第6話 (勧誘)
翌日、HRにて岩山 輝人は1週間の謹慎処分と担任の吉川 恵が報告した。
それとは別に
「最近、また魔法力を上げる非公式の薬の話が出回ってるみたいけど、そういう怪しい薬は効果が無かったり効果があっても副作用で身体能力低下ならまだいい方で、場合によっては魔法力消失、下手すると死ぬこともあるのでみんなは手を出さないようにね☆」
という注意もあったが。
その日は、昼休みに村山 正輝に学園の食堂の購買部限定商品(数量限定)スタミナパンー背割りのコッペパンにレタスを敷いてその上にメンチカツやら焼肉等を乗せて挟んであるもの―と引き換えに少しの情報を教えてもらうことになったぐらいで特に何も起こらなかったが。
翌日HR前、小鳥遊 光は上級生に呼び出された。と言っても会話場所はクラスの目の前だったが。
「はじめまして小鳥遊君、私の名前は如月 優也(きさらぎ ゆうや)。」
と自己紹介のあと
「うちのクラスの友達が言ってたんだけどね、部活の下級生の話を聞いたそいつの話によると君は盾の具現武装化を持ってるらしいね
しかも、模擬戦とはいえ学年上位に勝ったという。」
という前振りのあと
「そこで、君を風紀委員に勧誘しに来たってわけ。」
とその先輩は言った。
「魔法力の低い俺が風紀委員に入って何ができますかね?」
ととりあえず聞く。
「盾ということは出して準備状態にしておいても攻撃すると意思表示になりにくく何かあった時に対応しやすいということでもあるからね。
あとは学園で不始末や問題を起こしてないのも考慮された。
部活も未所属だしね。」
と返された。
実際には魔法力が低い分絡まれないようにうまく調整して過ごしてたため不始末や問題をのらりくらりとかわしていただけなのだが。―ちなみに途中から村山 正輝が情報通と知ってそこからは情報を買ったりなどして調整してたわけだが。
ちなみに風紀委員は委員長か副委員長が担当教師に話を持って行って許可が出るか、委員会に問題があった場合は担当教師がメスを入れるかでメンバーの増減を繰り返し運営されている。
風紀委員になると不祥事で資格を失わない限りは成績に+αがもらえる他、魔法学園の風紀委員は魔法の実力行使になることもあるため任期を全うできるだけでも魔法系の仕事に付くときに就職しやすくなる―任期期間が長いほど有利―という利点もあるのである。
要するに実力を求められる委員でもある。
「とりあえず考えさせてください。」
と小鳥遊 光が答えると
「いい返事を期待して待ってるよ。では失礼するね。」
と如月 優也は答えて自分の教室へと戻っていった。
ちなみに風紀委員は校舎が初中高とそれぞれ別のため初等部中ごろからあり―ちなみに大学に進学すると重要な施設も置いてあるがために警備員が在中していて必要がなくなる―、高等部まで風紀委員の任期―全部で最大8年半に及ぶ―を全う(まっとう)できた人は警備隊他数多の幹部候補としての価値も高い。
「風紀委員長が何の用だったんだ?」
高梨 光一が聞いてくる。
「勧誘の話だった。」
と返すと
「模擬戦で岩山 輝人に勝ったことが影響してるのか?」
と聞き返される。
「どうも部活の後輩経由で模擬戦の話が回って来てたらしい。」
「あり得ない話じゃないな。で、お前はどうするんだ?」
「んー、任期を一年全うするだけでも魔法系の就職で魔法力分のマイナスを引いても有利になるし受けてみようかと思う。」
「就職、か。お前はいつも先を見据えて行動するな。」
「雛に振り回されたおかげだけどな。」
「はははは。」
と以降は他愛のない話へと流れていく。
ちなみに魔法力が低い人が勧誘されることは数少ないが魔法力が少ない人にとっては魔法系の仕事の就職に有利になるため、魔法力の低い人が勧誘されて断った例は稼業を継ぐとかいう類以外皆無―稼業を継ぐ上でも取引で有効に働いたりするのでそもそも断る例自体が少ないが―である。
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