第2話 (不審)
放課後、風紀委員の定期業務連絡にて
「最近放課後に学園周辺で不審な人影が目撃されてるという報告が複数件上がっている。
そのため来週からはは見回り強化期間として全員参加でおねがいします。」
と如月 優也が業務連絡を告げる。
「はー、めんどくさ。不審者を見つけたらこの恨み晴らしておくべきか。」
と言ったのは一つ上級生の佐藤 智和(さとう ともかず。
「殺しちゃだめだよ。」
と如月 優也が返すと
「わーってる、わーってる。」
という返事をする。
ちなみにいつものやり取りらしく周囲は慣れたもののようだった。
佐藤 智和はこういう不真面目そうな態度に反して、優秀な風紀委員なのである。「めんどくさい」「仕方ない」は口癖だが面倒見がいいことでも有名。
「報告は以上。」という言葉で本日の業務連絡は終いとなった。
今日は見回りの日なので該当の範囲へ移動してると、
「よっ、お疲れさん。」
と佐藤 智和に話かけられる。
「どうも。」
とお辞儀をする。
「お前の見回りの範囲と近くだな。何かあったときはすぐに俺に連絡してくれよな。俺も何かあったときは連絡するから。」
と言われたので
「わかりました、ありがとうございます。」
返した。
「協力した方が早く片付くからな。それだけだ。」
と返されたが。
本日の見回り範囲は高等部棟の周辺―ちなみに佐藤 智和は高等部棟内部―である。
校舎の配置は正門左右に中等部と高等部があり、その奥に職員室、風紀委員室、生徒会室等が集まる―ちなみに初等部もここにある―中央棟、その奥裏門側に大学が存在する。
中央棟との境には大きめの中庭が設けられていて昼食スペースとして人気のスポットにもなっている。―見回りの中庭の範囲は中等部高等部の範囲の中庭のことを指す。
演習場と呼ばれる大きなグラウンドが中等部側に中等部から大学までの距離をカバーしていて校舎の倍ものスペースもある。
演習場は実技教師の見回りの範囲である。
実技の教師には本来事務仕事はほとんどない―本来実技の教師は外部(OB)に頼んできてもらうことも少ないために特別魔法教員証というのがあり、その過程で実力行使的な業務が多く相対的に基本的な仕事内容は他の教師より楽―のだが、吉川 恵は生徒を受け持ってみたいというわがままで担任をやっている、というのは有名な話。
ちなみに元々教師をやるつもりだったのか通常の教員免許は高等部卒業前にさっさと取得してしまっていたらしい。
正門裏門には警備員が2人づつ常駐しており大学側の敷地内には他にも複数名の警備員が巡回している。
高等部棟の周辺の範囲を見回っていく。
すると高等部周辺にある外壁の有刺鉄線が切り取られてるのが見つかる。
とりあえず小型スピーカーを通じて報告。
ちなみに風紀委員長は統括ということもあり基本副委員長と交代でやっているのであるが、今週はずっと副委員長がやっていて―委員長は今週は家の用事あったらしい―
「それは後で中央職員室報告しておく、見回りを続けてくれ。」
と返ってきただけだった。
副委員長の名前は御手洗 良也(みたらい よしや)という。
ぶっきらぼうな性格であり風紀委員メンバーの半数以上がとっつきにくいと口を揃えている。
外壁には有刺鉄線の他に魔法検知器などもあるため魔法で乗り越えようとしてもばれるし、有刺鉄線には振動感知センサーも付いているため梯子などををかけた時点でばれるはずだが、有刺鉄線が切り取られたことに気づかれてなかったことに違和感を覚えたのだった。
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