G-incompleteness and Quantumeffect うちゅう の夜あけ
☆Passage『経塚』~Space and time axis 宇宙のはじまり①
※前回のあらすじ※
イワンは久しぶりに学校に来て、友達と話す。授業中、真智は変顔でイワンを笑わせようとするが、イワンは笑わない。放課後、イワンの両親の離婚が明かされ、イワンは和歌山に引っ越すことになる。真智たちはアルバムを贈り、イワンを励まし、彼は感謝の気持ちを抱いて出発する。
※あらすじ 終わり※
話はイワンが転校する少し前に遡る。
あたし達は部活の合宿という名目で顧問の谷先生同伴の元、今長野県まで来ている。
え?合宿の目的は何かって?
大丈夫、それはすぐにわかるから。
「ねえ、愛理栖? タイムカプセルを埋める場所本当にここで合ってるの?」
あたし達は夜遅く、長野県にある絹糸紡績工場の敷地内に無断で侵入し、ちょうちんの灯りを照らしながらポイントを探っていた。
「早くしないと、警備の人がいたら見つかっちゃうよ」
「空間座標と時間座標から考えて、『
「でもさ、愛理栖。ここって固くてスコップじゃ歯が立たないよ」
「困ったわ。コンクリートだとは、予想して無かったわ」
「何、愛理栖?コンクリートって?」
「コンクリートって言うのは……そうね、
建造物とかに使うものなの。
知らない?」
「あ、そうそう。うちの学校ね、校舎の改築の案があってね。
一部をコンクリートにするかどうかで職員の間で議論したりしてるよ。
うちも詳しくは知らないけどコンクリートって最新の建築技術らしいね」
「そうなんだ。
それで、愛理栖どうする?
あたし達このままここにいてもらちがあかないよね?」
「仕方ないわ。みんな少し離れて」
愛理栖はそう言うと、まずはタイムカプセルを埋めるポイントの地面の上へと置いた。
それから目を閉じてタイムカプセルを指差したかと思うと、
何言ってんだかわけかかんないようなちゃんちゃらおかしい謎の呪文を唱え始めた。
すると次の瞬間、タイムカプセルを中心にして
空間がぐにゃぐにゃに渦を巻きながら混ざりだした。
あたしは愛理栖の力を一度見せてもらってるけど、他の部員はみんなはじめて目にする訳で、
まるでキツネにつままれたかのようにみんなポカーンと目を丸くしていた。
あたし達はまるで大きな地震でも起きたかのように空間ごと揺れ出して立っていられない状態になった。
だけど、目を瞑り五分くらい耐えていたらそれはちゃんと治まった。
「みんなごめんね、大丈夫だった?」
「う、うん……」
みんなあまりの出来事に呆然よ!
「ところで愛理栖。タイムカプセルは?」
「コンクリートの下だよ」
「え?本当に?」
「そう」
「コンクリートの下に入ったって言うのはわかったわ。
でもさ、未来にはここ公園になるんでしょ?
公園を作る時掘り起こされたり、
よけい地下深くに潜り込んだりしないの?」
みんなよりはまだ冷静だったあたしが愛理栖に聞いてみた。
「私もそこは心配だったから、
タイムカプセルの外缶に細工をしたよ。
計算でわかった指定した時間の前後48時間までは量子的情報化させてる」
「量子的情報化ってそれ、どういうこと!?」
「霧状の確率的な状態。つまり、位置が形『として』まだ固定されていない確率分布状態のこと」
「お~!なるほどぉ~!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
わからん」
「わからんのか~い!」by愛理栖
「アハハ、愛理栖ごめ~ん、さっぱりわからないよ~」
「真智ごめん。説明するのは時間がかかりそうだから。
みんな、宿舎まで戻ろう?」
あたしは理屈を知りたかったけど、
ひとまずは愛理栖の言う通り宿舎に戻ることにした。
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