第10話 (事後処理)

事後、小日向 雛は魔法力の吸収で操作の魔法力のみを吸収し、小鳥遊 光は無効化で解除したとはいえ、女子射撃部が抑えた魔法警備隊員などからは洗脳魔法らしきものが確認されたため、お咎めを食らうことはなかった。

ちなみに付近の魔法警備隊や学園内の警備員は洗脳魔法で全員洗脳をやられてたようだ。

学園内の敵の侵入経路は魔法警備隊が魔法装置の探知機などを持ち込み捜索の末、転送ポータルのようなものが発見された、とのことだった。

持ち込み経路として有刺鉄線の除去されてた場所を山田 哲郎が指摘し、御手洗 良也は有刺鉄線の報告を忘れてたと言い張り、厳重注意にとどめられた。副委員長から降格はしたが。



「敵の目的は雛ちゃんやろうけど、相手の正体はつかめんかったわ。」

と言うのは村山正樹。

「そうか。」

と小鳥遊 光が返す。

「災難だったな。」

と高梨 光一が割り込む。

「まあ、雛狙いは想定してたしそうでもないな。」

「そういえば女子射撃部が救援にきたんだろ?

あのメンバーは曲者揃いで有名だったな。」

何故とは聞かれない。

秋月 明日香が小日向 雛を可愛がってるのは学園内では知れたこと―小日向 雛を愛でてるメンバーの一人にすぎないが―だからだが。

「女子射撃部には着替えを覗いた阿呆が複数人に同時に撃ち抜かれて御用となった事件があるさかい敵に回すのは危険や。

せやけど、味方に付けると心強いのは間違いあらへん。

敵に回さへんよごとだけは気を付けときや。」

と忠告を受ける。

「ご忠告どうも。」

その後は他愛もない話へと流れていく。



「失敗したか…

小日向 雛の前で小日向 雛と小鳥遊 光を襲わせ不審を、あわよくば小日向 雛を回収、をしようとはしたがなかなか上手くはいかないもんだな。」

「彼女は力の使い方をほぼ掌握してるみたいで干渉系の魔法はもう感知できるみたいだったな。

失敗した関係で多分俺の魔法はもう使えるようになってる。」

「彼女の魔法力が強化されればされるだけ、その分恩恵は大きくなるのでそこは置いておくとして。」

「苦労して洗脳魔法をかなりの人数に掛けたのにまさか援軍を呼ばれるとはな。」

「女子射撃部か…。一癖も二癖もある魔法弾を撃ってくる奴が多いことで学園では有名だな。

模擬戦とはいえ散弾銃で火の海にされた時は参った。」

「貴殿は水の魔法であろう?余裕なのでは?」

「水流の攻撃を仕掛けても1発で大量に蒸発させるほどの火力があるから焼石に水にだな。しかも銃弾の関係で中に入り込んでから水蒸気爆発を起こされるから水の流れも止められる。

その間に再装填されるから生半可な魔法じゃ押し返されるよあれは。

逆に連射重視で威力を押さえれば止めきれなかった散弾の流れ弾が飛んでくるし性質が悪い。

救いは魔法力が低い関係で10発ほど連続で使うと魔法力が切れて魔法力の回復をするまで魔法弾が使えなくなることか。

まあ、その前に制圧されるんだが。」

「じゃあ、今度は魔法力の低いそいつから女子射撃部を先に洗脳してしまえばよさそうだな。」

「その手もあったか、と言いたいところだけど女子射撃部には精神干渉系が居るから仕込んだ段階で察知される。

彼女の魔法の特性が接触した相手を失神させたりできる性質、つまり魔法を飛ばせないから銃の具現武装化が都合が良く、銃弾にして強制的に飛ばしてると言っても過言ではないからな。

相手にするにも二丁拳銃だから手数は多いし精神系だから希少な精神系統持ちを用意して防御しないと防げないしで数を揃えても無意味だというのは彼女の戦果から知れ渡っている。」

ちなみに具現武装化を手に入れた後に試験運用をかねて本人の同意の元、紛争地帯に送り込まれたのだが、どちらかと言えば本人が試したがったという理由までは村山 正輝も知らない極秘の話である。

「もしかして、有名な二丁拳銃の怪人か?」

「不可解な動きから放たれる精度の高い弾丸と撃たれた相手を強制失神させることから付いた二つ名だが、彼女はその二つ名が気に入らないらしい。」

「そこは良くも悪くも女ということか。」

「確かに。

それによく傍にいるプラズマ弾丸の女もめんどくさい。

彼女は両親が魔法協会所属の監視役なのもありその精神干渉系の監視役でもあるが、何よりめんどくさいのは特性が電雷で感電はおまけに近い。別名はレールガンシューターで、彼女は本気を出せば防御なんて簡単に抜いてくる。

効率化のために具現武装化を選んだ"例外"で、魔法力も学園の中で上位の方にあたる。」

「…なんでそんなめんどくさい連中が集ったんだ?」

「原因は秋月 明日香だな。魔法力が低いながら好成績を上げ続けたことで感化された生徒は少なくない。」

「クールビューティか。魔法の発現が認められる前は国外の射撃大会の子供部門で賞を独占したこともあるんだっけ。

ただ近くに精神干渉系がいるなら彼女を狙うのも得策じゃないな。」

「…さて、次の手はどうするべきか。」

「問題は魔王派連中がいつでてくるかだが。

奴らに確保される前にあの魔法力を我等の手中に収めないと。」

「そうだな。」

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