9 ター滝
国内の旅といえば沖縄!って感じで、一時期頻繁に訪れていました。
今も思いは変わらず…ですが、なかなか旅行に行くタイミングがなくてご無沙汰です。会いに行きたい友人も2人いるから、いずれまた顔を出したいものですねえ。
ともあれ、寒くなってきたしちょっとあたたかいところへと夢を馳せつつ、相変わらず何やってんだ?な旅の思い出を語ろうと思います。
沖縄の大宜味にター滝という、さほど大きくない滝があります。
なんだ、単なる滝かよと思うなかれ。この滝、沢登り…というほど大げさではないけれど…川登りをしないと拝めない滝であります。
そんなところですので当然、マサキチのエッセイでは毎度おなじみ、ファイト一発の友人が相方でござい。
スタートは、両脇にまばらに木の茂る川原から。
足首よりちょっとあるかな、くらいの水量の浅瀬をじゃぶじゃぶとひたすら川上にのぼっていきます。水の流れもゆるやかで気持ちよくて木漏れ日もちらほら、とてもいい気分。汗ばんでも足元は水なので気持ちいい場所です。
…が!
その時マサキチ、ダイビングライセンスを取りに行ってたんですが、前々日に身体を水に沈めるためのウェイト(重し)を足に落っことしてまして。左足の親指の爪、割ってたんですよね~…。
前日の合否がかかったダイブも、砂浜からのエントリー(水の中に入る)で力が入らなくて、インストラクターと友人にタンクを支えてもらいながら入ったというトホホ状態。
本来なら自分で背負えなきゃダメなんですが、十何年の水泳経験があり泳ぐのはまったく問題なく、ウェイト足に落とすまではちゃんと1人でやってましたし、ダイブの心構えとか試験も合格だったので、受かったからいいんですけどね…。つくづくウカツな奴。
さらに、受かった!やっほーい!と前日夜に友人とちょっぴりお酒飲んで寝たら…自分がもんのすごく酒に弱いことを、すっかり忘れてました。
普段なら多少抜けてから寝てるのに、あまりにくたくたでバタンキュー。
翌朝、滝に向かうドライブ中になんでこんなに頭カンカンするんだろうなあ…しかもムカムカするしという状態で。そこで初めてこれ、いわゆる軽い二日酔いなんじゃね?と思い至ったという…。
消化酵素がないんだろうなあ…日本酒は好きだけど1合でへろへろの幸せ状態、缶ビール1本なんて飲めないし、コップ1杯でも時折クラッシュするほどの弱さなもんで、今までそんなんなったことなかったから知らなかった。
酒ナメてた!
…という状態で滝に向かっておりました。
でも、水に流すっていう言葉、あれホントですね。周りを木々に囲まれた水の中を歩いているうちに気持ちいいしすっかり二日酔いなんて消え失せてました。
怪我は2日前ということで、足指にかかる力の抜き方も大分慣れたもの。でも微妙によちよち歩き?の川のぼり。
後々、消毒もしなかったし膿んでやばくなる可能性もあったかもなあ、なんて思いましたが、ダイビングでフィン(足ひれ)もはいて泳いだし、しみることもなかったし大丈夫!とその時はまったくもって頭になし。
脳筋…は小学校の校庭にあったウンテイ(雲梯って書くんですね、知らなかった)すら三つ目まで行かなかったっていう運チ具合なのでなさそうだけれど、マサキチ、相当お花畑な思考です。
しばらく浅瀬を歩くうちに段々川幅が狭まってきて、ちょっとした森の中をごつごつした岩場の間を小さな滝状の流れを作っている状態に。歩きやすい場所を探して、時に滝に足突っ込んだり渡ったりしながらひたすら上流へ。
そこでようやく気づく。
腿は上がるものの、あまり高さがあると爪が割れているせいで、足先に力が入らないってことに!しかも周囲を木々に囲まれた、遠回りするような道もないごつごつした岩場は水に濡れているし、あちこちにあるコケですべるすべる。つるつるよちよちと、氷の上を歩くペンギンさながら。
けれど歩きにくい場所にはところどころロープがあったりで、冒険者?への気遣いも忘れられていないのはありがたい。
「結構来たけど、人いないねえ」
「そうだねえ」
なんて暢気な言葉を友人と交わしつつ、あちこちで見かける、長いしっぽをぴーんと伸ばしたキノボリトカゲがかわいいな…などと多少の余裕が出てきて油断しました。
足をすべらせてバランスを崩しかけたマサキチ、立て直したはいいけれど、長年愛用していたレイバンを二日酔いと同じく水に流す羽目に。
場所的にも足的にも追いかけられる状態ではないし、ぽちゃっ、という音を聞いた瞬間にはもう下流へと消えていた…。くうっ、痛恨。
カッコつけとかじゃなく、マサキチは茶色い目の部分の色が人より若干薄く、昔から目が日の光に弱いんですよ…。日焼けよりも太陽による目の疲れのが怖い。だから夏だけじゃなく、結構長い期間サングラスは使ってます。今年も普段使いで壊したし、また近々買わなきゃなぁ。
なんていうひとりごとはさておき、失ったサングラスを惜しみつつ、ひたすら上流へ。
水の流れる岩場とジャングルのような森の道を曲がった途端、唐突に視界が開け…いきなり円形状になった広場というか川原の広がるすぐ先には、目指す滝が堂々そびえておりました。
「おお~!すごい!」
思わず歓声を上げるマサキチと友人。
滝は予想以上に近く、しかも歩いたままじゃぶじゃぶと至近まで迫れる。
マイナスイオン(単なる水しぶきかもしれないけれど…)を浴び放題の、なんという贅沢か!
後で調べたら結構人が来る場所とのことでしたが、その時は小学生くらいの男の子を連れた親子しかおらず(マサキチと友人のように、物好きな人もいるんだなあ、なんて思ってました。すみません)、とても静かでいいところでした。
よしよし、せっかく来た記念だ、カメラに収めておこうとシャッターを切る…が、とんでもなく動きが悪い。うーん、なぜだ。
そこでマサキチ気がつきました。
夢中になるあまり人だけじゃなく、デジカメもマイナスイオンというか滝のしぶきの恩恵に預かっていたことを。
いわゆるコンデジ(コンパクトデジカメ)ではないし、そりゃあ動きも鈍るはず、壊れなかっただけマシというものだよなあ…。
思えば数々の冒険に連れ出してきたその相棒、しょっぱなの旅から岩場で擦り傷を作らせたりと、相当無体な働き方を強いてきたもので。慌てて川原へと引き返し、なだめすかしながら遠景からフレームに収めて、しばしの間ぼー…。
ぼー…
ぼー……
特に話そうとか思わない時は会話がなくても平気、という友人はありがたいものです。
ひたすらぼんやりしたりお互い思う様、滝の流れを楽しみ…なんとなく合言葉のようになっている「(きりがないから)戻るか」の一声でその場を後に。
穏やかできれいで、本当にいいところだったなあ。
余談ですが、結局相棒のデジカメは旅のあと体調不良に陥り、オーバーホール(修理)に出すことになりました。機械の体にマイナスイオンは厳しかったよ…。
それにしても、足の爪割ってよちよち歩きだのサングラス流したりデジカメ壊したり…なんかホント、我ながらくだらんコントのオチみたいだなあ、色々と。
皆様も(あまりマサキチみたいなことはしないと思うけど)滝や水場で遊ぶ際には相棒のデジカメに、くれぐれもご注意を。
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