第6話 (魔弾の射手)
「逃げられた!?」
という声が風紀委員室に飛ぶ。
今は風紀委員の業務連絡の時間なのだがそこで佐藤 智和は声を荒げた。
「ローブで身を隠して生徒指導室に入ってやつに昏倒させられてその隙に逃げられたらしい。
警備してる人やセンサー系統は異常がなかったという話だが一体どこから現れてどこにきえたのだろうか?」
と如月 優也が報告をしてくる。
これに室内はざわめきが沸く。
「今日からまた見回り強化をすることにした。
今日は暇のある人は参加、明日からは全員参加でおねがいします。」
とも報告された。
翌朝
「なんか学校に不審者が現れたそうやな。」
と村山 正輝に声を掛けられる。
「だが、警備委員や周囲を含む魔法検知のセンサー、外壁のセンサーには何も感知されなかったようだ。」
「ふむ、どこか別の場所に侵入経路があるいうんやな。」
「その線もあるが目星がつかないらしい。」
「ふむ、ちょっと調べてみる必要がありそうやな。」
と言って村山 正輝は教室から
一時退場していった。
HRが始まると吉川 恵が不審者が現れたという話をしたことで教室全体、いや、教師が報告するということは他のクラスでも報告がされてるということで学校全体に緊張が走った。
昼休み「こーうちゃん、お昼一緒にたべよー。」と唐突に小日向 雛に誘われる。
「いつもは同級生とか先輩と一緒に食べてなかったか?」
「うん、ところがねその先輩の一人がこうちゃんに話があるんだって。」
小鳥遊 光はそういうことかと納得した。
「光一、俺は誘いに乗ることにしたから今日はいいか?」
「ああ、構わん。」
と言って教室を後にしたのだった。
中庭に女子の集会みたいな場所が出来ていてそこが目的の場所らしい。
「あ、きたきた。」と女子の一人が声を上げた。
襟の紋章からみて下級生と言ったところか。
「どうも小鳥遊 光です。本日はお邪魔します。」
と言った。
「思ったより礼儀正しいのね。」
と唐突に声を掛けられる。
そちらを振り向くと
「初めまして、私は秋月 明日香。」
と名乗られる。
秋月 明日香、学園では有名な後天系屈指の実力者―学年の実技1位の実力者―として有名である。
ちなみに彼女の具現武装化は銃であるが銃の具現武装化自体は多くはないもののある程度は選ぶ人がいるため本来は珍しくないのだが、彼女の形状はアサルトライフルの形状である。
魔法には命中補助というのは存在しない―具現武装化にあたってのスナイパースコープみたいな付属品は例外だが―ため、ほとんどの人は小回りの利くタイプを選び小回りの利かない上に構造も複雑―銃の形状を取るにあたっては構造の知識も無いと正常に機能しない―なアサルトやスナイパー系の具現武装化は数少ないなのである。
ちなみに、子供の頃親に射撃練習場に連れて行ってもらってから銃を好きになったらしくそこから魔法の素質が認められることになるのだが、彼女は迷わずアサルトライフルの形状を選んだというのは有名な話。
銃については一通り詳しいことでも有名で彼女の周囲の女生徒の約半数は彼女に師事して銃の具現武装化を選んでいるほどである。―ちなみに集まってる女生徒の半数以上は彼女の周囲の女生徒とは関係が無い。
ちなみに秋月 明日香の命中精度はほぼ必中と言われており動かない的ならど真ん中一点を撃ち抜き続けるほどに高い。
さらに凝縮した魔法力の弾丸を込めたカートリッジを魔法力で生成して装填する本格的な形式である為、魔法のチャージといった隙が少ないといった特徴もある。―構えながら魔法力で次のカートリッジを生成できる為に魔法力が尽きるまでカートリッジ換装の間ぐらいの隙しかない。
ついでに秋月 明日香には特性が氷である為命中した対象を大きく凍らせることができる、打つ際のその凛とした姿勢、冷静さ―上手く近づいても慌てず冷静に撃ち抜いてくる―などからクールビューティという呼び名がある。
ただし、かわいいものには弱いのも有名ではあるが。
「何か話があると聞いてきたのですが。」
と小鳥遊 光が返すと
「まあ、とりあえず座って。」
と薦めてきた。
そして座ると
「幼馴染君とちょっと話してみたかったというのが一番ね。」
と返された。
そこから話をするが主に幼馴染としての色々の話のあと、魔法の話になりまずは秋月 明日香の魔法の話を聞き、そのあと小鳥遊 光は自分の魔法の事を話したのだが
「ふうん、そういう意図があって盾の魔法なのね。
いいと思うわよ?実際学年の上位の実力者を倒したんでしょ?」
とほのかに微笑みながら言葉を返された。
劣る魔法力で魔法の実力者を倒せる手段というものには共感するものでもあったのだろう。
「放課後ちょっと話をできるかしら。」
と話を振ってきた。
「風紀委員の見回りの仕事があるので難しいと思います。」
「見回りをしながらでもいいわ。
私が見回りに同行しても止める人なんていないしね。」
とちょっと不可思議なことを言った。
ちょっと首をかしげたのを悟られたのか理由を教えてくれる。
「私は風紀委員に誘われたことがあるのよ。興味が無くて断ったんだけどね。」
とあっけらかんと答えた。
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