49 第六部 最後の願い『!』
ああ、死ぬところだった。
ここで君にチャンスを上げよう。
僕は今、建物の下敷きになってるけど、実は君が手を貸してあの装置を壊すよう仕向けてくれさえすれば状況はひっくり返るんだ。
あの二人を裏切ってくれないかな。
これが最後のチャンスだよ。
(テキストメモ)あなたの望みをかなえるにはどちらを選びますか。
(指示)装置を破壊するよう囁く。
「https://kakuyomu.jp/works/1177354054882786238/episodes/1177354054882815873」
(指示)装置には手を付けない方が良いと訴える。
ライトは倒した。部屋の中にいる男女は動かない。
だが、アスウェル達にはそこから脱出する時間が残されていないようだった。
装置を壊す事も考えたが、下手に壊して爆発でも起こしたらまずい。
限界がきて倒れたアスウェルの前でレミィが泣いている。
「アスウェルさんっ、アスウェルさんっ。死なないでくださいっ」
泣くな。
レミィは無事だ。ライトは倒した。まだ、こまごまとした問題は残っているが。後の事は他の奴らが何とかしてくれるだろう。
禁忌の果実の実験で生き残ったレミィは、他の巻き戻りでも分かる通りこの装置の影響は受けない。
だから、もう大丈夫だ。
視界の端で、あの男女が異形化していくのが見える。
とてもではないがレミィには見せられない光景だ。
こっちを向いていてくれて良かった。
「レミィ……俺を」
殺してくれ。
「……っ」
醜い化け物になる前に。お前の手で俺の命を終わらせてくれ。あんな姿をお前に見せたくはない。
「でも、でも……っ、アスウェルさんが死んじゃった世界なんて、私……そんなの」
要らないなんて言うな。
俺は良い。
もう巻き戻りはできないんだ。
だからちゃんと、お前は俺の分まで生きていくんだ。
「……ぐすっ、……ひっく、わ、分かりました。あの時のお礼、です。私を殺してくれた」
何だ。怯えられていたわけじゃなかったのか。
「あたりまえ、ですっ。アスウェルさんが私の事思ってやってくれたんだって、ちゃんと私、分かってますから。だから……」
泣くな。
笑ってくれ。
レミィは、無理やり笑顔を作った。
見てられない。
やっぱり、いつもの笑顔の方がいい。
アスウェルは最後に、そう思った。
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