第12話 山下泰文陸軍大将
いわゆる皇道派ではなかったが、周囲の人物が彼をそのように誤解させてしまっていた。そんな誤解のせいで、彼は天皇から嫌われていた。昭和5年歩兵第3連隊長、昭和10年軍事調査部長、昭和15年7月航空総監を歴任。大東亜戦争開戦時には、陸軍第25軍司令官として、マレー半島上陸作戦の指揮を採った。人は彼を「マレーの虎」と呼ぶ。英印軍降伏時、敵将パーシバルに対して、「イエスorノー」と恫喝したというエピソードは有名である。その話にはかなりの創作があるが、それでも少なく見積もっても、20万人は下らない英印連合軍を、4個師団8万人で攻略しようという大本営の無茶ぶりに対して、1942年2月15日にシンガポールを陥落させたのは、単に凄い事である。昭和19年にはフィリピンへ行き、関東軍第一方面軍司令となる。レイテ沖で奮戦するも、彼の巧みな戦術も、大本営の戦略自体のまずさを補うには至らない。そんな猛将…彼の名を山下泰文という。見に覚えのない罪により、裁かれたのが実に惜しい人材であった。最終階級は陸軍大将。昭和20年9月3日に投降し、最後まで徹底抗戦するも、現地住民に対する覚えなき罪により、現地裁判で死刑を執行された…。そんな猛将も、小沢治三郎が生きた時代には、存在したのだ。
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