第10話 (結末)
決着のあと魔法警備隊が駆けつけてきて事件は幕を閉じた。
その後の取り調べで岩山 輝人が使ったのはとある研究所で開発が中止されたタイプの魔力増幅剤だった。
動物実験で生命活動に問題がなかったため魔法師になるには魔法力が足りない―微量にあるだけの―被験者で試した結果、一時的には増幅するが増幅中に魔法を行使すると薬の効果が切れた時に魔法力が全く無くなってるという代物だったようだ。
岩山 輝人は犯罪者として裁かれるだろう。と吉川 恵がホームルームで報告をした。
ちなみに岩山 輝人に薬を渡した人も捕まり、入手ルートを吐いたがブローカーから買ったとのこと。
そのブローカーとの接点は特になくブローカーの足取りはつかめなかったようだが。
問題はもう一つある。
小日向 雛である。
彼女の魔法特性は吸収と見られていたが彼女は凶悪犯罪者を使って魔法力の吸収の実験をしてた時にちょっと違うと違和感を覚えてたらしい。
後になってふと口の堅い親友にちょっと試した結果、特性は吸収ではなく魔法力を奪い、貸与、授与できるという特性だったらしい。それこそ魔を総べる王みたいに。
1週間の実験の結果、特性は魔の王へと昇華した。
残留魔法力を自動で吸収して魔法力を無尽蔵に回収できる他、吸収した―奪った―魔法の行使もできるようにもなるとのことで魔法師最強になるのは遠くない。
過去にそういった事例は大昔に1件あっただけらしい。
当時魔王と呼ばれた存在はその能力を使って私欲の限りを尽くしたとも言われる。その力を無効にできる勇者と呼ばれる存在の人が現れてそれで魔王を討ったとも。
ちなみに小鳥遊 光の魔法力は知らぬ間に偶然キスで授与が中途半端に発動してたために魔法力が半端になってしまっていたらしかった。
ボーダーぎりぎりだったために少し魔法力が上昇して魔法力を行使するだけの条件を満たしてしまったのが、発現が遅れた理由だとも。
ちなみに貸与、授与をする方法をキス以外に知らないため魔法力の貸与授与の実験の被験者は魔法研究施設の女性員のみで行われたらしい。
貸与と授与した対象はその魔法力を回収しない限り感知できるらしく、小鳥遊 光を簡単に認識できたのはその関係だと雛は実験のための休学をする前に教えてくれた。
貸与は与えれる範囲の制限があり決められた範囲でしか使えず、いつでも回収できるということ。
授与は好きに与えれるということで対象の許容の範囲いっぱいまで魔法力を与えることができるということ。回収するには直接奪って回収しなければいけないこと。
実験の結果、これが貸与と授与の大きな違いらしい。
ちなみに実験で授与した魔法力は悪用されるのが嫌という理由で奪う能力で回収した―奪う範囲の調整もできる―とのこと。
基本的に授与する気は無いらしい。
「こうちゃんただいまー!」
と魔法の実験テストが終わっって、戻ってきていた小日向 雛が飛びついてくる。
場所はクラスの中なのだが…
「幼馴染はやっぱり特別なのね。」などという声も聞こえたが、もうこの辺りは諦める事にした。
ちなみに後日、村山 正輝から聞き出した情報によると「こうちゃんがちゃんと好きになって恋人同士になったのなら応援する。」とクラスメイトの質問に答えてたため小鳥遊 光に害意を与えなければ彼女の逆鱗に触れる事はないという認識で広まっている、とのこと―小鳥遊 光はそもそも絡まれないよう慎重に行動していたので嫌ってる人は元々ほとんどいなかったが―だった。
魔の王という特性が知れ渡った―そもそも、本人が特性をばらしたのだが―ことで一時学園内ではざわめいたが、彼女の性格ゆえか彼女に恐怖を抱く人はほとんどいなかった。
こうして学園に平和が戻ってきたわけなのだが…
「魔の王が出現したって?」
「ああ、だが彼女には悪意はないようだ。」
「だが、いつその力に溺れるかわからんぞ。」
「まあまあ、今は様子を見守ろうではないか。」
「そんな悠長なことを言って…問題が発生してからでは遅いぞ。」
などという会話が密室で行われる一方で
「魔王様が誕生してただと!?」
「だがまだひよっこだ!」
「私たちが真の魔王に育てればいいだけじゃない?」
「懸念すべきは勇者と呼べる存在がどこかにいるはずということだ。」
「たしかに…調査をする必要がありそうだな。」
などという会話が別の位置に存在する密室で行われてたことなど
今はまだ知る由もない。
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