灰国のセリネス

@reipercent

第1話 旅の始まり

「.........」

誰かの声がする...

「灰...とを...」

その時、目の前に小さな光が現れた...

「灰の導きがあらんことを...」

小さな光は大きく広がり、やがて全身を包んだ...


どのくらい時間が立ったのだろう?セリネスは気がつくと森の中で眠っていた。

とても長い夢を見ていたような気がする。

「灰...導き...」

どれだけ考えても出てくるのはその言葉だけだった。それどころか、名前とその言葉以外何も思い出せない、どこから来たのか、自分は何なのか、何もわからない。辺りを見回してもあるのは木や石だけでヒントになる様な物は何も無かった。

ゆっくりと立ち上がったセリネスは森の中をよろよろと歩き始めた。その途中、

セリネスは自分の手の甲に何か描いてある事に気が付いた。

「何だろうか、紋様?」

手の甲に描いてある紋様の様なものは、二重の円の中に、六芒星と細かな文字の様なものが均等に並べられた模様をしており、見ていると不思議な気持ちになった。しかし、この紋様を見ても思い出すことは何も無く、ただ時間が過ぎるだけだった。

「見ていてもしょうがないか」

そう呟くとセリネスはまた歩き出した。


「何も無い...」

森は思っていたよりも広く、一夜経っても人の気配すら無い、セリネスは何も持っておらず木の実しか食べていない、とうとうセリネスは倒れてしまった。

何かが歩いてくる音がする。その時、誰かがセリネスをひょいと持ち上げ森の中を歩いていく。

「蒼い...眼...」

薄れゆく意識の中、セリネスはそう呟くとそのまま意識を失ってしまった。


気がつくとセリネスは木に囲まれた道に倒れていた。私は森の中で倒れたはずだ、きっとあの蒼い眼の人が運んでくれたのだろう、そう思ったセリネスは辺りを見回す。しかし、その人の姿はもう無かった。

「お礼くらいしたかったな」

そう呟いたセリネスはまたよろよろと立ち上がった。

その時、道に一つの馬車がカタカタと音を立てて走ってきた。

「おいそこの者、通るのに邪魔だからそこをどけ」

一人の少年がセリネスに退くように言ってきた。綺麗な服、金色に輝く装飾品、良く手入れされた馬車、何日経っているのかは分からないが、あれから何も食べていない、この人なら何か持っているかもしれない...そう思ったセリネスは力を振り絞り馬車によじ登った。

「はぁ⁈何してんだお前⁈」

そう怒鳴る少年を横目にセリネスは馬車の中に入り食べ物を探す。

「今すぐ出ろ‼︎早くしないと首を叩き切るぞ‼︎」

そこでハッと我に返ったセリネスはそーっと後ろを振り返るとそこには剣を引き抜き、いかにも怒っているという表情をした少年が立っていた。

「ご、ごめんなさい‼︎」

セリネスは膝をつき、額を床に近づけ土下座の形で謝った。

「ん?おいお前、手の甲を見してみろ」

そう言うと少年はセリネスの手を掴み、じーっと手の甲の紋様を見た。

「お前も選ばれた色人なのか⁈」

少年はキラキラした目でセリネスを見た。

「色...人?」

セリネスは何のことかさっぱりわからない。

「そうだよ色人!お前知らないのか?でもこの紋様は本物だ、お前は色人に選ばれたんだよ!」

少年は嬉しそうに話し続ける。

「俺も色人に選ばれたんだ!いまからそれを伝えに白城まで行くんだ!」

白城?何のことだ?

「お前が色人なら話は別だ、お前も白城に行く途中なんだろ?一緒に乗せてってやるよ!」

このままでは何も分からずに、白城とか言う所しまう...そう思ったセリネスは思い切って聞いてみた。

「あ、あの!色人とか白城とかどうゆう

ことですか?そもそも選ばれたってなんですか?」

そう言うと少年は困惑した様子で、

「お前本当に何にも知らないのか?」

と尋ねてきた。

うんうんと首を縦にふるセリネスの様子を見て少年は溜息をつくと、

「じゃあ教えてやるからしっかりきいとけよ!一回しか言わないからな!」

と言って少年はゆっくりと落ち着いた口調で話し始めた。

「昔からの言い伝えだ」


灰がくる、草木を枯らし、命を枯らす灰がくる、灰が全てを灰色に変える、けれど私達は色を塗る、7人の色人とともに色を塗る、そして色が塗られた草木は動き出す、色を塗られた命は動き出す、


虹は灰を殺す




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