第7話 (見回り)
「では、こちらが風紀委員のバッジになります。胸のところに付けておいてください。」
という如月 優也の指示でバッジを付ける。
「ちなみに、バッジには魔力を込めれば録画が開始されて映像が録画される仕組みになっています。」
と言われたので
「風紀委員というのを示すだけのものかと思ったが小型カメラに魔法式ON/OFFスイッチとは結構予算が掛かってるんですね。」
と返すと
「証拠撮影のためでもありますからね。
紛失すると場合によっては百万以上の罰金を取られることもあるのでくれぐれも無くさないでくださいね。」
と言われ
「わかりました、気を付けます。」
と返事をしておいた。
「あと帰宅時はここに戻しておいてください。
ここにセットすることでバッテリーの充電と録画した内容を風紀委員のデータベースに自動転送とされるので余計な映像は極力撮らないでくださいね。」
と言われた。
ちなみに魔法式ON/OFFスイッチとは魔法力を注ぐことで起動と停止ができる魔法師専用技術であり、魔法力が無い人には扱えないため軍事や業務用といった限られた場所でしか使われない高価な装置なのである。
「魔法力が少ないので起動するか試してもいいですか?」
と聞くと
「問題はないけど、余計なデータの削除は自分でやって欲しいかなあ。」
と愚痴っぽい言葉が出た。
ちなみに新しい風紀委員が入るとあって風紀委員が勢揃いしている―自己紹介は済んでいる―そのメンバーの半数近くが視線を余所へとやった。
その後
「手動タイプがないので起動しなかったらちょっと困るかな。」
と返されたがその顔は起動することを疑っていない。そもそも魔法力があると判定されるにはある程度の魔法力の数値―魔法を行使できる最低値がある―が必要だからだが。
起動する下限を見ながら、魔法力を調整しては込めてみる。
「これ結構魔法力を使いますね。」
と言うと
「誤作動を起こさないためにある程度は必要だからね。
でも少ない魔法力で魔法の行使をしてるなら魔法力の加減調整は得意なのでは?」
と聞かれる。
「得意ではないですけど…まあ少し練習すればいけそうですね、大丈夫みたいです。」
と返した。
その後は他の委員メンバーの自己紹介のあと、風紀委員の放課後見回り業務をした。
基本的に見回りは当番制であるが、入って最初の1週間は慣れさせるために毎日帯同をさせられる。
回る場所は基本的に当番の人が朝集まって決めていくのであるが。
風紀委員は基本的に放課後軽く業務連絡をして解散―当番じゃない人は何も問題がなければすぐに帰宅できる―するのである。
そして、特に大きなこともなく一週間が過ぎ、自分の最初の当番の日がやってきた。
見回り範囲は中庭だったが。
ある程度散策してるいると
「おい、例のものは手に入ったか?」
「ああ、ばっちりだ!」
という声が聞こえる。
片方は聞き覚えがある。岩山 輝人だ。
もう一人は知らない声だが。
気になったのでこっそり様子を見に窺う。
「これであいつにも引けを取らないはずだ、はっはっはっは!」
とそのまま解散したようだった。
何かを受け渡ししてた映像はとりあえずバッジのカメラで撮っておいたが。
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