10 サンボはダメでインドはいいのか?
ちびくろサンボという絵本をご存知でしょうか。
ご存じの方は今更と思うところでしょうが、未読の方のためにものすごくざっくりと内容をお話すると。
マサキチの記憶が定かであるならサンボ少年、絵本らしからぬ目に結構遭います。なんつーか結構ひどい。あんま愉快ではなかった…気が。
けどまあ、そこはこの話にかかわりないのですっ飛ばして。
そんなサンボ少年、追っかけっこしている4匹のトラを見つけます。タイガースカラーなトラたちが、椰子(だったと思う…)の木の周りでぐるぐるしているうちにバターになっちゃう。サンボダディがそれをツボに持ち帰り、トラバターを使ってパンケーキを作り、もりもり食べる一家で締めくくり(ざっくりすぎ?)。
それがまた余計な線の少ない挿画なのに、不思議と美味しそうに見えるんですよね…。
わあ、なんてうらやましい話だ!と、読んだことのある子どもたちは虎パンケーキに夢を馳せた…そんな絵本です。
コレ、アフリカン・アメリカンの肌の色に対して人種差別だと問題視され、絶版になってしまいました。
…はずが。
ネタに取り上げるからと調べてみたら、現在は「ちびくろ・さんぼ」という…ぬう、単に呼称をひらがなにヒラいただけで、何か変わりが?なタイトルとなって出版されているようですね。知らなかった。
まあ今回はそういった人種差別やタイトルなんかに言及するつもりは当然なく、マサキチがハワイで出会ったインド人版サンボの話です。
国内だけでなく、たとえ言語が読めないわからない国であっても、自他共に認める本・紙オタのマサキチ、本屋に行くのが大好きです。紙や装丁のにおいだけでシアワセ気分になりますし、ストレスだの憂さだのってのも吹っ飛んじゃいますね。
特に海外だと普通の本屋なのに古本屋みたいなテイストの店で、既に翻訳されているその国の言語になっている本を手に入れる非日常が体験できるので、なんだか宝探しをしているような気分になったりしますね。思い出すだけでうっとり…
そんなこんなで、英語だのドイツ語だのイタリア語だのクメール語だのの謎本が、マサキチの本棚の一角を占めたりしてますね…。まさにわかっちゃいるけどやめられない、そんな心境で。
それはさておき。
英語に堪能なわけでもない、けれどマサキチ、どうしても欲しい作家さんの原書がありました。
日本でも早川から出ているロバート・A・ハインラインのとある作品が大好きで、翻訳は何度も読んでるし、原書で繰り返し読んだらもっと発見がある!なんてことを考えておりました。
実はその作品、ハリーポッターみたいな魔法とファンタジー映画にでも出てきそうな、とんでもなく時代がかった茶ばんだペーパーバックは海外の古本屋で見つけ、かつて手に入れていたのですけれども。
ええ、何度も読んでます。ちっとも英語は頭に入ってませんけど。
じゃあなんで…と言ったら、紙オタなもんであわよくば違う(もっとステキな)装丁の1冊に出遭えぬものだろうか(ペーパーバックの表紙はお世辞にも良いとは言えぬ…というより、田中○衛さんと松崎○げるさんを足して2で割ったような人物が絶妙にリアルな感じで描かれていて、内容を知らなければまずあんまり手を伸ばさないだろう…)、もっと欲を言えば素敵なハードカバーを!
そんな野望を持って観光なんかそっちのけで、何件も本屋を巡っておりまして。
我ながらかなりのアホですね。
わかっちゃいるけど…以下略。
ステキな表紙はまあ、海外ですからねえ、夢物語となりました。
けど、インパクト的にはかなり差があるものの、幾分マシというか面白味もなんもないものは見つけられたので(本音を言えば洗練されすぎていて内容すらイメージできない。ある意味もっさり系)、中身が大事さ!と当初の野望は白紙…つまりは妥協。
なんて書きつつも欲しいものを手に入れられたのだから、当然気分はアガります。
他に何か良さそうなものはないかを懲りることなく物色しつつ、書架をぐるぐるしていたところ児童書の一角を見つけました。
なるほど、アメリカ人は小さい頃から絵本もスターウォーズが盛りだくさんなんだなぁ。
そんなことを考えていたときに目に留まったもの。
商品として陳列されてる本なのに、既にぼろぼろになりかけていた「リトル・ババージ」。日本人でもアメリカ人でも、あまりなじみのなさそうな名前ですね。
ふーん、と思ったものの、傘をさし頭にターバンを巻いたインド人の子ども、そしてぐるぐる回る4匹のトラ。
んん?
なんか表紙の構図に見覚えがあるぞ。
思わず手に取って中を見てみれば。
ぐるぐる回るトラのバター。ってコレ、まんまちびくろサンボじゃん!
テイストは違えどイラストの構図も(うろ覚えだけど)まんまサンボのパクリ。っつか、名前と人が違うサンボじゃないだけの正本って感じで。基本的にカレーを素手で食べてるインド人が、パンケーキを前にしてフォークを使っている絵に思わず苦笑。
ああ、アフリカには本来トラはいないけど、確かにインドならベンガルトラ、そりゃあもりもりいるもんなあ。
ふむ、間違っちゃいないし正しいよね。うんうん。
けど…けど…
なんか違ーう!!
いや別に、内容に文句があるわけではないんですが。
でも…なんかもやもやする。
だってさあ、アフリカン・アメリカンな子どもはダメなのに、インド人はいいのか??
そりゃ人種差別とかには抵触しないのかもしれないけど、なんていうか…それならいいってのはまた別の意味で差別というか、根本解決にはなってないんじゃあないのだろうか?
その上、さらっとした挿画はなんかインパクトもなくて面白くない。
…うーん。
絵も雰囲気にもあまり惹かれず、そっと本を戻し書店を後にした。
あー、でもなあ。
ぼろぼろだったけど、なんであの時あれ棚に戻しちゃったんだろ。
幻じゃなかった証拠(なんのだよ…)として買っておけば良かったなあ、と今になって思います、リトルババージ。
検索しても全然引っかからないから、日本では扱うことすらなかったようですね。
当分行く予定はないし、絶版の可能性も大きいけれど、英語圏の国に行ったら探してみようかな。
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