第3話 (探査系の魔法)
翌日早朝に有刺鉄線が切り取られた場所が気になって見に行くとやっぱり放置されていたため、直接風紀委員の担当教師に報告することにしたのだが。
「そういう報告は聞いてないな。」
と山田 哲郎(やまだ てつろう)という担当教師は答える。
「私は見に行ってくるから君は教室に戻りたまえ。」
と言って席を立った。
「お、今日は早いんやね。」
と村山 正樹に声を掛けられる。
「手帳を開いているが何か新しい情報でも手に入ったのか?」
「いやいや、ただの情報整理や。」
「そうか。」
と言って自分の席に付く。
ちなみに教室の後ろの方から入ったのだがそれに気づく村山 正輝は「情報を盗み見られへんように薄く伸ばした魔法を張ってるんや。」と昔答えたことがある。
薄く伸ばした魔法を張ることで魔法検知器に引っ掛からないようにできる探査系魔法限定の小技―代わりに精度は落ちる―と村山 正輝は教えてくれた。
そこでふと不審者のことを思い出す。
不審者が手練れということは探査系の魔法で小日向 雛の何かを調べてたという可能性がありえるということに。
そこで
「正輝、ちょっといいか?」
「なんや?」
「この前の不審者の件だけど、そいつが薄く伸ばした探査系魔法で雛の何かを調べていた可能性はあるか?」
「んー、否定できへんな。
実際うちが使っとる小技を相手さんが使えんとも限らへんしな。」
「相手の魔法の目処は付けれるか?」
「んー、難しい話やなあ。
わいの闇の魔法特性は影を感知センサーにつこーてるし逃げる際にも有効やけど、そもそも闇の特性はレアやさかいそんなにいてるとは思えへん。
そもそも、基本的な特性の中にも探査が使えるんはチラホラあるさかいな。」
ちなみに村山 正輝の魔法特性が闇というのは周知の事実であり、闇魔法は攻撃力こそ高くはないが、闇を作り闇に紛れ、闇から攻撃するという奇襲などに適した魔法と言われている。
闇はおろか影さえあれば潜伏可能であるため、その奇襲性はかなりのものである。
しかし、攻撃力自体はそんなにないため闇の特性の人は例外を除き具現武装化に手を出す傾向にある。
「たとえば風や、空気のセンサーを使ってその空気振動で感知する。
大地なら地面の振動やな。
せやけど可能性としては水が一番高いな。」
「それはどういう原理で?」
「水言うんは、水の幕や霧などの手段で空気中にセンサーを撒けるんや。
そして水言うんは、振動と一緒に信号なども送れるんや。
つまり、感知センサーだけやなく会話やその他情報を集めやすいいう特徴があるんや。
逃亡するときも下水に逃げ込めばそこから一気に逃亡できるさかいな。」
(難しいとは一体なんだったのか。)
「ただ、下水から逃げたんなら水に同化して移動する性質上汚水に汚染されて大きなダメージを受けてるはずや。」
「つまり、そのダメージを受けてる奴を探せばいいと?」
「ところがや、あんさんも知ってると思うけど水の魔法は治療魔法としても最適でな。
本人が人体の知識をかなり詰め込んでるとか、逃亡先に協力者に治癒の魔法持ちが居たんやったらその場で汚染を取り除けるさかい見つけるのは多分難しいと思うで。」
「なるほど、勉強になった。」
「報酬はスタミナパンとソーセージパン、そしてイチゴオレでええ。」
「…わかった。」
こうして村山 正輝との会話は終了した。
村山 正輝の会話内容からから、尾行に気づけた要因が湿度の上昇と当たりと付けることができることから水の特性持ちと見てほぼ間違いないだろう。
ちなみに水の魔法特性は希少ではない中では最高の特性と言われている。
それは水は人体を形成する要素でもあるため操作を磨くことで治療に流用―水特性でメスの具現武装化を選んだ奴もいるほど―できたり、水流でそのまま攻撃できたり、水の壁で攻撃をシャットアウトしたり、水と同化して移動できたり、幕を張ってセンサーにしたりという万能系特性なのである。
ちなみに空気中に水分があれば発動できるため行使条件も魔法全体から見て楽な方である。
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