第3話 柔道の心得
刀不要の市民権が跳梁跋扈する世で、護身術的要素の強かった柔道は、庶民に人気のスポーツだった。有り余る元気を少しでも消火する為に、両親は治三郎に柔道を習わせる。元来、運動神経は良い方で、呑み込みは非凡なものがあった。人を思う存分投げれるというのは、治三郎の様なわんぱく坊主にとっては、嬉しかった。受け身の練習は嫌いだったらしく、受け身の練習時は、ひたすら腕立て伏せをしていたという。人間を投げる為に必要なのは、そのほとんどが腕力に頼るものである。相手の反動や、背筋力を利用する事も必要要素ではあるが、とにかく腕力の強さだけを、治三郎は鍛え上げる事に集中した。後は、タイミングさえ合えば一本背負いだろうが、払い腰であろうが、技は決まる。治三郎は、通っていた道場において敵なしだった。成長のスピードは半端なものではなく、中々の素質があった。その強さの秘密は、とことん鍛え上げた腕力にあった。その強さは、呆れるばかりのもので、指導者であるはずの師範ですらも、圧倒するレベルである。相手は大の大人であるにも関わらずである。
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