第5話 (不穏な動き)

「調子はどうだ?同志よ?」

「必要なものを持ち込むことには成功した。」

「そうか、なら準備は万端ということか。」

「だが問題が一つあってな。」

「なんだ?」

「転送装置を持ち込んだはいいが校内では彼女をかわいがってるグループがあって彼女が一人になるタイミングがなかなかなくて攫うチャンスがないな。

そのメンバーの中には相手にするにはめんどくさい魔法を使うのも少しいるし。

下校途中までは魔法探知機の設置が過多な上に魔法警備隊待機所が増設されていて警備隊がすぐに駆けつけてくる。さらに他の生徒と一緒に帰宅しててなかなかチャンスがない。

電車構内から電車内部までを魔法警備隊が入れ代わり立ち代わりで巡回していて人数を用意すれば間違いなくテロとして拘束されるだろうし、家の近くは知ってのとおり警察警備隊による不審者洗い出しで既に同志が4人捕まっているからどうしたものか。」

「何かチャンスとか隙とか気づいたこととかはないのか?」

「正直ないな。…いや、あった。

基本的には駅まで他の女子と一緒に行動してることが多いんだが、時々幼馴染と言われている男と一緒に駅まで行ってることがあるな。そいつの時は他に同行者が付いていないいない。」

「…つまりそいつを倒して攫うか人質にすればいいと?」

「だが奴は隙も少なく魔法もめんどくさい。

盾の武装化な上に特性が無効化だから生半可な攻撃は通用しないしな。」

「…ふむ」

と会話が少し途切れた。

「…警備隊をどうにかしてぶつければ彼女を味方にできないか?」

「…その手も考えたが問題はどうやってぶつけるかだな。

奴は風紀委員に抜擢される程度には問題を起こさないからな。」

「一つ手がある。しかし、それには下準備が必要でな。一定期間待ってくれ。」

「お前の希少魔法だからこその手が浮かんだんだな。」

「そうだ、だがリスクが無いわけではない。

ゆえに慎重に仕込まねばならずゆえに時間がかかる」

「まあそういうことなら仕方ないな。朗報を期待してるよ。」

「ああ。」

そういってその男は去った。



「まあ、小日向と小鳥遊で同じ漢字が入って3文字というのが雛に最初に話しかけられた動機だな。」

などと小鳥遊 光は佐藤 智和に話ながら歩く。ちなみに「敬語はいらんいらん。」と言われた。

今日は見回り当番の日で佐藤 智一と一緒に移動していた。

中庭と高等部校舎周辺なのだから一緒に外に出ているだけであるのだが。

と、外に出る出前のあたり、下駄画箱付近で不審な人影を確認する。

佐藤 智和と顔を見合わせた小鳥遊 光は頷きあった後走った。

「あの、すみませんがどちら様でしょうか。」

と声を掛けると

「あ、ああ職員室を探していてな。」

と言ったその男の方向は明らかに職員室とは違う方向だった。

ちょっと話を聞かせて貰えますか?」

と確認した瞬間その男は逃げるように走りだした。

「あ、おいまて。」

と言い一瞬で捕まえた佐藤 智和。

(これが佐藤 智和の大気の魔法か。)

と小鳥遊 光は観察していた。

空気の檻を作って逃げれなくしただけであるのだがその動作には余裕があった。

前もって準備してあったというよりは使い慣れた魔法なのだろう。

しかし、その男はおとなしく捕まる訳がなく魔法を行使してきた。

「うおっ、プラズマか!」

と佐藤 智和が言い、そのプラズマを回避する。

「きゃー!」などと他の生徒の悲鳴が聞こえた。

範囲攻撃だった為に他の生徒にも攻撃の手が行ったのだろう。

盾で無効化していた小鳥遊は、そのプラズマをかき消した。

その間に佐藤 智和が相手を窒息させて気を失わせたようだった。

佐藤 智和は「お前の無効の特性は便利だな。」と言ったが

「柔軟性のある佐藤先輩の魔法の方が便利ですよね。」といい、笑いあった。

「さて、とりあえず魔法探知機で警備員と実技の教師が走ってきたことだし後は引き継ぐか。」

と佐藤 智和が言い、それに乗ることにしたのだった。

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