第4話 恐いものなし
柔道で強さを開眼させた治三郎は、その強さから、喧嘩に喧嘩を重ねる毎日を繰り返していく。負ける事を知らない為、周囲に敵が増える事はあっても、減少する事はなかった。この当時の若い治三郎には、こわいものなど存在しなかった。町のチンピラやヤクザ者に絡まれても、そんな破落戸を相手にしないほど飛び抜けた強さを手にしていた。喧嘩ばかりしていたのは、他にやりたい事や面白い事が無かったからに他ならない。治三郎曰く、「喧嘩よりも面白いものがあるなら、俺は喧嘩を止める。しかし、今時分において人間同士の喧嘩に勝るような、面白きものは見当たらないのである。」治三郎の発言は的を得ている。宮崎のド田舎で、楽しめるような娯楽など、喧嘩か女くらいの御時世である。治三郎は、こんなつまらない日常から、本当は一刻も早い内に抜け出したかった。しかしながら、その方法も、アプローチも、全く皆目見当がつかないのも、事実であった…。
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