第5話 (模擬戦)
模擬戦が始まる。
岩山 輝人の使う魔法は地上戦では最強格とも呼ばれる大地の魔法に分類される。
反面空中戦は苦手―対空は岩石砲など攻撃方法は数あるため地上にいる間は厄介極まりない―なわけだが、具現武装化をしてる人には地上から引きはがすことのできる方法を持ってる人が希少と呼べるレベルで少ないので相性は悪いのではあるが。
最初は左右を隆起させてそこから岩の礫攻撃が飛んできた。様子見なのだろう。
姿勢を低くしつつ盾をかざしてやり過ごす、が
「それじゃあ前が見えねーだろ!」
と、その言葉のすぐ後に岩の槍が足元から上がって来た。
それを寸でのところで回避する。
魔法を行使するには魔法力を込める必要があるため―具現武装化の場合は既に形があるため例外ではあるが―姿が見えてると魔法の行使が予測できるという欠点もあるのである。
「ほら防御がお留守だぞ!」
そう言って再度岩の礫が飛んでくる。
岩の礫の攻撃を防ぎつつ体移動で前を見据えながら突き進んでいく。
勢いそのままで突っ込めばチャージ攻撃―盾越しのタックル―を叩き込めるのだがそうそうそんなことを許してくれるわけもなく
「そんなのが通用するわけがねーだろ!」
と言いつつ隆起陥没させて接近を拒否してくる、が
「そらよっと。」
と隆起部分に乗りそのまま陥没部分を飛び越える。
盾を攻撃に使うにあたって足腰は重点的に鍛えたところであるため多少の起伏は障害ですらないのである。
しかし、その行為は空中に身を乗り出すものであり
「所詮その程度だったか…」
と言いつつ巨大な岩を飛ばしてきた。
「…まあ、想定の範囲内だな。」
それを盾で叩き砕く。
空中のチャージ攻撃を巨大な岩の防御―砕く攻撃―に使ったため岩山 輝人に叩き込むだけの勢いはなくなったが、攻撃の射程圏内までは詰めることができた。
ちなみに咄嗟で撃ってきた礫は盾で普通にガードした。
「チェックメイトだな。」
とシールドバッシュの構えを取ったところで
「そこまで!」
と若月 夏に止められる。
しかし、
「ふざけんなよ…!」
とキレたのか試合を中断する気もなく周囲に岩の針を大量にはりめぐらされる。
魔法力の行使に気づいて地面に盾を叩きつけたため自分への被害は防いだが、そのまま周囲を巻き込む勢いで範囲が広がっていく。
とその時、一瞬の体の重みを感じると同時にその岩の針が崩れ落ちる。
「く…そ…」
という岩山 輝人の声でそちらを見ると
何かに押しつぶされるような恰好になっていた。
そして
「面倒をかけないでくれよ。」
と言ったその先にはにこやかな笑顔で―片手をやれやれと持ち上げた格好で―魔法を行使している若月 夏の姿があった。
「あれが希少(レア)魔法の重力操作か。」
「俺、初めてみた。」
「若月先生が魔法を使う姿なんてレアだぞ…」
などひそひそ話が聞こえた。
さらに遠くからは
「キャー、カッコイイ!」
などという黄色い声も聞こえてきた。
希少魔法:その名の通り使い手の希少な魔法であり例外を除き絶大な強さを誇る。そのため、学園内での使い手は教師生徒含め存在しないか、居ても数えるほどと言うことが大抵である。
重力操作はその名の通り重力磁場を自在に操れるため宙に浮かすも地面に貼り付けるも自由自在である。
ちなみに若月 夏には捕えるのが困難な凶悪な魔法犯罪者を重力の差を作って肉体を割いて殺した―笑顔の表情のままで―という逸話がある。
(笑顔なのは余裕の表れなのかそれとも…)
と思いつつもとりあえず
「先生ありがとうございます、助かりました。」
と礼は述べておく。
「いえいえ、これも仕事ですから。」
とあっさり返され
「ただ、僕が止めなかったら君が攻撃を叩き込んでたね?」
と次の行動を見透かされていた。
「気のせいですよ。」と返しておいたが。
その後は何事もなく実技の時間が進み、実技の時間が終わると、
何故か、吉川 恵が指導室まで連れて行ったのだった。
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