3 決して甘くないモノ

 時系列とか気にするべきなのか…とか、しばし考えましたが、思い出したものを気の向くまま、気まぐれに書いこうと(勝手に)決めたので、今回はかなり昔のお話です。


 最近ではかなりご無沙汰気味ですが、マサキチは旅が好きです。

 これは学生時代、家族と共に初めて訪れたアメリカでのこと…


 日本人客室乗務員などほぼいない(いてもおそらくビジネスやファーストクラスのみかと)アメリカ系航空会社NY行きの機内では、初めての海外ということもあり、機内食のメインをビーフかチキンをセレクトできるという時点でもう、お子様なのにそんな権限までもらえるのか!と、楽しみでそわそわしてました。

 ですがマサキチ、肉々しい肉がはっきり言って得意ではありません。

 牛はなあ…ででーんとしたアメリカンサイズのステーキとかだったら、味が苦手で食べられないかもと、チキンをセレクト。

 まずこれが失敗でした…。

 出て来たのは焼いただけのチキン(塩コショウの概念はないようです)に、オレンジマーマレード(ジャムのあれです)がどばっとかかったもの!が…。


 甘いものは好きです。

 が。弁当におかずやフルーツが一緒に入っている際、オレンジなんかがおかずにくっついちゃってるとしょんぼりするくらい、ご飯と甘いものは分けておきたいマサキチ…。

 ハンバーグなんかに付いているにんじんグラッセとかもう、全然ダメで。煮物はまあ多少は甘いのも想定してるんでよしですが、この機内食のチキンは、マーマレードをどけても塩をかけてもすでに肉自体が甘くなったチキンはどうにもならず。ほとんど食べられませんでした。


 うーん…アメリカのご飯はまずいと聞いてはいたけど、ある意味しょっぱなからツキまくりだなと不安を覚えつつも、大好物の美術館博物館づくし、見るもの聞くもの初めてのNYで、メシ不味なんてどうでもいいやーって時を過ごしておりましたが…まあ、やはり事件というのは起こるものでして。

 そこそこ食べられる味だけど…って、やっぱり食が進まないですよね。

 食事に関してだけは微妙だよなあと思ってる時に、ニューススタンド兼小さなスーパーみたいなところで見つけた「カリフォルニアロール」。アボカドとカニカマ(カニが本式?)とかが入ってる海苔巻きですが、最近ではかなり有名になりましたね。


 マサキチは激しく肉だらけ!とか臓物系は苦手なんですが、割となんでも食べられるし、大ぶりでパサつき気味なマフィンなんかも、とんでもなく砂糖の塊のようなグレーズでもかかってない限り平気(バナナやピーカンナッツのようなのマフィンならはずれなかったし)。

 郷に入っては郷に従えってわけじゃないですが、和食は大好物のくせに、どの国に行っても海外では日本のご飯、不思議と恋しくはなりません。

 ですが、あの時に限っては手を伸ばしてました。

 両脇が寿司のビニールっぽい笹…バランで遮られていて見えないのは仕方ない。巻物なんだし食えるじゃろ。そう思ってる時点で日本以外での常識を打ち破れておりませんでした…。

 ついでに目についたレジ脇のフックにかかっていたバナナチップも、おいしそうだしこれなら外れはないだろうと購入。


 ホテルに戻ってパックを開けてみると、おや?しょうゆが入ってない。

 でもまあ、海苔巻きならなくても食べられるか…とまずはぱくり。

 んん…?なんともファンタスティックな歯ごたえ。

 つーか見事なほどに味がない!

 残りをしげしげと観察すれば…ファンタスティックなのも当然で。生ニンジン(かなり硬い)ときゅうりの野菜スティックが、酢飯でもなんでもない白ご飯の中にどーんと巻かれているだけだった!!

 海苔もなんだか日本のとはまったく違って、味とか全然ないし…。

 まずいどころか驚きを通り越した、カルチャーショック級の裏切り!

 でもやっぱり、どうにもこうにも不味い~のは拭えず!。砦のバナナチップに手を伸ばす。袋を開けて普通のにおいにホッとしつつ口に放り込むと…。

 まったく甘くない。

 てかしょっぱい!!

 バナナチップなのに、塩味って何!?

 よりによってなぜ!わざわざ塩を絡めるんだ!!

 やはりアメリカでうまいものを食べるっつーのは無理な話なのか…。

 マサキチ…撃沈。


 そして数日後、ワシントンD.C.に移動。博物館のカフェテリアでのお昼時。ここでは8Mくらいだったかな…ホルマリンで真っ白になっちゃったダイオウイカのケースが、展示場いっぱいに広がるよう、ワイルドに横たわってるのを初めて目にしてとっても感動したのですが…それはまあご飯に関わりないのでさておき。


 カフェテリアの話に戻りますが、ビュッフェ形式のメニューにコールスローサラダを発見。

 レーズン(嫌いではないけど、食事ならやっぱり甘くないのが好き)とか入ってないし、マヨネーズ味ならさほど手を入れられることもなく、ごくごくまともなはず。

よし、これなら行けそうだと、トレーに載せていざ清算!

 席を確保して、久々のフツーそうな味を喜びつつパクリ。


 けど…

「クソッ、お前まで裏切るのか、俺を…」

 刑事ドラマとかスパイもので犯人?が口にする定番的そんな一言を、思わず超低音で呟きたくもなるってもんですよ。

 甘い!!

 これでもかって砂糖入ってる甘さ!!

 二度あることは三度あるどころか、四度も撃沈されるとは…。

 甘すぎる、けど海外でフツーのご飯を食べるってのは全然甘くないのだと、そんな苦い思い出のあるアメリカ東海岸。


 …でも、数年後に訪れた西海岸は全然違っていた!

 ということで、次回はついでに西海岸でのお話を書こうと思います。

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