16 水の中を歩いてみる

 水泳、ダイビング、シュノーケリング、素潜りに始まり、バナナボート、水上バイク(運転はヘロヘロでバイクという速さではなかったけれど)、ウィンドサーフィン(辛うじて立てるものの、風に乗るには程遠かった)…と、結構様々なマリンスポーツを、ちょいとかじっただけのものを含め体験してきました。


 そんな中、なんとなくチャンスがなくてやったことないなーと思っていたもの、シーウォーク。宇宙飛行士のメットのような…と言えば聞こえはいいけれど、どちらかといえば昔懐かし金魚鉢のようなものをかぶって海の中を歩くって、ちょっと間抜けな姿のアレです。

 水泳は当然ながら、ダイビングやシュノーケリングでも散々泳いでるし、休むときは海の底や岩に足つけたりもするので、さほど意味はないんじゃないだろうか。

 そんなことを思っていましたが、いつものファイト一発な友人と沖縄に行った際、チケットとホテルのみのツアーに無料オプションとしてついていたことで、体験する機会に恵まれました。


 まずは船にて降りるポイントまで運ばれていきます。

 …いやもう、この船というかボートというべきか…が問題で。

 マサキチ、陸では全然酔わないんですが、あの微妙な横揺れとも縦揺れともつかない動きが苦手なんですよね…はよ着けーと祈りつつ、さほど岸辺から遠くないところで停止した時にはもう拝みたいほどの気分になりました。

 シーウォークって、水着のままのときもあればウェットスーツのようなものを着て降りることもあるようですが、その時は自前の水着のまま。足元は…確か海で遊ぶ時用の靴を貸してもらったような気がします。


 船上でホース状の空気を送るチューブがついた金魚鉢のようなものをかぶり…って、これ水着だと結構間抜けな感じが否めない…頭ぐらぐらするし、若干どころかかなり酔ってへたばっている身には結構きつい。そしてやっぱり間抜け。

 友人とお互いを笑いあい、へらへらしながら梯子でいざ海底へ降りていく頃には、大分酔いも持ち直していたのは幸いでした。


 で、海の底ですが。

 水深は…おおよそ3~5メートルってところですかね。普通に上がろうと思えば、泳げる人間ならまったく抵抗のない程度の深さ、なんですけれども。

……。

 これ、なんて言えばいいんですかね…。

 全然動けなくて、ただただもどかしい!!ってものでした。


 プールを歩いたことのある方ならなんとなくわかるんじゃないかと思いますが、大した水深でもないのに、なかなか足が運べません。海や水の中を歩くなんて当然のことながら、とにかく行動がままならないし体全部が重くてしんどいんですよね…。

 もごもごとしか動けない歩けない挙句、空気を送ってくれる肝心の金魚鉢が、あんなガラスっぽいものなんだから全方向がクリアに見えるでしょ、と思うところですが、かなり視界が歪んでる感じで微妙なんです…。

 頭に大きいものをかぶってる分、人との距離もはかりにくくてバランスも悪い。ガイドに導かれるまま歩くものの、友人と何度もガラスメットをごつごつとぶつけ合い、ふらふらしながらついていくのがやっと。多分、岩の上を歩いてるペンギン以上に千鳥足というか、よちよちしてる感じで、全然まっすぐ歩けない。

うああ、もどかしい!!


 そんな風にようやっとついていく状態でも、あっちに魚、こっちに珊瑚礁、そうやってガイドさんは示してくれるんですが、なんか歪んだ視界の向こうにほわほわ動いてる魚を目で追っかけては友人とガラス頭をごつん、首をめぐらせてはごつんで、まったく海の中を味わったり見ている暇なんてないんです。呼吸は楽でも全然気楽じゃない。

 しまいには、あれって度の強すぎるメガネとかでもつけてる感覚なんですかね…船で揺られる以上にぐるぐる回る感じで気持ち悪くなっちゃって、最後の方は何見たかなんてまったく覚えてません。

 ガイドブックや案内チラシみたいなに載ってる写真って、皆さんすごーく楽しそうにはしゃいでるんですけどね…。あんな風にはしゃぐなんてありえん!と陸に戻ってから、これまたぐったりした友人と言い合ってましたよ…。

 あれならシュノーケリングでぼやーっと立ち泳ぎしながら海の底見たり、素潜りしてる方がよっぽど自由も利くしマシ!


 そんな思いを味わったシーウォーク。

 陸に戻ってもしばらくぐったりしていて、ガイドブックのように余裕の笑みを浮かべられる人たちはすごい!ありえん!が、友人とマサキチの結論でした…。

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