輝の情報に反応したのは木下 恵である。
「ただなあ、奴は性格が酷くて自宅謹慎も多いっちゅー話や。」
「それはまた面倒なのが現れたもんだな。」
「光君みたいに真面目な性格だったり、雛ちゃんみたいに悪意の無い性格だったら扱いは楽なのでしょうけどね。」
と村山 正樹の情報に小鳥遊 光が言葉を返し秋月 明日香がそれに続く。
「まあ、編成その他諸々の事は遠征が到着してから考えましょう。」
「せやな、分からん部分で色々悩んでもしゃーないし、勝手に決めるのもチームワークに響くさかいな。」
「そうね。」
「んじゃ、解散ってことで。」
小鳥遊 光が言い、村山 正樹が続き、秋月 明日香か相槌を打ち、木下 恵が続けて言葉を発する。
ちなみに、小日向 雛は話に割り込むでもなく聞く側に回っていただけであった。
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