盾(アタッカー)

@milchi

高等学年部1

第一章 盾アタッカーの始まり

序章 (盾)

この世界には魔法というものが存在している。

しかし、魔法力自体は個人差が大きく魔法力に劣るものは基本的に不利である。

そして、それを覆すべく開発されたのが具現武装化。

現状では武装化の注射を受ける事で魔法力不足でも強制的に魔法力を使って具現武装化をすることができるようになる。

これにより魔法力不足を身体能力で補強できるようになるのである。

ただし副作用として、形状変更が効かないという欠点もあるが。




係員「小鳥遊 光(たかなし こう)さん準備が整いましたのでこちらへお入りください。」

という係員の誘導の元、男性が一人部屋へと入っていく。


小鳥遊 光。定期検査で魔法力が発見されたために魔法学園への編入が決まった。

生まれ持って魔法力を持つ者は先天型、時間経過と共に魔法力の素質が目覚めたり発現したりするものは後天型、と呼ばれる。

先天型は遺伝によるものが多く、魔法力は高い傾向にある。

後天型は普通の家からでも発現することがあるが、別名を変異型とも言われており魔法力は低い傾向にある。

例外もあるが。

彼の場合の場合は後者であり、しかもその中でも底辺に位置する魔法力しか持っていない。

ゆえに彼は考えに考えた、どうすればこの少ない魔力で攻撃と防御を備えれるかを。

色々な書物を漁りまくったが結論がいまいち出ずに1年ほどを費やした。

しかし、ふとたまたま目に付いた創作物で盾を攻撃に使ってるのを見たときに閃いた。「これなら攻撃も防御も一体で行える。」と。

それから最適な形状を考え最適な動きも模索し大まかなイメージが固まったところで決心が付いたのだった。

その間最低の魔法力でやりくりしてたために実技の成績は中等部3年間の間ずっとひどいものだったが。


係員「今から注射をしますが変更する場合は1時間以内に申しあげてください。それ以降の申請は形態が定着して変更がきかなくなることがありますのでご注意ください。」

と言われ、頷くと注射が始まった。



係員「…本当にこれでよろしいのですか?」

小鳥遊 光「大体イメージ通りだな。」

係員「…では、これで決定と言うことでよろしいでしょうか。」

軽く腕を動かして確認したのち、

小鳥遊 光「…問題ない。」

係員「…では、問題があれば1時間以内に申し出ください。」

小鳥遊 光は頷くと部屋を後にした。

そしてとりあえず向かったのは魔法実技の訓練場だった。



高梨 光一「お、とうとうお前も具現武装化を手に入れたか。」

高梨 光一(たかなし こういち)、こいつは中等部の間ずっと同じクラスだった。

後天型であり名前の語呂も近いということもあり友達になるのに時間はかからなかった。

高梨 光一「盾にするという話だったけどどういう形状でどういう使い方なのか想像もつかんな。」

小鳥遊 光「まあ、こんな感じだな。」

というと同時に具現化してみせる。

サイズは大きめで体をぎりぎり覆える幅、高さは幅と同じぐらい、何より特徴的なのはその独特の形状にある。

高梨 光一「四角に近い形状なのは体を守るためだと思うが先端の突起が気になるなあ。」

小鳥遊 光「これはスパイクシールドと呼ばれる形状でな、敵の攻撃は防ぎ敵に攻撃を叩き込めるというものだ。」

高梨 光一「…なるほど攻防一体ってわけか。」

小鳥遊 光「ご明察。まあ、一部違うのは魔法力を使って突起の出し入れができるタイプということだ。

あとは盾の耐久力のために魔法力を全て注ぎ込んだ。」

高梨 光一「…それって魔力の装甲を捨てたってことか?」

小鳥遊 光「盾の耐久力の為にな。まあ、もともと俺の場合は魔力の装甲もあってないようなものだけど。ゆえに、盾に全魔力を凝縮した方が防御力が上がるという考えだな。」

高梨 光一「たしかに考え方は合理的だな。」


魔力の装甲:魔法攻撃を受けた際に受けるダメージを軽減することができる。魔法力の高さがそのまま魔力の装甲になるため魔法力の高い相手には魔法による攻撃よりも物理による攻撃の方が有効になる場合もあるのである。物理攻撃を防御できる魔法も存在するのだが。


「お、落ちこぼれ共じゃねーか。(笑)」

と登場したのは魔法力に胡坐をかいて威張り散らしてる岩山 輝人(いわやま、てるひと)

岩山 輝人「なんだお前?盾とは雑魚にもほどがあんだろ!(笑)」

面倒なので目を合わせないようにしてると

岩山 輝人「せめて俺らエリートの為の虫除けにはなってくれよ、はっはっはっ。」

と言って去っていった。

高梨 光一「相変わらず言いたい放題だな。とはいえ俺の魔法力じゃあいつはどうあがいても倒せん。ん、小鳥遊どうした?」

小鳥遊 光「いや、なんでもない。」

岩山 輝人の背中に向けて何かを見据えていたのに気づかれてたようなのでとりあえず濁す。

高梨 光一「お前が盾を使ってどう戦うのを見てみたかったが水を差されたな。」

小鳥遊 光「なあ、まだ手の内は隠しておいていいか?」

高梨 光一「…お前がそう言うのなら。」

こうして2人訓練場を後にしたのだった。

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