第1話 (唐突の再開)

高等部入学式当日


「入学式とはいえエスカレーター式だしあまり変わり映えがしないから新鮮さが足りないな。」

と言ったのは高梨 光一。

「魔法を使える人は限られてるのだから仕方ないだろう。」

と返すのは小鳥遊 光。

「ところがやな、なんと編入生が来るそうや。し・か・も、かわいこちゃん!」

と唐突に後ろから声を掛けられた。

振り返るとそこにいたのは、村山 正輝(むらやま まさき)という人。

お調子者で有名で学年上位の実力者でもある。

情報通でもあり、彼から情報を買う生徒は後を絶たないという。情報を取り扱う観点から分け隔てなく接することで有益な情報を仕入れ引き換えに誰かがハブられることも誰かからハブられることも無い環境を作っていると言っても過言ではない。

力任せに情報を聞き出そうとした者は上級生人数問わず返り討ちにした過去があるため、下手に喧嘩を売る奴もいないが。

ちなみに、彼の関わった喧嘩は全て正当防衛ということになっており彼がお咎めを食らったことは未だに無い。

「まじか!」「珍しいな。」とそれぞれの反応を返し、そのまま特になんの問題もなく入学式は終了した。



「また同じクラスだな。」

「ああ、そうだな。」

と教室に入って席に付く。

苗字の関係で毎度のことながら氏名順だと席が左右前後になるのである。

「げ、岩山も同じクラスかよ。」

と小声で高梨 光一が話かけてくる。

「まあ、そういうこともあるさ。」

と小鳥遊 光が返すと

「光は相変わらず達観してるなー。」

と返ってきた。

その後少し無駄話をしてると担任らしき人が入ってきた。

「担任の吉川 恵と申します。なお専任は実技ですのでやんちゃな生徒にはお仕置きしちゃうぞ☆(ウインク付き)」

と変なノリの自己紹介をしてきた。

この先生、普段はいつもこのノリだが実力は学園一とまで言われる実力者なので性質が悪い。

「では、ご家庭の都合により今年から編入生することになったかわいこちゃんの紹介にはいりまーす☆」

という言葉でクラスがざわめき始める。

村山 正輝のように「うひょー待ってました!」と言うやつも居れば「これだから男は…」って声を発した女生徒の声も聞こえた。

入ってきた子は存外小さく…!?

「あっ、こうちゃんだやっほー」

という声で小鳥遊 光はがっくり項垂れた。

「では自己紹介をお願いね!」

「みなさん初めまして、小日向 雛です、よろしくおねがいします。」

と自己紹介のところで少しクラスがざわめいた。


「なあ光、彼女と知り合いなのか?」

と高梨 光一が聞いてくる。

「まあ初等部3年ぐらいまでは家が隣同士だったぐらいだな。もちろん学校は普通の学校と魔法学園で別々だったが。」

「へー。」

小日向 雛のあいさつが終わり指定の席へと座るが話は続く。

「しかし、よく俺に気づいたものだな…

雛の容姿は昔見たときとあまり変わってる感じはないんだが、俺は身長も伸びたしわからなくてもおかしくはないんだがな。」

「そういえば、不思議だね。」

「それよりも、クラスの空気が変わったのが少し気になるんだが。」

と小鳥遊 光が疑問を投げると

「そこ、おしゃべりしない!」

と吉川 恵に注意されて話は中断となったのだった。

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