壊れていく心


次の日、皆んなでお見舞いにいけば、ケルシーは布団を頭まで被っていた。


ガブリエラやテイラー、マーサやライアンはかなり心配した様子で、トロイとチャド、シャーペイとジークは顔を見合わせてびっくりしていた。


「ケルシー、皆がお見舞いに来てるのを無視するのは…良くないと思うよ?」


僕が呟けば、ケルシーはゆっくりと布団から出て身体を起こした。


ケルシーの目は真っ赤で、布団の中で泣いていたのがわかる。


それに気付いたのはマーサだった。


「ど、どうしたの!?目が真っ赤じゃない!」


ケルシーは僕をチラッと見てから、俯いて答えた。


「…色々、あったの」


それ以外、口には出さなかった。


苦しくて、辛くて、悲しくて…言えなかったのだろう。


「何があったのよ?」


テイラーがケルシーに尋ねても、ケルシーは黙ったままで。


ケルシーは何度も僕の方を見ていた。


「…どうしたの?」


僕が尋ねれば、ケルシーは小さな声で呟いた。


「…何でかな、ガブリエラやテイラーやマーサやシャーペイ見てると…凄く…辛い、の…」


「どうしてかは…わからない、けど…どうしようもなく…苦しくて、辛いの…」


恐らく、他の女性が普通に出来るだろう事が、出来る筈だった自分に出来なくなった事、そして周りの友人達はそれが出来る事で、色々な感情が湧きあがったのだろう。


どうして自分なのか、という…やりどころの無い、怒り。


どうしたものか、と考えていた時だった。


病室に叫び声が響いた。


ケルシーは自分がやったことに自分が驚いていた。


「ケルシー、一体…何をしたんだ?」


僕が尋ねれば、自分を抱き締めて震えるケルシー。


「投げ、ちゃった…枕…ガブリエラ、達に…私…私っ…」


ケルシーはポロポロと涙を零した。


僕はただ、ケルシーを抱き締めた。


そのうち、ケルシーは大きな声を上げて泣いた。


皆はケルシーを見て当たり前だけと驚いていた。


ケルシーの心は、精神は…もうズタズタでボロボロだった。







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